見出し画像

「たとえあなたを忘れても(第9話)」ラスト、信頼で結ばれてるという画に皆がどう思うか?という問いかけ

前回のラストで不穏な雰囲気というか、寝起きの萩原利久の視線が定まらないのが気になった。そして、それが最終回のラストにつながる。子供が寄ってきて萩原の膝枕に乗っかり、隣に堀田真由が座る。堀田が握る萩原の手。それを握り返す萩原。その前のあるテレビには廃墟でピアノを弾く堀田が写っている。なかなか、意味深な終わり方。「あしたのジョー」の最後のように、そこで萩原に記憶があるのかないのかは断定はできない。でも、ほとんどの人が記憶がなくなってると思ってるかもしれない。萩原の演技はそういう演技に見える。でも、彼が堀田の手を握り返したことで、二人の間にある信頼関係は生きていることは確かだ。大事なのはそこだという脚本家の意思を感じるし、このドラマのテーマはそこにあるのだろう。人を好きになるということは、信頼関係を築くということだと・・。

ある意味、最終回はこのラストまでは、とんとん拍子でこのままハッピーエンドでいいじゃないかと思ったが、それではドラマにならないということでもあるのだろう。

まずは、前回の雨の中の抱擁から、萩原が記憶を失くした嘘をついていたことはわかり、堀田の方から「結婚しよう」と言い出す。

そして、まずは堀田の母のところに二人で尋ねる。今回はこの母親役の加藤貴子の演技が光った。こういう場面で母親はどう対応するのかというのをかなり考えての演技だとは思うが、まあ、普通はこうなるよねという母親を見事に演じ切っていたのが印象的。そして、萩原がコーヒーを淹れてそれを飲んでも心はそんなに動かないし、サプライズの結婚式が行われようとする時も、割り切れない顔をする。そして、心配だが、やはり、娘の花嫁姿を見れば、祝福するしかないと心が動く様を見事に演じていて、その後、孫が生まれた後は、良きおばあちゃんとして生きてるのがよくわかる演技。ある意味、彼女の描き方が、視聴者の不安とシンクロしていくわけで、彼女の演技があってこそ、二人を祝福できるみたいなところはある。この辺りは、キャストが脚本をどのくらい読みこなして演じるかというところのうまさなのだろう。

そして、結構、しっかり描かれていたもう一人の記憶を失くした娘の畑芽育が、元彼と結びついたのも、視聴者的には「よかったね」と言えるところ。女友達も交えて、こういう親友がいることは彼女にとって幸せでしかないし、彼らがまた失くした過去を埋めてくれるというのは、奇跡的でしかない気はする。つまり、どんなことがあっても人柄が変わらなければ生きていけるのだ。それは、ラストにもつながる話。

そして、風間俊介と岡田結実が結ばれそうだというのも良い終わり方ですね。まあ、医者と薬剤師という関係も不思議ではない。

とにかくも、新しい仕事に燃える檀れいなども含め、皆が幸せになって終わるドラマなわけです。ラストシーンに色々考える人がいるかもしれませんが、真摯に他人のことを考えてあげられる人たちが不幸にはならないのですよ。

スタッフ、キャストの皆様、柔らかく美しいドラマをありがとうございました!

この記事が参加している募集

テレビドラマ感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?