"Faster, Better, and Cheaper" NASAの取り組み

参考:Paxton, Larry J. "“Faster, better, and cheaper” at NASA: Lessons learned in managing and accepting risk." Acta Astronautica 61.10 (2007): 954-963.

1992年に元長官のゴールデン氏が提唱した取り組み。Apollo計画で巨額のコストがかかった経験から、提唱されたのが "Faster, Better, and Cheaper."
少しのリスクを許容することで、これらの指標を改善するという考えであり、実現すれば実に理想的な世界になるが、必ずしも良い面だけがあるわけではなかった。

良くなかった点:

①「リスク」の考えがプロジェクト間で統一されていなかった。
プロジェクトごとに、異なるリスクの考えをすることで、過度にリスクを取りすぎて失敗したり、知識を別ミッションにトランスファーできなかったりした。

②「知識の継承」のなさ
実際、各プロジェクトで考慮したリスクとその失敗が共有されていなかったため、失敗が続いた。Marsミッションが失敗の連続になる。

"Faster, Better, and Cheaper."のメリットとして、早くサイクルを回すことで、失敗してもダメージが小さい、すぐに立ち直れる、次世代リーダーが育つなど、いくつもある。これは現代のAgileの考えにも近い。

しかし、受け入れるリスクとその知識の共有がうまく機能しないと、無駄な失敗を繰り返すことになる。明確な仕組みづくりが重要そう。

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