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中井久夫先生のささやかな思い出 2

雑誌「現代思想」から中井久夫さんの特集本が出た。
読むと中井先生が設計、建築に詳しいというお話がいくつか載っている。

すでにない東大分院神経科の病棟、とくに食堂と「アートコーナー」という相談室は、中井先生ならではの居心地のよい設計だったと思う。中井先生は当直以外にも泊りがけで当時急性期の患者さんを診たという伝説があった。毎週一度、病棟医長が食堂でお話しというかグループというかためになるセッションをされていた。

もうひとつは箱庭療法に使う箱庭。
中井先生は河合隼雄さんの講演を聴いて、帰りの電車で会話をされた後、みずから箱庭を設計して箱庭療法を始められた。そのあたりはエッセイ「ある心理室の回顧」に書かれているとおりである。

その箱庭を使って私は箱庭療法をしてみた。どうも中井先生が使用されて以降、箱庭は使用されていなかったようで、当時を知る臨床心理士に少し歓迎の言葉を頂戴した。

その箱庭のアイテム、中井先生のエッセイで、お祭りの夜店などで買い揃えたというような内容だったように思う。

使ってみると、とにもかくにも「兵隊のフィギュア」の多いこと多いこと。しかも取り出しやすい場所に置かれている。なんともまあ戦闘的である。とはいえ戦闘艦、戦車のたぐいはなかった。
できあいの「箱庭療法セット」とは大違い。衝動性の強い患者さんに使われたのかと想像した。

わたしが行った時は、アイテムについて患者さんは差ほど気にしてないようではあった。

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