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日本の社会課題を解決する、電話とAIの無限の可能性

このnoteは、IVRy Advent Calendar 2023 の1日目の記事として記載しています。

IVRy Advent Calendar 2023

IVRy(アイブリー) Founder&CEOの奥西です。
今年もアドベントカレンダーの季節がやってまいりました。
昨年まで従業員が20名弱しかいなかったのですが、今年は60名弱となり、アドベントカレンダーをなんと2つも作ることができるようになりました!

ということで、紅組・白組に分かれて、紅白アドベントカレンダー合戦ということで、これからクリスマスまで投稿を続けていきたいと思いますので、暇な時に読む等していただければと思います。

1. 2023年の変化

2023年はIVRyにとって、大きな変革の年となりました。
そんなIVRyの変革の振り返りと、未来への展望を書いていきたいと思います。

1.1. 技術的変革点

1.1.1. ChatGPTのリリース

2023年はAI/NLPの領域において、激動の年でした。特に、2022年11月のChatGPTのリリースから、人間がAIとどのように対話し、情報を処理するか、どういう働き方を行うかにおいて大きな変革が起こりました。
※まだ1年程度の話ということが信じられない

ChatGPT/GPT-4は、ユーザーが自然言語で複雑な問題を解決し、対話的に業務を効率化することを可能にしました。

1.1.2. ChatGPT/GPT-4のAPI開放

2023年3月のAPI公開によって、高度なAIモデルを自身のアプリケーションやサービスに統合できるようになり、カスタムAIソリューションの開発が加速し、多様な業界での応用が実現しました。

1.1.3. 待ち望んだ技術変革

IVRyはビジネス開始当初から、通話データを活用したAIの開発を想定していました。
2020年にプロダクト構想の議論を行っていた際に、IVRyのAIエンジニアの町田との議論では、以下みたいなことを当時話していました(嘘みたいな話なんですけど、本当の話です)

奥西「対話AI作れるんじゃない?」
町田「GPT-2/GPT-3の進化がすごくて、業界ではGPT-4/GPT-5/GPT-6かもしれないけど、全部解決しちゃうAIが数年後起こると思う。だから、今は作らないほうが良いと思う。」
奥西「なるほど!じゃあ、なにをしてたら良いんだろ?」
町田「クライアント接点とデータの価値は変わらないし、Googleも手に入れられないクライアントデータというのはすごいAIができても、絶対に利用価値があるはず」
奥西「なるほど!じゃあ、すごいAIが出てくるまで、クライアント接点とデータを最大化するようにビジネス展開しつつ、数年間、時を待とう。」

御茶ノ水のカレー屋にて

ChatGPTが出た当初は「これ、本当にすごいのかな?」と恐る恐る使ってみつつ、「すごい気がするけど、NLP業界のすごい人たちはどう思ってるんだろう?」と、会社として、言語処理学会に参加することで、一次情報の肌感を確かめに行き、すごい人達がLLMの技術自体を受け入れて、どう活用するべきか?を議論していたことを、今でも鮮明に覚えています。

学会では、以下のような「ChatGPTで自然言語処理は終わるのか?」といった緊急セッションも開催され、研究者・技術者の方々が積極的に社会応用について議論していた節目となった感覚を感じました。

1.2. IVRyのリソース的変化

1.2.1. 資金の調達

2023年の3月には、13.1億円の資金調達を行いました。
この資金調達によって、優秀な仲間が迎えられ、マーケ投資やプロダクト投資のコストも大きく意思決定することが増え、プロダクトの進化や事業グロースの速度を格段に速くすることができました。

1.2.2. 新しく優秀な仲間のジョイン

2022年12月時点では18名だった従業員が、2023年12月時点では58名となりました。
本当に、多様な背景を持つスキルも経験もあるプロフェッショナルなメンバーの加入によって、ビジネスやプロダクト、事業の可能性や蓋然性のペースが加速度的に増加しています。

例えば、元Google Assistant(「あのOK Google」)でAIエンジニアのテックリードだった花木さんやシリーズAの資金調達でプレイドの投資担当としてお仕事をさせていただいていた元プレイド新規事業開発の執行役員の宮原さんであったり、他にもたくさんの新しい仲間が集まって、IVRyの可能性を爆発的に伸ばしています。

2. LLMのビジネス活用とIVRy

LLMの台頭によって、様々なLLM関連サービスが出現しました。
様々なLLM関連サービスをカテゴライズすると以下の4つに分かれるかな?と思っています。

①: LLM自体を作る(OpenAI, Anthropic, Google, LINE etc)
②: LLMを使いやすくする(OpenAI, Microsoft etc)
③: 既存ソフトウェアにLLMのオプション機能を提供する(note, Notion etc)
④: LLMをベースとする新しいソフトウェアを提供する(IVRy)

IVRyでは、2023年3月に通話音声の要約機能(③のパターン)をリリースし、6月には汎用的なAI電話システム(④のパターン)として自然な音声対話を行うシステムをリリースしました。

更には、英語・中国語といった多言語対応であったり、リクルートさんとの予約台帳連携を行うことで、LLMをベースとした実プロダクトを社会実装してきました。

開発の裏側もあるので、ぜひ読んでみてください!

3. 日本における AI is eating the world

3.1. 労働人口の減少

日本のマクロトレンドとして、労働人口は10年ごとに約500万人ほど減少する傾向に直面しています。

参考:2050年までの経済社会の構造変化と政策課題について(平成30年9月経済産業省)

更に、労働人口の減少によって、現実的に人手不足となる人数が大きくなり、特にサービス業(2030年に400万人の人手不足)や医療・福祉業界(187万人の人手不足)を中心に人手不足が拡大していく予測となっています。

労働供給-労働需要
参考:労働市場の未来推計2030(パーソル総合研究所x中央大学)
産業別の人手不足
参考:労働市場の未来推計2030(パーソル総合研究所x中央大学)

3.2. 中小企業の人手不足

人手不足は特に中小企業において深刻で、2023年現在ですら、ほぼすべての業界の60~90%が「人手不足を理由とした廃業や事業継続への不安」「事業運営への支障」を感じている現状です。
また、「人手不足への対策」は、「正社員やパートタイムを採用する」といったソリューションの割合が70%とほとんどで、人手不足が続くなか、先行きの見えないソリューションでの対応しかできていないことが現状となっています。

参考:人手不足の状況および多様な人材の活躍等に関する調査
(2023年日本商工会議所・東京商工会議所)
参考:人手不足の状況および多様な人材の活躍等に関する調査
(2023年日本商工会議所・東京商工会議所)

3.3. アメリカのSoftware vs Serviceの市場規模

一方で、海外ではAIサービスが侵食する市場について、語られ始めており、従来は人が行っていた業務の中で、Co-pilot的にAIサービスを利用したり、AI Assistantが代替したりすることが考えられています。

その中でも、現状のアメリカのソフトウェア支出 vs サービス支出の規模を見ると、まだまだサービス支出(≒人件費)が多く、このサービス支出の市場をAI(Co-pilotやAI Assistant等)によってeatingしていく市場が今後は開かれていくはずで、これらは日本の加速する人手不足ととても相性が良く、AIによる人手不足の解消が求められ、かつ、とても大きな市場が開けていくことが予想できます。

参考:Product-Led AI(2023/9/7)

3.4. 日本におけるサービス業の市場

特に、労働人口の不足や中小企業での人手不足を迎える日本において、AIがサービス業の市場を大きく変革していくと考えています。
日本におけるサービス業の売上の総和は年間約360兆円ですが、この売上の占める人件費率を3~4割でかけあわせたとしても、100~150兆円ほどの市場規模となります。
参考:サービス産業同行調査(2023年8月分をもとに計算)

これらの金額がまるっと出てくるわけではないと考えていますが、例えば、10%をAIという切り口によって、変革できると考えると15兆円程度の市場規模と考えることができます。

生産性向上により人手不足の埋め方
不足参考:労働市場の未来推計2030(パーソル総合研究所x中央大学)

また、検算的に上記の人手不足の予想を見ても、2030年時点で約12兆円(300万人*平均年収400万円)程度の市場(簡易に計算)も存在し、とても大きな市場となっていくことが想像できます。

4. AI x 電話の未来

4.1. 法人や事業者の大事な電話業務

電話は多くのビジネスにとって依然として重要なコミュニケーションツールです。
例えば、代表電話には、重要な商談や取材、銀行融資の電話がかかってきたり、店舗サービスを運営する事業者では、当日の予約電話や注文の電話、空き予約といった電話、地方ではまだまだビジネスコミュニケーションの50%以上が電話を利用していたり、簡単に各種ステークホルダーとのビジネスコミュニケーションツールである電話を辞めることはできない状況です。

実際、IVRyのアイデアを思いついたきっかけは、代表電話に営業電話がかかってきすぎて、電話を無視し続けていたら、融資の本人確認電話も無視してしまって、融資に落ちてしまったことです。
このときに、法人の電話にはとても大切な電話が少なくとも10%ぐらい存在していて、これに対応するために90%の出なくて良い電話に対応するのは非効率で、もっと電話を受ける側がコントロールできる世界になったほうが良いなと思い、開発を行った背景もあります。

4.2. 電話というタッチポイントならではの、地方や中小企業への届きやすさ

従来の地方や中小企業には、東京のITスタートアップでは当たり前に使われているテクノロジーがまだまだ届いておらず、5~10年かけてサービスがコモディティ化した後に届くことが一般的です。

一方で、IVRyのお客様は、電話サービスという特性上、本当に地方や中小企業の方々が多く、IVRyというプロダクトを通して、AIプロダクトを提供することによって、地方や中小企業の働き方を5~10年かけずに、明日アップデートすることができることに気づきました。

4.3. 電話というインタフェースの価値の再定義

最新のインタフェースをイメージすると、Google AssistantやAlexa、SiriなどのAI音声アシスタントの音声インタフェースが思い浮かびます。
これらに対して、「電話」という伝統的なインタフェースを、「誰でも今すぐ使える音声インタフェース」と考えると、電話の裏側にAIを取り入れることで、最先端のインタフェースと捉えることができます。

この伝統的な「電話」に「AI」を組み合わせることによって、地方や中小企業でも最新技術を即座に導入し、AIと共にして働くことができ、日本の進化を10年単位で加速できるのではないか?と考えています。

IVRyの顧客基盤と技術によって、電話そのものの価値を再定義し、いつの日か「電話がなぜか非効率と嫌われていた時代があってね〜」と言っている日が訪れるかもしれません。

4.4. IVRyの提供する価値

IVRyは既存のダイヤルプッシュをカスタムするソリューションで、47都道府県・70業界以上のセグメントに対して、累積8,000を超えるアカウントと、1,000万を超える累計着電件数を突破しました。

47都道府県での利用
1,000万着電突破

これらの顧客接点やデータ、これまでのマーケティング・セールス活動のノウハウを組み合わせることで、日本の地方や中小企業に音声対話AIを導入・オンボーディングし、日本の人手不足問題を本質的に解決できると考えています。

IVRyの起こしたい変化

「IVRyがあったから、いつの間にかAIと働くのが当たり前になってたね。IVRyのおかげでいつの間にか仕事が楽しくなってたよ」

とそんなことを言われるまで、ひとつひとつ積み重ねたいなと思っています。

5. 最後に

IVRyは、AIやソフトウェアを利用して日本の人手不足にコミットメントし、働く人々がやりたいことに集中できる、Work is Funな世界を作りたいという情熱を持った人材を募集しています。

IVRyは、日本のすべての企業に最高のテクノロジーを提供することを目指しており、私たちは、LLMをベースとしたソフトウェアを使って、電話・音声業界をリードすることに本気です。
まだまだ途中段階であり、コンセプトの大きさに比べて、まだやることやれていないことが多いですが、このような環境で働きたいと考えている方々にとって、IVRyは理想的な環境だと思います。

私たちと一緒に、日本とAIの未来を創造しましょう!

5.1. 採用概要

5.2. カジュアル面談


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