ちょっとした趣味としての総合格闘技:「ONE X」を終えて
同居している河野さんの影響で、総合格闘技に興味を持つようになった。
最近のRIZINもPPVを購入しては、ライブで観戦するようになっている。
で、今回ONEの10周年記念興業「ONE X」があり、日本人選手も多数参戦とのことで、PPVを購入して、ほぼすべての試合を観た。
RIZINを筆頭に最近の総合格闘技は、YouTubeをはじめとしたSNSを活用したマーケティングが当たり前になりつつある。地上波で放送されていた頃のPRIDEやDREAMでは、試合前後にテレビで煽りVTRが流れる程度であったが、最近の潮流としてはSNSで丁寧に文脈が紡がれて、煽りに厚みが出てきている。
そこに、プラスアルファで選手個人のSNSでトラッシュトークが入り乱れたり、選手個人のYouTubeの動画や配信が切り抜かれ、文脈の質量ともに追いきれないくらいに増しているのが現状と言える。RIZINでいえば、その渦の中心にいるのが間違いなく平本蓮ということになるのだろう。だって、MMA1戦0勝の選手が大会のトリを飾る、なんてかつてあっただろうか。幻想や虚構にレバレッジをかけて、興業を成功させるのは以前からの習わしであったにせよ、その事象が極大化しているような印象さえある。
今回の「ONE X」、数あるカードのなかでもっとも楽しみにしていたのは、言うまでもなく「青木真也 VS 秋山成勲」の一戦である。青木選手のことは以前から知っていた。もちろん、青木選手がかつてPRIDEで戦っていたときは、リアルタイムでテレビで観ていた記憶がある。
くわえて、大人になってから交友のあるGOの三浦さんや幻冬舎の箕輪さんが青木さんと絡んでいたり、一緒にコンテンツを作っている過程に触れることで、青木さんの孤高のキャラクターや内面に触れることとなり、より興味・関心が強まった。
とくに箕輪さんがちょっと前からYouTubeでやっているサウナ番組「サウナノフタリ」は第一回目の見城徹さん回から胸を鷲掴みにされる構成(男子はだいたい好きなやつ)で第二回目も楽しみにしていた。第二回目の今回、前から気になってはいたけど、そこまで深く知らないゲストとして青木さんが出演された。
今回からCHILL OUT(チルアウト)のスポンサーがついたとのことで、これからも番組がゆるくでもいいので長く続いてほしいことを願っている身としては朗報だ。ぼくもお金があったらスポンサーしたい。
「本当のことを言い続けるためには、それだけの強度がいる」との、青木さんの言葉が頭に残った。番組を観てから一気に興味が湧いて、そのまま著書『空気を読んではいけない』も即日読んだ。
戦略的に孤独と向き合うこと、無駄な馴れ合いで人生を消費しないこと、自分で自分の道を切り拓くこと。氏のイズムが凝縮された一冊だった。巻末、GO三浦さんの解説もグッとくるものがあった。読了後、翌日に控えた「青木 VS 秋山」戦への期待値の沸点は限界に達していた。
結果に関しては、皆さんご存知の通りであるが、にわか中のにわかのオーディエンスであるぼくが何かを語ることはしない。そんなこと許されないだろう。もし、これからも青木選手が戦い続けるのであれば、ただその背中を応援していくだけだ。
大会全体を通して、度肝を抜かれたのは、やはり最後のメインカードであった「アンジェラ・リー VS スタンプ・フェアテックス」の一戦だ。とにかくアンジェラリーが強すぎた。MMAファイターとしての総合力、完成度が頭何個分も抜けている印象が素人目にも明らかだった。
ちなみに、格闘技には興味がなくとも、ビジネス全般やサバイバルものの番組が好きな人はNetflixの『アプレンティス:ONE チャンピオンシップ版』がお勧めだ。
世界各国から集ったビジネスエリートたちが、ONE Championshipを主宰するCEOのチャトリ・シットヨートンと働く権利を得られる一席を争って戦う。ワークアウト系の体力課題と、ビジネスプレゼンテーションの交互が繰り返され、毎エピソード脱落者が出る。その過程で垣間見える、他候補者を蹴落とそうとする印象操作や徒党を組もうとする合従連衡。
基本的にそのジャッジを下していくのはONEの社長であるチャトリなのだが、その意思決定を補佐する友人枠として登場するZoom社長のエリック・ユアンであったり、Grab社長のアンソニー・タンなど、グローバルで誰もが知るようなCEOがぞろぞろと出てくるのもこのシリーズの一つの見どころとなっている。
格闘技団体としては新興であったONEがいかに、シンガポールを拠点にし、今回の「ONE X」に至る拡大と成功を遂げてきたのか、その一端も垣間見えると思う。まあ、各エピソードごとにそれほどの展開的な差異がないので、途中やや中だるみしかけるのだけれど、ぼくのようにポーカーをしながら合間に観る分には耐えられる内容であった。気になる方はぜひ。
ケニアで無職、ギリギリの生活をしているので、頂いたサポートで本を買わせていただきます。もっとnote書きます。