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Somebody love me!

今日は割り算の話をしよう。ラスボスと言っても過言ではない。

というのも、これまで話した3つの計算とは決定的に違う点があるからだ。それは

「1つの式で違う意味を持つ」

という点だ。

「5+3だってリンゴ5個あって3個もらうって話と、5本の花に3本加える話は別の話じゃん」という指摘が聞こえる。オーケーその通りだ。

確かにリンゴ3個もらうのと、花が3本増えるのは別の話だ。前者は八百屋でオマケしてもらったのかもしれないし、後者は恋人の誕生日に買うバラの本数を増やしたのかもしれない。日常の1コマと、ロマンティックなエピソードは全く違う。

ただしその2つを「3増える」と一括りにしてしまうのが算数であり数学だ。どんなエピソードがあろうが、「3増える」ということに違いはない。そんな味気ないものをやってたまるか、そのエピソードにこそ美しさを感じたいんだという貴方の感性に賞賛を送りつつ、話を進めよう。


なんの話だ。割り算の話だ。

例えば6÷3を考えよう。大抵の人は「6を3等分する」ことを考えるのではないだろうか。6個のリンゴを3人で分けると、一人分は2個だ。

これは割り算の考え方の一つで、等分除と呼ばれる。等分除で求められるのは単位量と呼ばれるもので、正しく先程求めた「1人あたりの量」を表す。


これに対して、もう一つの意味は中々出てこない。「リンゴが6個あります」から始まる、6÷3という式で表される状況を想像出来るだろうか。

正解の一つは「リンゴが6個あります。一袋に3個ずつ詰めると、何袋出来るでしょうか」だ。

もちろんこの答えは2袋であり、等分除で求めた「一人当たり2個」とは答えの意味が違うことがわかると思う。

これは包含除(ほうがんじょ)と呼ばれ、小学生に話すときは前者を「分ける割り算」、後者を「数える割り算」と呼んでいる(勝手に)。

実際に計算するときにも、等分除よりは包含除の方が使い勝手がいい。むしろ等分除で考えるのは1ケタで割るときくらいだ。何人かで分ける時には役に立つ。

ただし小数、分数、負の数になっていくと、途端に等分除は力を失っていく。三等分は出来ても、0.73等分や(-3)等分は人間の頭でイメージするのは困難だ。なので基本は包含除で考えよう。それは割合の考え方に繋がっていき、より広い場合に対応出来るから。


ということで割り算の話でした。これで計算の基本的な考え方はおしまい。次回は小数や分数で計算することをやっていこう。お疲れ様でした。

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