『赤い月の香り』千早茜

怒りに駆られて赤い月を思い浮かべる朝倉満が、丘の上の森に住む物静かな調香師小川朔の屋敷で働くことになる。朔は匂いに敏感であらゆる香りをつくりだすことができる。かつてあった、そして今はない香りまでも。そんな彼に舞い込む色々な調香の依頼。依頼人たちがどのような想いで頼むのか、そして朔はなにを感じて請けるのか。朔を手伝う黒ずくめの城島、屋敷に住まう源じいさんとともに働きながら満が少しずつ自らを取り戻していく話。

静かに淡々と紡がれる言葉がしんとした森の中を感じさせるようで、この文体ははじめての感覚。よかった。

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