渦 第14話
自分の中に潜む魔物は、いつからいたのか?
私には幼少期のときから存在していた。意識をしだす前から。
では、渦は私の産まれる時にすでに私の内部に存在していたのではないだろうか?
渦を育て大きくしてしまった原因は確実に私の自身であると
確信しているが、渦を造り上げたのは私ではないのではないだろうか?
では、どこから産まれたものなのか?
そしてこの体内の魔物は、私だけのものなのか?
カフェで隣の席に座って携帯で話している女性の話が聞こえてくる
会話相手と誰かの話をしている。その誰かは少し彼女たちが考える
倫理感や常識に外れた人であるらしく、その誰かの行動や言動を
しきりに話していた。会話が盛りあがっているのだろう
声の音量もあがると同時に言葉のチョイスが粗々しくなっていく
次第に誰かの呼び方もあの人からあいつと変わっていく
『死んでくれればいいのに』
その言葉を発した彼女の口からは確かに渦の存在を感じたのだ。
初めは何も感じなかった。でも会話の終盤、そいつは彼女の
体内から出てきた。
あれは渦だ。
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