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「虹色のチョーク 知的障がい者と歩んだ町工場のキセキ」24時間テレビでしか作り得ないテーマのドラマである意味

今年も、マラソン走らせて感動を押し付ける、明らかな偽善番組、「24時間テレビ」が放送されたらしい。私は仕事もあり、一瞬もそれに触れることはなかったが、今年で46年も続けている「偽チャリティー番組」である。偽と言い切れるのは、出演者にギャラが支払われていることで明確なわけだ。こういうものは、本当に意思のあるものが、その意思を持って無償で社会を変えていくという思いが必要だと思う。それを局がビジネスにしてしまってるのが問題なのだ。今更、そんなことに意見しても仕方ないが、ジャニーズ事務所はいろんな問題が払拭しているわけで、今年から、ギャラなし宣言して参加すべきだったのではないだろうか?日本が普通の国になるにはこういうところにも変化が必要だろう。

で、その番組内で放送されたドラマがこれだ。私はTVerで見たわけだが、それでもドラマを見た段階で、何かこそばゆさがあるのはどういうことなのだろうか?まあ、アレルギーみたいなものだろう。

障害者が多く勤める工場で実際に起こったことを書いた同名のノンフィクションのドラマ化。主演は道枝駿佑。ジャニーズらしい爽やかな青年が、親がやっているチョーク会社で初めて障害者の対応に携わり、会社の危機を救う物語。

話自体にそれほど、意外性はないが、障害者に仕事をしてもらうということは、彼らの特質に合わせて仕事のやり方を考えてあげるということでもある。ある意味、生きるためのバリアフリーを作る基本である。そして、彼らは健常者以上に自己承認欲が強いようにも感じる。だから、うまくできれば、すごく喜ぶし、できなければすごく落ち込む。彼らに生きる糧を与えることは本当に難しいのがよくわかるドラマにはなっていた。

そして、このドラマの見どころは、芳根京子や戸塚純貴、大西芳礼ら、普通の俳優さんたちが、知的障害者を演じていることだ。これは、難しいという以上に、女優イメージの崩壊につながる場合もあるだろうから、なかなか出演に踏み切るのにも勇気がいただろう。そんな中で芳根京子はなかなか演じる一生懸命さが、障害者の一生懸命さにつながる感じで良い演技ではあったと思う。こういうのに批判的な意見は言いにくいが、そういう面を差し引いても好演と言っていいだろう。

社長役の江口洋介は、まあ、このような役をやるようになったかという感じだが、執行官を演じてる織田裕二とともにこういう役にハマっていく今後なのだろう。そして、「らんまん」でなかなか顔が売れた今野浩喜。それがあってここにキャスティングされたかは知らないが、今回もなかなか良い役であった。

とにかくも、私は「24時間テレビ」には好意的ではない。だが、この番組だからこそ企画が通るドラマというのはあるだろう。そういう意味では、貴重なドラマだ。そして、仕事とは何かをもう一度、健常者に考えさせる時間を与えたとしたら、素晴らしいドラマだったと言えるのかもしれない。



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