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拝啓、2年前の私へ (最終回 主将 岡田諒悟)

 慶應義塾体育会ソフトテニス部の部員日記をご覧いただき、ありがとうございます。全10回にわたり、3年生部員が今1年生に戻ったら何をするか振り返る企画「拝啓、2年前の私へ」も、私が務める今回で最終回になります。最後までお付き合いいただけますと幸いです。

0 はじめに

 まず、なぜこの部員日記を書くことに至ったか、その裏舞台を少しお見せできればと思います。
 私が広報担当者を務めていた1-2年前、なんとなく頭の中に「もっとnoteを活用したい」という思いがありました。TwitterやInstagramと比べて、noteではより多くの字数を割いて、それぞれの選手の想いや人格、価値観など、よりコアな部分が伝わりやすいからです。私の考えでは、体育会という「想いの比重(≒それぞれの考えや熱量、感情を原動力とする)」が高い組織では、選手ひとりひとりがそれぞれの考えや想いを掘り下げ、言葉にすることにこそ価値があると思っています。そしてそれが広まり、それぞれがファンを集めていくならば、これ以上の組織はないと考えております。そのため、そういった「選手のコアを伝える」意味で、よりnoteを活用したいと思っていました。
 3年生になって代交代し、どうにかして少ない期間で後輩たちに「いままで何を考えて部活をしてきたか」を引き継いでいきたい、という思いと、今まで思ってきた「noteを有効活用したい」という思いを広報担当者に伝え、3年生とも話した結果、このような「10日間連続投稿」という挑戦をすることになりました。
 ここまでの9人、本当にお世辞抜きでとても面白いものを書いてくれたと思います。昨日の山根くんはダルビッシュ選手みたいな早稲アカの話を書いてくれましたね。(私も正直、「え!こいつこんなこと思ってるんだ!」とか思うものもありました笑) まさにいろいろな人の個性や価値観が出た部員日記になったと思います。なかなかハードルが上がりましたが、私も同期のバトンを受けて、「2年前の私に思うこと」を書いていこうと思います。
 前回の部員日記で少しだけ触れましたが、私は2年前の自分の行動は特には後悔していません。その上で、私が後輩に「こうしてほしい」と思うことは、以下の3点です。
⒈ この部活に対してバカになること
⒉ 自分の価値観を言葉にすること
⒊ 仲間を増やすこと

⒈ バカになること

 まず私が伝えたいのは「バカになる」ことです。バカになるとは、「自分で決めた筋道を信じ切ること」「ひとつのものに熱中すること」が当たります。
 知性がある人がバカになることは本当に難しいことです。その理由は、できない理由がたくさん見つけられるのに、それをあえて無視して「できる」と思い込む必要があるからです。そう思い込むには、何かしらの根拠が必要になります。その根拠は、人によりますが、練習量だったり、理論武装だったり、自分なりの何かを持っている必要があります。(これが、今期のチームにとっては「共通認識」だったりします)
 知性がある人がバカになるのが難しい理由はもうひとつあります。それは失敗した光景が想像できてしまうからです。人間誰しも、失敗を想像すると全力を出せなくなります。だからこそ、一人一人が失敗した辛さを想像して辞めたくなった時に、チームでいる必要があると、私は考えています。
 そして、バカになる経験が後輩のうちにできないと、上級生になるにつれどんどん「バカになれなくなる」ものです。その理由は、どんどん失敗に対するリスク(主にチームに対する責任)が大きくなるからです。だから、下級生のうちに「バカになる」経験をしておくべきです。


⒉ 自分の価値観を言葉にすること

 これも、下級生だからこそすべきことです。上級生になると、必然的に下級生の前に立ち、自分の考えを伝える機会が増えます。ここで、伝えることや言葉を選んで伝えることは、何も気を遣わないでしゃべることの数段難しいことになります。そして、それができるには、下級生のうちから、同期をはじめいろいろな人と、部活に対する考えを自分の言葉で共有する行動や経験を積む必要があります。
 部活以外でも、自分が何を考えて生きてきたのか、振り返るのに十分な時間を残されているのが大学生です。自分の人生や価値観を、言葉として形成するのは、人の最大の文化的活動であり、知的活動です。そんな経験がない人も、時間をかけてそれができるのは大学1,2年生がラストチャンスといえます。

⒊ 仲間を増やすこと

 最後に、「仲間を増やすこと」を下級生のうちにしてほしいです。簡単に言えば、人は1人では何もできません。このチームが成果を上げようと思うのなら尚更です。そこで、今すべきことは仲間を増やし、可能性を広げることです。仲間とは、自分の信念をともにし、ひとつになって集団的な成果に取り組んだ経験のある仲間です。間違っても「仲良くできる人」とは、捉えないでください。そうして生まれた仲間は、きっと自分が上級生になっても、多分大人になっても、人生の歩をともにする仲間として接していくことになります。仲間はたくさんいる方が、チームを変えるに足る大きな力になります。そして、チームの持つ大きな力はきっと、いろいろな人の常識や想定を超える可能性を与えてくれます。

⒋最後に

 何度もいろいろな部員日記で書いていますが、この部活で過ごす4年間は貴重です。そして、部活に捧げる時間は膨大です。そこで何をするか、何を成し遂げるか、すべては自分次第です。
 シーズンが明けて、さらに期待を超える部員と顔を合わせられることを楽しみにしています。

 ここまで連続投稿をご覧いただいた皆様、ありがとうございました。まだまだシーズンはここからですので、応援のほど、よろしくお願いいたします。

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