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「Believe-君にかける橋-」失った自己のアイデンティティの回復というテーマの中で木村拓哉の新しい顔が見えてくるか?

刑務所の話を見ると「あしたのジョー」を想起してしまう年代だ。だからこのドラマ、木村拓哉がここからボクシングで名をあげてくれても全然問題ではない。だが、一ノ瀬ワタルは力石徹ではないから、そうはならないだろう。一ノ瀬をマンモス西にして、鼻からうどんのシーンを撮りたい気はする。そんなどうでもいいことを考えてしまうほど、木村拓哉を刑務所送りにするのは、刺激的ではある。

井上由美子のオリジナル脚本。初回の見せ場は、木村が業務過失で起こしたと言われる橋の崩落シーン。今や、CGを使えばこのくらいのシーンは平気で作れる。と、いうことはとにかくストーリーを面白くしないと誰もつてこない時代だとも言える。

そして、話の基本はシンプルにすることが大事。そういう意味では、まずは法廷シーンで木村拓哉の実刑が示され、刑務所のシーンに向かい、そうなった過去の事故が示され、その罪が、木村も納得しての冤罪だったことがわかる。全ては、会社を守るための替え玉入所みたいなものだ。いわゆる昔のヤクザ映画でよく出てくるやつ。今は、ヤクザでなくてもこういうことが行われたりするのかもしれない。でも、木村の口座にボーナスが振り込まれたみたいな話はなかったよね、どうなの?

そして、木村が刑務所生活をするシーンが出てくるが、大事な食事シーンと入浴シーンが出てきてないよね。今ひとつ、刑務所に入りたくない感じが示されてないのは、いろんなコンプライアンスがあるから?ドラマの中で受刑者がさん付けで呼ばれるようになったとあるが、これは本当なのか?本当でも、やはり、刑務所内は番号呼びでいいのではないかと思う私である。(この辺のあり方は意見が色々わかれそうですね)

そして、設定的には木村が腕力に自信があるような感じになっているが、そういうの必要か?それなら、やはり、刑務所内でリンチにされるくらいのシーンが必要なのでは?と思ったところで、なぜか逃走しようとして反省部屋に。まあ、木村の心が色々と戸惑ってる感じは出せていた。

で、木村の妻役が天海祐希って、もう一つしっくりこない。なら、誰がいいんだ?と言われる方もいるかもしれないが、天海と木村が愛し合ってるシーンが浮かばないというだけだ。このキャスティングが吉と出るか?

つまり、この話は木村が、上司の小日向文世に言われ、会社の下請けがやった資材を安価にして金を他のことに使ったという事象をないことにして、それを設計した木村の罪として全てをないことにしたということ。そして、」木村はそれなりの優秀なエンジニアだっただろうに、こんな鉄砲玉にされるくらいの歯車でしかなかったということを思い知らされる感じの話なのだろうが、その辺りの木村の苦悩や怒りが前に出てきていないのには違和感があった。

とはいえ、会社はその周辺に大きな瑕疵がないかのように世の中が動いてる中で、刑務所にいる木村はやはり納得はいかない。そして、彼自信が自分のアイデンティティを回復するように、外の世界を変えようとする話らしい。

という中で、刑務所の課長である上川隆也は、外の世界から指示を受けている様で、公にもこの事件で壊れそうなものがあるということだろう。木村拓哉はそのくらい危険な存在だということは、うまく獄死させてしうというストーリーもできるということ。つまり、大きな権力VS 木村拓哉という戦いのゴングが打たれたという初回なのだろう。

井上脚本だから、こういうドラマをうまく料理することはできるだろう。と、するとやはり、木村拓哉の芝居に作品のテイストがかかってくる。彼自身は抜群に上手い役者と私は思っている。そんな彼が大きな注目の中で新しい顔を見せることができるか?というところだろう。そう、この人に対してはずーっと、同じ様なことを思いながら私は見ている。ストーリーともども、爽快なものにしていただきたいと思う。



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