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「フェルマーの料理」数学と料理のマリアージュ。解答から逆算する味のありか

TBS金曜ドラマは2クール続けて、コミック原作。昔は、山田太一などの社会性が強いものが多く、局の顔的な時間帯だったが、そのあたりは最近は日曜劇場に譲ったという感じになってきた気もする。

そして、主演は、高橋文哉。彼のことは、一昨年のこの時期に放送された「最愛」で知った私だが、確実に自分の俳優としてのありかを掴んでいるようだ。ジャニーズ問題もあり、もっと大きくなっていくチャンスでもあるのだろう。そして、ここでは天才料理人役の志尊淳との共演もなかなか刺激的な感じだ。志尊も、優しい役から、いかつい役までなんでもこなせる役者になってきたし、存在感もある。今回は、かなりエキセントリックな雰囲気を持つ役。本性がよくわからないのが魅力のようだ。

話は、数学オリンピックを目指していた高橋が、それに出ることに失敗し、学校の恥晒しだと退学にあいそうになるところで、志尊が高橋の料理の腕を知り、彼が高校を卒業できるようにしてやる初回。

東京の店に高橋を呼びつけ、彼にメインを作らせる。客は彼の高校の理事長御一行様。作る料理はナポリタン。今回、この料理が3回作られる。最初は高橋が賄いとして作り。次は高橋の部屋で志尊が作る。そして、最後に理事長のメインとして高橋が作る流れ。その味の深みが出せる種明かしがされるまで、なかなかのサスペンスになっていた。結果、その味に驚嘆させられた理事長は高橋の卒業を許す。そして高橋は東大に受かるが、それをけって志尊のもとで料理人を目指すことになる初回。かなりのコミック的展開だが、面白かった。

しかし、数学と料理を一緒にして考察していくというのは面白い。私も理系の人間だが、料理も好きだ。ここで、言われるように一つの解答に向かって段取りをしていくのは同じなのだ。これは、ものを作るという事象の全てに言えることだが、数学として考えることで段取りが良くなるのだ。つまり、順序立てることができるようになる方程式をつくれるかどうかということだ。

そういう意味で、このドラマの中でどんな料理がどんな方程式の元に作られていくかはすごく興味深いところ。そんな、このドラマの芯になる部分がしっかり作られれば、成功するだろう。初回のナポリタンは見栄えも美味しそうだった。そして、食器の温度管理の話も面白かった。

で、高橋の東京での友人役が白石聖。この間まで引きこもりの役だった彼女が今度は体育会系女子。この人も色々演じて、もっと大きくなってほしいひとりなので期待。また、同じ調理人で高橋の先輩として、小芝風花。3クール連続の連ドラ出演。乗っている感じ。「波よ聞いてくれ」「転職の魔王様」と真逆の性格の女子を演じ、今回はその二人ともまた違うクールな料理人。もはや、変幻自在の演技ができるようになってきた感じですね。彼女も楽しみ。

初回で、設定、キャラなどをしっかり期待させるドラマ作りはさすがTBSなわけですが、傑作となるかどうかはここからの構成力ですよね。とはいえ、料理ドラマは嫌いでない私であります。

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