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「マイファミリー」誘拐事件を起点にした、家族再生の話なのか?

最近は、日曜劇場の常連となった黒岩勉脚本の誘拐事件のドラマである。昨今は、罰則も厳しくなり、割の悪い犯罪とされ、昔のような誘拐での大事件は起こりにくいし、実際もあまり起こらない。子供の誘拐よりも、大人の誘拐の方が多いかもしれない。

そんな誘拐をテーマにした話である。誘拐された子供の父は、IT会社のゲームでのしあがった社長。そして妻と子供とは仲が悪い。住んでいる御殿は見てくれの状態になっているという、昔からありがちな話。でも、それなりに成り上がった者が誘拐事件に遭うというのは、黒澤明監督「天国と地獄」の現代版でもあるのだろうか?まあ、あのように貧富の差的ことの犯罪ではないようには思えるが、家族という組織の破壊に対し何か思うとことがあるものの犯罪のようにも見える。

そして、1回目は、昔からの誘拐事件に警察が絡んで、早期に解決しようとしたらどうなるか?という話。まず、報道各社への報道規制を引いて、家の中に逆探知、等の機械を取り込み、周辺の捜査体制を固める。ここで、担当の玉木宏が「料理の腕が大切」というのは、新しい話で面白かった。「天国と地獄」が作られた時代には、被害者のメンタルなど考えるわけもなく、まあ、昨今の警察も怒鳴るよりは、冷静に穏やかに事件解決に進むのが路線なのだろう。

そして、この報道規制という中に、ネットニュースは含まれていないというオチで1回目は終わる。そう、今は誰でもが報道できる時代だ。古臭い、記者クラブの規制など超えるすべはいくらでもあるし、海外メディアが国外から報道することだって可能なわけだ。この辺り、今の警視庁やデジタル庁の見解を聞きたいものである。そういうことを考えると、このドラマはなかなか挑戦的である。

昔と違って、携帯をいろんなところに隠せる時代。加害者がその時間に動かずに、携帯で被害者と話せるというのも時代を感じさせる。加害者にバレないように骨伝導の無線機器を警察が使っているのも、珍しい。たぶん、脚本家は、さまざまに取材して、今の監視社会の中で、誘拐を成功させるにはどうすればいいか?ということをかなり考えたのだろうと思う。初回には出てこなかったが、監視カメラを追うという作業ももちろん出てくるだろうし、誘拐して、そんなにさまざまな事を隠し続けられるものではない。それ自身が見どころなところはかなり興味深い。

そして、警察のサポートなしに、事件解決をしようとする夫婦、二宮和也と多部未華子の演技は安心して見ていられるのもいい。そう、話の流れに没頭できる感じである。そして、容疑者的に配置される、賀来賢人や濱田岳もまた、印象的な配置。とにかくも、誘拐事件ドラマというのは、その誘拐の方法と、それを起こした意味合いが大事なわけで、その辺りがこれから3ヶ月の長丁場でどう開示されていくかだろう。

最後に、家庭がまとまって、新たな一歩を歩き出すみたいなラストにはなる気はするが、まずは、犯人のこれからのミッションの進め方が興味深い感じはする。

しかし、主題歌のUruの声というのは、犯罪ドラマになんかすごく親和性がありますね。犯罪の裏には、常に悲しい物語が潜んでいるからでしょうか?

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