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置かれた場所で咲けるかどうかは別として、好きでいられるかどうか

新卒で入社した会社での配属先は全く望んでいない場所だった。

散々面接で言ってきたことも、その過程でわたしがこの会社で求められていると思ってきたものも、まったく加味されてなくて、しばらく不貞腐れた。

配属先が発表された後実家に帰ると「あんな会社すぐ辞めてやる!」と感情をぶちまけた。

会社員になるなんてそんなもんだ。自分のやりたいこととは関係なく人員が足りない場所に割り当てられるのだ。

そう割りきりたかったけれど、悩んで悩んで就活を始めて、会社に入って働くことに希望が持てるようになって、それなのにいきなり現実を突きつけられて、その落差に心が追いつかなかった。

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落胆の中始まった配属先での実務。

先輩たちは優しくて、チームのメンバーはみんないい人ばかりだった。

仕事内容は望んでいたものとはかけ離れていたけど、自分では飛び込めない分野に触れて、時が経つにつれおもしろいと思えることも増えてきた。

しばらくして仕事内容が変わって、就活中に望んでいたことにも少しずつ関わることができてきた。

あれ、わたしあんなに落ち込んでたのに、もう、すぐに辞めてやると思うほど、ダークサイドに落ちてない。

まだもうちょっとここで頑張れそう。

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そんなこんなで4年、その会社で働いた。あんなに嫌だった配属先も、「幸いにも異動もなく」と言えるほど、愛着がある場所になった。

正直、自分のやりたいことをこの会社で成し遂げるために働き続けるほど最終的には気持ちが続かなかったし、誰もが唸るような実績は残せなかったけれど、あの場所にいたことに後悔はない。

花を咲かせられたかどうかはわからない。でもあの場所が好きだった。

そういう場所が人生の中であっただけで、それは幸せなことなんじゃないだろうか。


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