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ココスかガストか夢庵か

「ファミレス」が恋しい。
こんなことを思う日が来るとは思わなかった。
「ファミレス」に行きたい。早く行きたい。なるはやで行きたい。
もうしばらくの間、恋焦がれている。


「いやごちゃごちゃ言うてんと早よ行けや。え、まさか閉まってると思ってる?まじ全然営業してるから。ほら、クーポンやるやん。だから早よ行ってこいやぁ!!!」


と唐突に荒れ狂う前に一旦聞いてほしい。もちろん僕も外界との交わりを完全にシャットアウトしたわけではないので、一定の時間まで開いていることぐらいは知っている。しかしながらこれはそんなに単純な話ではないのだ。




僕が言っている「ファミレス」とは、「深夜1人でだらだらケータイ見ながら何かしらの作業をしてなんとかドリンクバーとポテトで粘りつつ夜を明かすあれ」を指している。
「大して頭使ってないくせに苦悶の表情を浮かべながらドリンクバーの飲み過ぎで頻繁に頭掻いてトイレに行くあれ」である。
「てかもう半分ぐらい深夜に何かに取り掛かる自分に酔いに行ってるだけで絶対日中やって夜寝た方がいいあれ」とも言えるかもしれない。


とにかく僕はこの「ファミレス」にいち早く行きたいのだ。
もう1年以上も行けていない。というか行くことが許されていない。

家ではもう笑っちまうしかないぐらい何の作業も進まない僕は、今までこの「ファミレス」に幾度となく助けられてきた。



大学時代に必修だった第二外国語の韓国語を1回生でぶち落とし、2回生で再履修していたときのテスト前に、後がない状況でほぼ泣きながらハングル文字を頭に叩き込んだのも「ファミレス」だった。

大学4回生の頃、就職活動が終わり、あとは残りの大学生活を楽しむだけとはしゃぎちぎってた矢先に、就職した銀行から「証券外務員一種」という資格取得を至上命令とされ、これまた今回は完全に泣きながら投資信託や債権業務、デリバティブ取引についての知識を何日にもわたり学んだのも「ファミレス」だった。

さらにはNSC時代、コンビを解散して相方を探しているくせにネタ見せの授業では全くネタをせずに、ただただ他のコンビのネタを見て帰る生活に嫌気がさし、震えながらR-1グランプリにエントリーして、一度もやったことのないピンネタを、このときにいたっては泣くどころか「セカチュウ」もしくは「キミスイ」観たあとぐらい嗚咽しながら考えたのも「ファミレス」だった。


その甲斐あって、韓国語の単位は取れたし、証券外務員一種の資格は取得できたし、R-1グランプリの1回戦に合格できそれがきっかけでコンビも組めた。


何もかも「ファミレス」のおかげである。
(今となっては、韓国語なんて学んでないのと同じぐらい何もわからないし、デリバティブとか言われたらちゃんとキレてまうぐらい銀行の知識は忘れたし、コンビ解散して久しぶりにそのときに作ったピンネタをこの前のライブでやったらちゃんと外すとこ外したけど)


とにかくこんな精神的に脆弱な人間が、いつも人生のギリギリで耐えてきた隣には、いつも「ファミレス」がいた。やつの支えがなければもっともっと弱い人間になっていたはずだ。今度「ファミレス」には日頃の感謝を込めて、ラーメンの一杯ぐらいご馳走したいものである。


22時頃に入店して、外の暗さが嘘のように思える明るい店内で、メロンソーダとホットココアを交互に飲みながら、やみつきカリカリポテトのバーベキュー&マヨもしくは山盛りポテトフライと共に日の出を迎えたいなー
とぼんやり思いながら、僕はこんなnoteを自宅で書いている。

おそらく、もう少しの辛抱だ。





…いや夢庵ってどこにあんの?


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