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在宅勤務中は「ビジネススキル」を子どもに教える。休校の3カ月で考えたこと  #ハフライブ

私が編集長を務めるハフポスト日本版が、新型コロナによる「一斉休校」に関するアンケートを取ったところ、保護者から621件(5月25日夕現在)の声が寄せられた。本当に大変な勢いで集まった。

安倍首相が休校を要請してから、およそ3カ月。在宅勤務と子どもの自宅学習が重なったことへの悲鳴。それは、こんな声だった。

「仕事がすすまない。YouTubeの見せっぱなしで罪悪感」

「子どもが椅子にも座ってくれない」

「IT化が遅れている学校には期待しない」

「もう無理だ…」

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621件の回答をすべて読んだ。

私自身も、長男が新型コロナの休校中にいつのまにか中学生になり、妻も自宅で働く「当事者」。毎日の家事も、仕事も、自宅学習も、何とかこなすだけで精一杯。いつの間にか夜に。アンケートを読むと大変な日々が思い出され、胸が苦しくなる。

6月が近づいてきて、学校もそろそろ再開しそうだ。だが、再び感染がひろがる「第2波」が将来やってくるおそれもある。オンライン教育もあまり進まなかったこの3カ月。このままで日本の教育は大丈夫なのだろうか?働く世代が出来ることはあるのだろうか?

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学校との向き合いかたが変わった

今後のことを考えるうえで、ヒントとなるデータがアンケートから読み取れた。

それは、621件の回答の中でも、今回の学校休校の経験を機に「学校と向き合おう」とする姿勢が目立ったこと。「休校によって子どもへの教育との向き合い方は変わるでしょうか?」という質問には、半数近くの46%の人が「変わる」と答えたのだ。

私もそうだが、休校によって、恥ずかしながら初めて子どもの教科書を本格的に読み込んだ。いまの小学生や中学生がどんな勉強をしていて、何を目指しているのかを知った。

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息子と1 on 1をしてみた

私の息子の中学校は先生たちの奮闘のおかげで、オンライン授業が導入された。日本の中でも珍しく、とても幸運なことだった。

だが、中学生にもなると親が教えられることは次第に少なくなるのも事実。どうしたら良いかは、最初の1-2カ月は四苦八苦していたが、5月に入ってから「何に困っているか」ということをストレートに長男に聞いてみた。自分が編集部でチームメンバーにやっている1 on 1と同じ要領だ。シンプルに、率直に向き合う。

すると長男は、①オンラインの授業は集中力が続かないこと ②1日のスケジュール管理をするのに苦労していること を語ってくれた。

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メモの力を伝える

そこで私は自分が仕事で使っているものと同じメモ帳を渡し、それに「タスクリスト」を作るようアドバイスした。オンライン授業で集中力が続かないのは当たり前のことで、「お父さん(私のこと)もZoomミーティング続きで疲れてしまうこと」や「たまに画面から離れてストレッチすることの大切さ」を伝えた。

もちろん「ビジネススキル」というには大げさだが、自分の仕事と教育が「地続き」であることを発見したのは自分と息子にとって大きなブレイクスルーだった。これからもっと長男と会話ができる気がする。

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ところで、アンケートをとったのは、ハフポストがTwitterで生配信する番組「ハフライブ」のためだ。家庭学習の今後を考えるというテーマ。火曜日5月26日午後9時から無料で視聴できるので、ぜひ見て欲しい。ここをクリックすれば、時間になると始まる。

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ゲストとして、日本マイクロソフト Microsoft 365 ビジネス本部の山崎善寛本部長をお呼びしている。

同社は、今月からすべての都立学校の生徒や教員に学習支援サービスを提供している。ビジネスでも使うようなオンラインのツールをつかって教育をより良くしようとしているのだ。

山崎さん自身も、中3の公立校に通う子どもと、中1の私立校に通う子どもがいる。仕事部屋と子ども部屋を時にはシェアしながら、仕事と家庭学習の両立に取り組んでいるので、「当事者」としての視点も持っている。

文科省は、全国の小中学校に「1人1台」のパソコンやタブレットを配る「GIGAスクール構想」も進めている。こうした構想を単に「学校任せ」にせず、働く保護者がどこまで何をできるのかを考えたい。

ビリギャル小林さんと考える「座学じゃない勉強」とは?

もう一人のゲストは映画『ビリギャル』のモデルとして知られる小林さやかさんだ。事前にインタビューしたときに、「自宅で座って勉強してくれない子どもが多く、悩んでいる人がいるんです」と伝えたところ、こんな答えが返ってきた。(インタビューの全文はこちらのハフポスト記事で読めます)

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「そもそも、座学前提で考える必要がないのかもしれません。以前視察にいったシンガポールの小学校には机がありませんでした。教室はソファがあってリビングルームみたいで、子どもたちはどこでどういう状態でも勉強していい。寝そべって本を読んでいる子もいました。時代が違うんだから、大人がこうすべきだと思うことを押し付けるのはおこがましいと思います」
「日本は普段から、自分で主体的に考えさせる教育をあまりしてきてないので、今の休校も『やったー』で終わってしまっている子どもも多いかもしれません。でも、他の国の子どものリアクションを知りたいですね。もしかしたら『どんなに些細なことでも自分で考えさせる』という教育をしている国は子どもたちの反応が違うんじゃないでしょうか。今こそ周りの大人たちはそういう教育を目指すべき。むしろチャンスだと思う」

確かに!!と思った。

大人のビジネスの現場でも、ブレストをする「場所の雰囲気」は大事だ。立ちながらミーティングをしたり、ホワイトボードを入れたりするだけで、アイデアの量はぐっと増える。

ハフポストもたくさんのイベントをやるが、席を自由に配置したほうが、Q&Aが活発になる。

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ワークライフバランスの次の「エデュケーション」

私たちの社会はこれまでワークライフバランスを推し進めようとしてきた。

それもまだ道半ばなのに、これからは「子どもの教育」というミッションも加わるのだ。

新型コロナによる3カ月の学校休校がつきつけている課題は多い。

オンライン教育を受ける環境が整っていない世帯もあり、国が何もやらずに「家庭におしつける」ことだけはあってはならない。そもそも国は教育制度を維持し、教育条件を整備する義務がある。

さらに、コロナ禍で学校のような居場所がなくなり、給食がなくなったため、まともにご飯を食べられない児童もいる。

私が息子に教えた「メモ帳の使い方」のような小さな小さな課題解決から、起業家の発想力や会社幹部の経営力まで、様々なビジネススキルを教育の「課題解決」が生かせるのではないのか。

そんなことも考えていきたい。

良かったら、ぜひ番組も見て下さい。

5月26日(火)21時からハフポストがTwitterで生配信する番組『ハフライブ』では、慣れないことの連続だった「在宅勤務」を振り返り、働く世代に突きつけられた「家庭教育のこれから」について考えます。       ▶番組はこちらから (時間になったら始まります)

アンケートもまだ募集しています。こちらからフォームに飛びます。3-5分で出来ます。
よかったら、ご協力ください。

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