見出し画像

2023中日ドラゴンズの戦力分析とドラフト戦略

こんにちは。ラスターです。

いよいよドラフトまで2週間を切り、ドラフト関係の記事も多くなり、ついに昨日は広島東洋カープが青山学院大学常廣投手を1位指名公言するなど、皆さんもワクワクが止まらないのではないでしょうか。

先日私が記載した注目選手12人紹介記事で真っ先に挙げた佐々木麟太郎選手も、プロ野球には進まずアメリカの大学進学を決意し、それによってドラフトの環境も一変したように思えます。

佐々木選手のアメリカ留学、広島東洋カープの常廣投手公言も踏まえて、今年の中日ドラゴンズが取りうる戦略を考えていきます。


現状戦力の確認

とにかく不足の得点力

半世紀ぶりの貧打として話題にもなった今年の中日ドラゴンズのシーズン得点「390」。兎にも角にも今オフの課題はこの得点力であると様々なメディアで指摘がなされています。
実際、シーズン防御率2.44でフィニッシュした柳投手の勝敗が4勝11敗というのだから、その貧打ぶりは記憶にも記録にも残る、歴史的なものと言って間違いないでしょう。

では実際にどのポジションで得点が取れていないのか、改めて確認するまでもないところではありますが、DELTAという野球のデータサイトからwRC+(リーグの平均的な打者を100とした際にどれだけ得点に貢献しているかを示す指標)を引用して確認していきます。
また、wRC+を用いて比較するのはパークファクター(球場による成績の偏り、例えば狭い球場ではホームランが出やすく打撃成績に有利、等)の補正がかかっているためです。
下の表が、中日ドラゴンズの今シーズンの各ポジションを守った選手のwRC+と、そのセリーグ内順位です。
(有料情報のため詳細までは載せないようにします)

確認をすると途中加入の宇佐美や木下の守る捕手、
そして今年横浜DeNAから移籍した細川が守るライトでは他球団よりもアドバンテージを稼げていることがわかります。

ただし、各方面から指摘されている通り二遊間の値はパークファクターを補正したwRC+ですらどちらも70に届いていません。
ちなみにパークファクターを補正しないwRC(得点貢献の量で、100が平均というわけではない)ではセカンドが「29.8」ショートが「27.3」とかなり厳しい値となっています。
また、各球団の強打者が並ぶコーナーポジション、ファーストやサード、そしてレフトでも6位5位6位と厳しい数字を突き付けられていることがわかります。

一応フォローをするとするならば、サードは宮崎や大山、岡本など各球団を代表する打者が守っており、中日ドラゴンズでサードを主に守った石川昂弥は22歳にしてはかなり頑張っているといえるでしょう。

これらから、どこの打力が足りていないのか、と言われると、捕手・岡林・細川以外すべて、という結論に至ります。また、特に伸びしろが大きく、戦力が必要なのはセカンドショートレフトでしょう。

また、石川以来高卒の大砲候補獲得しておらず、ブライト鵜飼と打線の軸になるべきプロスペクトが右打者ということもあり、左の高卒スラッガー、そして大野引退により6人となった捕手も獲得したいところです。

投手状況

ここまでで、やっぱり即戦力野手が必要だからドラ1は大卒野手だね、というのは流石に早計というもので、投手状況の確認も必要です。

中日ドラゴンズの投手といえば柳、高橋、小笠原、涌井の11敗カルテットを生み出してしまったことで話題ですが、その責任は先にも話した野手の得点力不足です。
実際にチーム防御率は3.14で阪神の2.79に次ぐ2位と悪いわけではない、というのが大方の見解です。(どころか柳は防御率2.44,高橋も防御率2.53でそれぞれリーグ順位は6位7位だ)

ただし、見方を変えれば広いバンテリンドームをホームとしながらチーム防御率は3.14止まりとも言えます。
バンテリンドームで有利となる9イニング当たりのHRの値は0.57で1位である一方、WHIPは1.22の5位、守備から独立した防御率の指標の1つ、tRAでは3.40でリーグ4位であり、広いバンテリンドームを本拠地としながらこの値は果たして十分といえるのかは議論すべきです。

また、岡林、細川、石川らを始めとして売り出し中の若手が多い野手の面々と比較するとピッチャーは中堅~ベテランが多く、ここで問題となるのはFA事情と加齢です。

中日の今シーズンの主な先発投手陣は
柳、高橋、小笠原、涌井がおり、松葉、福谷、メヒアが50イニング前後を投げています。
ここに来シーズンは怪我から復帰する大野雄大投手、今年頭角を現し始めた仲地、根尾、梅津が本格的に参入する形となると思われます。

それを考えれば十分な頭数がそろっているようにも思えますが、しかしやはり来年2024オフにFA権を取得すると思われる柳と小笠原のことは考える必要があるでしょう。
また、来年は十分でも再来年、39歳を迎える涌井や37歳となる大野雄大が十分なパフォーマンスを見せられるかどうかは、信じたいところですが確実とは言い切れません。
仲地、根尾、梅津らが順調に育つとも限らず、特にケガがちな梅津はとても期待している一方でシーズンを通した戦力に数えていいのか疑問が残ります。
それらを踏まえると、数年後を考慮する必要のあるドラフトでは即戦力ピッチャーの整備も重要となってきます。
特にFAで小笠原が仮に出て行ってしまった場合の先発左腕の不足は考えたくもありません。

以上を踏まえて、

ドラフト上位候補の確認

下記記事でも12人の目玉候補を詳細に並べましたが、改めて上位候補を並べます。ランク付けは個人の感想です。

SS級 1位競合レベル(#は左腕)
大卒投手
 常廣(広島公言)、細野#、西舘勇、武内#
高卒投手
 前田悠伍

S級 1位~2位最上位レベル
大卒投手
 西舘昂、下村、草加、古謝#
社会人野手
 度会(外野手)※高卒社会人
大卒野手
 上田(三塁手)
高卒野手
 真鍋(一塁手)、

A級 ドラフト2位~3位レベル
大卒投手
 岩井、上田、村田、松本、富士、尾崎#、高#、滝田#、
高卒投手
 東松#、木村、坂井、日當、仁田#
大卒野手
 進藤(捕手)、廣瀬(二塁手)、辻本(遊撃手)、熊田(遊撃手)、宮崎(外野手)
高卒野手
 堀(捕手)、明瀬(一塁手)、山田(遊撃手)
 森田(三塁手)、横山(遊撃手)、武田(外野手)

ここまで
高卒投手:6名
大卒投手:16名
社会投手:0名
投手計22名
高卒野手:7名
大卒野手:6名
社会野手:1名
野手計15名
計36名を挙げています

例年の傾向からすれば社会人の選手が少なく、大卒投手が多いです。
特にドラフトの目玉といえる選手には東都リーグのピッチャーが並び、今年のドラフトにおける即戦力投手の充実ぶりがうかがえます。

しかしやはり1位競合クラスの投手と2位最初に獲得できる投手の力量には差があると考えるべきで、即戦力投手が豊富だから2位の最初に獲得できる、よし1位は野手や!とも行きづらいところです。

考えられる2つの方針

上記状況を踏まえれば、取りうる方針は2つです。

プランA やっぱ即戦力野手やろがい

やはり来年を戦うために野手。即戦力投手は2位の最初に残ってる選手から選ぼう。目玉選手である明治大学上田希由翔選手を競合覚悟で取りに行く。(上田選手の成績は下のリンクから)

セカンドショートの打力が足りませんが、牧選手のような強打の二遊間というのは本当に中々現れないもので、今年も例にもれずなかなかいい候補がいません。
社会人の度会選手もセカンドを練習しているという話がありますが、どこまで守れるか不明であり、今年夏以降まったく長打が出なくなってしまい伸び悩んでいるため、上田を優先する形としました。

この場合は2位指名で真っ先に即戦力投手になるかと思います。理想は下村、草加が2位まで残ることですが、今年のドラフトの共通認識としてとにかく上位の大卒投手がよく、一方で2位まではそうそう残らない(その他候補が控えめ)というところがあります。
1位指名12人が仮に
1常廣、2細野、3西舘勇、4武内、5西舘昂、6下村、
7草加、8古謝、9岩井、10前田、11松本、12上田
などとなった場合(全然あり得ると思う)
思った以上に即戦力の先発が残ってなくてビビることになります。
まぁそうなってでも上田が欲しい時のプランです。

3位4位では高卒投手と高卒野手から評価が高い選手が残っていれば1人ずつの組み合わせで取ることになろうかと思います。

プランB 今年は即戦力投手やろがい

上田の存在は魅力的ですが、守備位置が使っていくべき石川 昂弥と被ることや、防御率3.97の涌井が111イニングも投げる必要があったこと、涌井大野の加齢によるパフォーマンス低下、柳小笠原のFA流出リスクなどを踏まえるとやはり今年は大卒投手。

そもそも大卒野手が1年目から通用するなんてことは近年では(牧や佐藤を除いて)少なく、田中や村松、ブライト鵜飼といったこれまでプロスペクトとして獲得した選手を育てるのが先決。課題の二遊間は来年ドラフトとなる宗山まで我慢しましょう。というのがこのプラン2です。

そうと決まれば1位は編成上不足している先発左腕。
中でも個人的な推しは武内夏暉(國學院大學)です。

今年の中日ドラゴンズの課題の1つに、与四球率の高さがあります。
広いバンテリンドームではホームランを打たれる確率が低いため四球を出すのはもったいない。打たれてもストライクゾーンで勝負しろという話がよくありますが、中日ドラゴンズの四球を出す確率であるBB%は7.4%で12球団中10位、セ・リーグでは最下位です。広い本拠地を構え優勝した阪神が5.1%で1位であることを考えると、大きな課題であるといえます(1点取られたら負けが濃厚であるという状況がそうさせているという話もあります)

そんな中日にとって、与四球率が低い武内選手はぴったりだと考えます。
奪三振率は若干低めですが、その辺は大野という最高のお手本がいるので、参考にしてほしいところです。

この場合2位でどうするかという話があります。
1位で即戦力左腕を確保できたのち、2位で下村や草加といった1位候補に名を連ねる即戦力ピッチャーが残っていた場合、重ねる手が非常に魅力的です。

ただ、下村草加が残っていなかった場合に岩井らまで重ねに行くかは疑問が残ります。
その場合は即戦力野手である、セカンドができなくもない廣瀬も考えられますが、即戦力野手はあきらめたものとして高卒に行くことも全然ありだと思います。
戦力が不足しているからと即戦力を取りまくって後に後悔することとなったかつてのドラフトを繰り返してはいけません。ドラフトは少なくとも5年先までは見る必要があるということで、地元の享栄で大島の後輩である東松投手、たぶん残ってないけど左の高卒スラッガー真鍋選手、岡林二世の武田、右の大砲候補森田など、個人的に魅力な選手は何人も残っていそうです。

まとめ

上田希由翔を1位とするプランA、武内夏暉を1位とするプランBを紹介しましたが、個人的にはプランBであろうと考えています。
中でもこの順位で残ってたら嬉しい、を羅列した理想が混じった予想として

1.武内夏暉 大卒左腕
2.下村海翔 大卒右腕
3.山田 脩也 高卒ショート
4.佐倉侠史朗 高卒左スラッガー
5.鈴木 叶 高卒捕手(地元枠を兼ねて)
6.福田幸之助 高卒左腕
7.津田啓史  高卒社会人ショート(個人的に好きな三菱重工枠)

全体的に、そこまで残ってるわけねーだろ、というリストになってしまいましたが、こういった指名が見られれば個人的には大満足、200点です。
即戦力野手も当然欲しいところですが、近年即戦力野手を取りまくっているため控えめに。
高卒捕手は昨年2人獲得していますが、支配下のキャッチャーがルーキー2人を含めて6人しかいないので、今年も1人。
高卒投手は最近下位ではあまり獲得していませんし、6位の枠はうっかり残ってた即戦力投手になるかもしれません。

そうはならなくね?って話がありましたらぜひ教えてください。
それではまた!!

追記 10/15のサンデードラゴンズで赤星さんが
細野晴希
岩井俊介
森田大翔
鈴木叶
松本健吾
津田啓史
という予想をしていました。
1位に大卒左腕、2位で1位から漏れた即戦力右腕、中位で左右に拘らず高卒スラッガー、4位で私も指名した捕手の鈴木選手、福田幸之介の枠にトヨタの即戦力投手が入ってこれまた私も指名した三菱重工の津田選手という、
私の理想から3位の山田選手を抜いてあり得そうな指名順となっていました
やっぱり大体こういう方針になるんだね


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?