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「ゆりあ先生の赤い糸」不可解家族崩壊の中で何を描こうというのか?

原作は2023年「手塚治虫文化賞」受賞のコミック。ということで、知る人ぞ知る話なのだろうが、なかなか、介護と不倫と同性愛と家族問題をごっちゃにしたようなこういう話はコミックだからこそ描けるという気もする。これも現代のホームドラマとも言えるが、この状況を処理できる主人公を演じ切るにはかなりのエネルギーが必要である。

その主人公の菅野美穂。出産後、久々のドラマ主演。なかなか迫力ある演技を見せている。調べると、今46歳。夫役の田中哲司の奥様の仲間由紀恵が43歳だから、まあ、おかしくもないのか?倦怠期に入った夫婦の役ができる女優としては適任とも言える。

まずファーストシーン、家で手芸教室を開いている菅野のその教室風景から。これはここだけだが、タイトルとリンクさせるためには印象的な初動になっていました。

そして、夫が倒れたという電話で菅野が病院に向かうとそこにいたのは鈴鹿央士。シャワーを浴びて倒れたという言葉から「何?」と思ったら、彼は自ら、田中に抱いてもらおうと誘ったと、菅野にいう。ここで、何がおこっているのかわからなくなった菅野は鈴鹿に「不愉快というか不可解」という言葉を発する。確かに私もそうだが、LGBTという人々は普通の性の中で生きてるものにとって「不可解」なのだ。ある意味、自分たちの主張を認めろと言われても不可解だ。そういう意味で、このドラマはそういう不可解さの回答を求めるものなら面白いなと思える。

田中は倒れて目を開けないままに時がたち、自分の仕事や、家にいる義母(三田佳子)のことも考えて自宅で介護することにする菅野。ここで、三田佳子があまりある演技をこなす。いまだにこれだけのセリフ量をこなせる女優なのだなと感心してしまう。調べると、現在82歳。その割には若い。この家が長い階段の上にあるが、その階段を登る演技もしてますものね。しかし、こういう物件に年寄りとか障碍者が住むのは無理でありますよね。それもあって、わざとこういう家のドラマなのでしょうか?

で、介護をするにあたり男手がないので便利屋に来てもらって一階の荷物を整理する。そして田中が戻ってきたら、今度は三田が発熱。手が足りないで困った菅野は、田中の携帯から鈴鹿を呼び出す。その、鈴鹿は介護者がオムツを変えるのを見て、嫉妬を覚え、「僕が介護をやる」と言い出す。菅野はその言葉に怒りも混ざり「やってみれば」と声を荒げる。

ここでの、菅野の演技のテンションの上げ方も、それに対応する鈴鹿の恋敵に対して自信ありげな表情もなかなか良い演技だった。そして、そんな言い合いの後で、田中の娘だと名乗る、二人の女の子がやってくる。大きい子は、こないだは医者の役をやっていた、白山乃愛である。今回は愛人の娘。どんな演技で応戦するか、すごく楽しみではある。

しかし、当人が倒れたところで、当人の秘密が全て溢れ出し、それが妻の元に降りかかってくるというこの異次元は、コミック的展開であるが、どうにでもドラマが作れそうで面白くもある。まずは、菅野美穂の久々の演技に注目ですな!



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