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「PICU 小児集中治療室」救命医療のドラマの初回を二人の子供の悲劇から始めるという大胆さが期待を持たせるが…。

主題歌が中島みゆきだと、ドラマがすごく大きく見えてくる。北海道が舞台ということもあって、彼女の歌が選ばれたということもあろうが、その大きな大地の子どもたちの命を救おうという話だ。それなりの大きな考えがあってのドラマなのだろう。そして、ほとんど何もできない医者である吉沢亮がそこにいる事、PICUを北海道に作ることになったのは、彼が学生の時に北海道知事に送った手紙が発端だったというドラマはなかなか面白い。そして、これが初回のラストで明かされるのだが、もう、吉沢がここから逃げ出すわけにはいかないということをこれは宣言しているような展開だ。とはいえ、さまざまな困難がどう彼に襲ってくるのかということも含め、視聴者にも覚悟みたいなものを感じさせる始まりであった。

大体、医療ドラマで、初回で二人の子供が死ぬ話で始まるとはかなり大胆だ。「ドクターX」ではないが、医療ドラマは患者を救ってナンボという部分があると思う。それなのに、子供を二人死なせてしまうとは、脚本家はある意味、キャストを底に落としてから這い上がらせようという感じなのだろうか?これ、オリジナル脚本である。そういう意味でも、ますます期待はできる。

そして、PICUを作る中心になる医者が安田顕。このキャスティングもなかなか新鮮だ。さまざまな脇役で彼の芝居の振り幅の広さはわかるが、医療ドラマで中心に立つとは驚いた。彼もまた北海道出身ということで選ばれたのだろうか?

他のPICUの仲間は、木村文乃と高梨臨。なかなか、良いキャスティングに見える。木村は、少し厳しい人間の役のようだが、どのように吉沢と絡んでいくかはなかなか楽しみなところ。

そして、吉沢の母が大竹しのぶで、バスガイドというのも興味深い。そして、その大竹と同じところで働く幼馴染の生田絵梨花。わざわざ、二人もバスガイドを配しているのは、バスの中での事故みたいなものが想定されているのだろうか?網走にいる、同級生の高杉真宙も、気になる存在。連続ドラマの中で共演者がそれぞれに主役になるだろう感じが見えてくる。また、最後に出てきた稚内の医師役のイッセー尾形。ただ謝るだけでここに出てきたとは思えない。そう、彼ら共演者たちが北海道の各地に散っていることでPICUの今後の活躍と苦悩が感じられる設定はなかなか良い。

まずは、PICUというものが、どういうものなのかを視聴者に見せるのに3回くらいかかるだろう。ジェット機での搬送を仮定して空港のそばに設置されたという話も、これからそれが現実として動いていくのかも楽しみだし、子供を救うための医療が、大人のそれとどう違うのかという点もよく見せていただきたい。そう、見どころはいっぱいありそうだ。

そんな大きな世界を吉沢亮の澄んだはっきりとした目で、わたしたちに語りかけてくれることを期待させるドラマだ。

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