言語学習に隠されたメリットとは Hidden Benefits of Language Learning

みなさん、現在外国語を勉強していますか? 

学生時代に英語もしくは第三言語としてドイツ語、フランス語、中国語を勉強していたが、就職と同時にやめてしまった、、という人は多いと思います。外資系の会社で働いている、もしくは海外に住んでいる、という人でなければ日頃から外国語を使う機会はあまりないと思います。

しかし言語を学習することは、その言語を喋れるようになるということに加えて沢山の魅力的なメリットがあります。



言語学習は物事を見る目を養う

もしお子さんがいる方は、この質問をしてみてください。面白い回答が返ってくると思います。

・アメリカで生まれた子供がイタリア人の家族に育てられたら、どの言語を話すか

・犬に育てられたアヒルは、どのように鳴くか。「ワンワン」、「グワッグワッ」?

これは、実際にケベックにあるコンコーディア大学で実施された言語習得に関する実験の一部です。この二つの質問を、5〜6歳のバイリンガル教育を受けた子供とそうでない子供(モノリンガル)にしてみた、というものです。

結果は驚くべきものでした。バイリンガルもモノリンガルの子供も両方、イタリア語を話す、と答えたのですが、もう一つの質問では大きく答えが別れたのです。モノリンガルの子供は、生まれながらにしてアヒルはアヒルだと疑問の余地無しとばかりに、即答で「グワッグワッ」と鳴くと答えたといいます。

一方、大多数のバイリンガルの子供はアヒルは「ワンワン」と犬のように鳴く、と答えたのです。

つまりこの実験が何を意味するかというと、バイリンガル教育、言語教育が私たちの思考に影響を与えている、ということです。バイリンガル教育を受けた子供たちは物事を柔軟に考え、想像力を働かせて答えを導き出そうとします。この実験において答え合わせはそこまで重要ではありません。答えを導き出す思考経路、その過程がポイントです。この実験ではバイリンガル学習を受けている子供たちは固定概念に囚われず、より自分で考える力、物事を見る力を養うことができる、としてます。

もちろん私たち大人はアヒルがワンワンと鳴かないことを知っています。それは成長すると共に知識や教養を身につけ、単純に答えを知っているからです。「犬に育てられたアヒルはワンワン鳴くんだ」と大人が本気で主張していたら、ちょっと大丈夫かなこの人、と思うはずです。子供のように大胆に間違えを主張すればいいということではありません。大事なのはこの思考する過程を大人にも適用できないか、ということです。

この実験はバイリンガル教育を受けた子供に焦点が当たられていますが、これは大人にも当てはまめることができると思います。言語を学習する過程では、想定外のことが連発します。自分の知らないことに向かって行くのですから、脳みそを柔軟にしておかなければ対応できません。きっとこれは日常生活でも応用できると思うのです。言語を学習している人は、より物事を深く見つめ、より物事を見る目を養うことができるのではないかと思うのです。


毎日が楽しくなる


複数の言語を喋る(勉強している)人は人生をとても楽しんでいるように見えませんか。色々なことに挑戦したり、旅行に頻繁に出かけたり、単純にいつも笑っていて楽しそうだったり。これには、科学的根拠があるのです。

米国のノースウェスタン大学が発表したレポートによると、

バイリンガル教育を受けた子供はプラス思考で、孤独や不安を感じることが少なく、自己評価が高い。そしてモノリンガル(単一言語)の子供に比べて、喧嘩や衝動的な怒りが少ない。


レポートによると、バイリンガル教育を受けた子供は二つの文化、多様性の概念を理解しているため、周りの子供たちとの衝突も避けることができる、ということです。つまり、周りに流されず自分自身を上手にコントロールできるということです、

これは子供に限られた話ではないと思います。私たち大人にも適用できることです。言語を学習するのは簡単なことではありません。毎回、文法や発音につまずいてイライラしては前に進むことはできません。言語学習は一生をかけた長距離マラソンです。勉強していく過程で、自分をコントロールする術を身につけて、その過程を楽しむ。これは、言語学習だけでなくどの局面においても共通することですね!


言葉の細部に注意を向けるようになり、アルツハイマーにならない

母国語以外の第二言語を勉強している人は、例えそれが成人以降に学び始めたものであっても、年老いた時に起こる認知能力の低下が少ないという統計結果が出ています。コットランド・エディンバラ大学の研究では、認知症やアルツハイマー病の発生を4年半遅らせる効果があることが明らかにされています。

アルツハイマーの発生を遅らせるのは、高い記憶力ではなく、言葉の細部に注意を向ける能力によるものだとしています。記憶力そのものよりも、「趣味で新しい言語に挑戦したい」とか「旅行先のレストランで自分一人でオーダーできるように」みたいな純粋な気持ちや、理解しようとする努力が脳に良い影響を与えているということです。



複数の言語を習得するということは複数の人生を生きるということ

僕の個人的な体験を書かせていただきます。僕は、大学卒業まで日本語しか使わない生活をしていました。なんとなく頭の片隅に、海外で住んでみたい、英語を話して生活してみたい、という気持ちはありましたが、なかなか行動に移すことができないでいました。大学生の頃は「もうすぐ就職活動も始まるし、今から留学してもな〜」「英語を学んだところで何か特にしたい仕事もないしな〜」みたいな、自己評価も低く自分の決断にも自信が持てない学生でした。でもこのまま当たり前のように卒業して就職するという、レールの上を歩かされているような人生はいやだ、とも思っていました。

そこで、大学2年生の夏にイギリスロンドンに一人旅をすることを決めます。イギリスの音楽が好きだったから、サッカーが好きだったから、イギリスを選んだ理由は、それくらいの小さなものでした。しかし、初めてみる大都市ロンドンに僕は圧倒されてしまいます。世界各国から人が集まるロンドンのダイナミックさ、多様性、そして生で聴くイギリス英語。それまで小さい島沖縄で育ってきた僕は圧倒されてしまい、すぐに虜になりました。

帰国してからは、就職活動はやめてイギリスにどうやっていけるか、しか考えていませんでした。そこでワーキングホリデーというシステムがあることを知り、すぐにその年に応募しますが競争率が高く、受かりませんでした。そのよく年も応募して、ようやく当選するができました。ちょうど大学卒業という時でした。

そこからは英語を一生懸命勉強する日々です。ロンドンに着いてからは料理の道に進むと決めていました。大学を卒業してからは、好きな場所で好きなことをするんだ、と決めていました。語学学校にもいかずにすぐに働き始め、独学で英語を習得していくと決めていました。

いろんな国の人と一緒に働いて行く中で、僕の英語は教科書で習うような硬い英語ではなくて、より実践的なものになっていきました。レストランのキッチンで働いていたので、コミュニケーションは誤解のないようにはっきりと伝えなければなりません。同僚とコミュニケーションを取るときは、なるべくはっきりと要点を抑えて喋るようにしていました。時には言い合いもしました。自分の考え、主張を述べることがどれだけ大切なのか、日々痛感していました。

このようにして、僕の英語、英語脳は形成されていきました。僕は英語の方が日本語より自分の気持ちをはっきりと伝達することができると気づきました。空気を読むとか、言葉の裏を読むみたいな、日本語特有の言い回しがなく、もっと直球で直接的なのです。ロンドンにいる友人もよく、日本語と英語をしゃべっている時ではまるで人格が違う、と言っていました。

英語で生活していたロンドンでの2年間は、かけがえのないものとなりました。今までの自分とは違う、生まれ変わった自分で第二の人生を生きていたという感じです。日本にいた時よりはるかに自信を持つことができたし、新しいことに挑戦するのが楽しく思えるようになってきました。これは、語学学習がそう思わせてくれているのだと思います。

現在僕は、フランスに住んでいます。こちらの現地のレストランで働き、フランス料理を学んでいます。僕はフランス語も英語のように習得することを決めました。生のフランス語を浴びるほど聞いて、実践的に学ぶということです。フランス語はまだまだ、ペラペラに喋れるようになるには時間がかかりそうですが、着実に成長しています。また、同時にフランス語を喋る自分の新しい人格も形成されていっていると感じます。日本語、英語を喋る自分とは違った新たな人格です。今はまだそれがどういうものなのか具体的にはわかりませんが、今後どうなるかとても楽しみです。フランス語が新しい人生を切り開いてくれてる気がします。

言語学習にはこのような人生を変える大きなチャンスが眠っています。複数の言語を習得するとは複数の人生を生きる、ということです。


まとめ

固定概念を捨てて、物事をしっかり見つめるようになる。適応する能力を養い、新しいことに挑戦するのが楽しくなる。自信がつき、毎日が楽しくなる。得られる情報量が増える。言語学習によって得られるメリットはたくさんあります。一緒に新しい言語に挑戦してみましょう。










あなたのサポートで新しいことに挑戦して、またnoteでシェアしたいと思います!ありがとうございます!