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ジェフリー・マーシュTED講演 日本語訳

YouTubeでジェフリー・マーシュというかたのTED講演を見つけ、その内容に大変感動したのですが、完全に日本語訳したものを見つけられなかったので、友人の助けを借りて、助けを借りてっていうか下訳を全部やってもらったんですが、翻訳しました。

LGBTの運動などは日本でも目にするようになってきましたが、最近ではそれにQ(クイア :風変わり、奇妙という意、単純にLGBTに含まれない性的少数者を含む)という概念があることも調べるなかで知りました。

ジェンダーフルイドという、性自認の揺れ動く人たちがいることも。

ジェンダーそのものに対する偏見は無くしていく方がよりよい世の中になると信じますが、何よりも、クイアであったことで「自分」というものを抑圧されてきた彼が、世間の声よりも自分の声を聞くことを選び、より「自分」となって発言する言葉は実に力強く、愛を感じます。

私自身の性自認はストレートですが、「本当の自分の声を聞く」ということに深く感銘を受けたので、より多くの人にも見てもらいたいと思いました。
15分ほどの動画です。ぜひ見てみてください。。

引用元:I'm a genderfluid activist. Here's how I fight back | Jeffrey Marsh TED Talk
翻訳:丹羽 亮仁、余吾

https://youtu.be/Asn2axwPz2g

何年か前のことなんだけど、子供の頃のことについて、父が謝ってきたの。
アパートを掃除していたら電話が鳴って、普段だったら絶対出ないのに、私、そのときとっても”らしく”ない事をしてしまったの。父だとわかっていたのに電話にでてしまったのね。
そうしたら父はいったわ。「ごめんな。あんな風に接してしまって。子供の頃、お前にあんな風に接してしまって本当にごめん」って。
それを聞いて、気づいたら私は言ってた「え?マジで?マジヤバい!」って。
まあ本当はなんて言ったか、はっきり覚えてないんだけど。
でも父が言った言葉ははっきりと覚えてる。
「お前がお前らしく振る舞うことで、私は他の親たちからどう思われるかを気にしていた。私が親として間違っているって思われると思っていたんだ。お前がお前であるということで。」
私は毎日オンラインでメッセージを受け取るけど、そのほとんどが10代の子から。たまには大人からもくるけど。
「死のうとしてたけど、あなたのツイートを読んで頑張ろうとおもった」「あなたの動画をみたから」「あなたのインスタグラムに載せてたものを友達が送ってくれた」って。
誰でもいつも同じ事をいう。
「あなたがあなたでいられるなら、私も私になれる」って。
それが今日皆さんに伝えたいこと。

みんなももう気づいてるでしょ?
政治は私たちが期待してるようになってないし、周りの人たちはみんな、世界が手に負えない混乱状態にあると思ってる。
でも本当は、人はみな美しく、自由で、進歩的。だからこそ、そんな風にいろいろな事を感じるの。そういうものだと思う。

私たち人間には感情がある。自由のために涙を流して叫ぶのが私たち。選挙の時なんか、たくさんの人が興奮してワーワー騒いでるでしょ。
できるなら、この気候変動を元に戻してこの地球を守りたい。
移民や難民が暖かく迎えられてると感じて欲しい。
LGBTQの人々が社会での居場所を見つけられるようにしたい。
女性が男性と平等な地位が得られるようにしたい。

私は、みんながこういったことを全部一気にやろうとするのを見てきた。でも、みんな疲れ切ってしまって、結局はやりとげられない。
だから今日はそれの正しいやり方をお伝えしましょう。

あなたの最大の欠点だと言われてきたこと、それは同時に、さっきあげたような問題に取り組むための最大の武器にもなりえます。
あなたが、隠さなくてはいけない事、恥ずかしい事だと教わってきたことは、実は、あなたのすることを影響力のあるものと変えることだし、前進させてもくれるものです。それはあなたの活動の新しい時代をスタートさせてくれるものなのです。
もし、まだピンとこないなら…私の靴をみてみてよ。カメラに映ってる?近くに寄ってみて?
ええと…、これはマノロ・ブラニクの靴なの。最初は気づかなかったかもしれないけど、この格好、とってもクイア(変わってる)でしょ。
私は子供の頃、自分がどんな人間なのか隠すように言われてきた。自分がジェンダーフルイドであることを。それは恥で不名誉なことだと。そしていま…、こんなふうに言うのはすこしおかしいんだけど、私はクイアの人々の広告塔になったの。
それが私がインターネット上でしている事です。

わたしが自分自身でいられるなら、あなたたちだって自分自身でいられる。

私は15年間仏教徒としてすごしてきましたし、伝統にのっとって禅を学び続けています。
仏教では実体験を求めます。だから今夜、あなたがたにも経験して欲しいんです。
目を閉じて。
ここはパブリックな場所だから、目を閉じるのはちょっと、という人は膝や靴紐をみて。
できる限り集中して、あなたの呼吸、息に。

どこの筋肉が動いていますか?
人間でいること。生きているということ、息をすることっていうのはどんな感じ?
息が身体に入ってくるのはどんな感じ?
身体を満たしていく感じは??
そして息が身体からでていくのはどんな感じ?

そこに座ったまま、穏やかな呼吸で、あなたが誰かになにかを”しすぎて”しまった時の記憶を呼び起こして。
その時のことを思い出せたら、より細かく、その、やりすぎだと信じてしまった時のことを思い出して。
どんな記憶でもいい。これは誰かと競うようなことじゃないからね。
先週のことを思い出す人も、何年も何年も前のことを思い出す人もいるでしょう。
それは昔の恋人であったり、親のことであったり、どんな思い出でもいい。
もっと細かく思い出していきましょう。
何を着ていたか覚えてる?どんな天気だった?それを信じてしまった時の気持ちは?
もう一つ、座ったまま感じられるでしょうか。あなたは何を"しすぎて"しまったのか。

空欄を埋めてください。
「○○すぎる」
そうしたら、できるだけ穏やかに呼吸に、息に、集中して。
ゆっくりと呼吸が出ていくのを、そして呼吸が入ってくるのを感じて。肩の力を抜いて。顎もリラックス。
もう一度、気持ちよく、深く長い呼吸をしましょう。

息を吐きながら、目を開けて。
OK。何を感じましたか?
あなたは、なにすぎた? 大きい声で言ってみて。
ここからは参加するパートになります。あなたは、なにすぎた? なんだった?
 観客「ドラマティックすぎた」
おー、ドラマティックね!私の人生みたいね。他には?なんだった?
 観客「バカバカしすぎた」
バカバカしすぎる!いいね。それ好き。
 観客「愛を求めすぎた」
誰が言ったの? ああ…アイラブユー。私も同じ。愛を欲しがっちゃう。他には?
 観客「うるさすぎた」
うるさすぎ? あなた名前は?
観客「ジャスミンです」

ジャスミン、私の後について言ってみて、「私はジャスミン」
観客「私はジャスミン」

「わたしはうるさすぎる!」
観客「わたしはうるさすぎる!」

わたしは親であることを大切にするためにここにいる
観客「わたしは親であることを大切にするためにここにいる」
そうそう、それでいいの。 なにはともあれ、それがあなたの○○すぎる部分なのね。それは人から押さえつけられるかもしれない、驚くことだってあるかもしれない。愛されるかもしれないし、受け入れられるかもしれない。

でもそれは、あなたが活動する上でのベースになるかもしれない。
声が大きすぎると言われたなら、あなたは最前線に立たなければ。そこで声を上げるの。

用意はいい?

愛を求めすぎていると言われたならば、あなたはその「共感する力」によってできることがあります。愛を求めすぎてきたからこそ、学べたことを活かして、人のために役立てるの。

ブロニー・ウェアは作家で、看護師として緩和ケアに携わっていました。彼女は死に臨む人々のために働いていました。
そして、とてもとても素晴らしい本を書きました。

後でググって欲しいんだけど、その本のタイトルは『死ぬ瞬間の5つの後悔』(原題:The Top Five Regrets of the Dying)
後悔ランキングの第一位は「誰かに望まれた人生ではなく自分に真摯に生きる勇気を持ちたかった」というもの。 今こそ、あなたの番だってことがわかる?
これはあなたのチャンスなの。あなたが混乱から抜け出して世界を変えるという舞台を与えてくれる一瞬の煌めき。

この話はするつもりはなかったんだけど、話したくなっちゃったからいいますね。
子どもの頃、パパがわたしの中にある、クイアの部分を叩き直そうとしたことがあった。

今は眠っている時じゃない。この世には自分らしく生きるようにならなければいけない人がいる。そしてそれは可能なことなの。
わたしは GLSEN(グリッセン)と協力して活動しています。
G-L-S-E-N ゲイ、レズビアン、ストレート(異性愛者)のための教育ネットワーク。
彼らは国内の学校が誰にとっても安全な場所であると確信できるように活動しています。そして、その一環として、学校風土について調査しています。
直近の調査では、小学生の10人に1人が同級生や教師から『ジェンダーにおける伝統的な規範から逸脱している』と認識されていることがわかったの。つまり、同級生や教師たちは、他の生徒のことを、10人に1人の割合で性別の不適合者だと認識しているってことになる。

こうした、わたしのような性別不適合児たちは、学校でイジメにあう… それも時には教師たちから。普通の2倍以上の確率でイジメにあう傾向があります。
例えるなら、あなたもあなたにとってのマノロを履くの。いますぐにね。
最後にもう一つエピソードを。ワインとチーズを楽しむ前にね。
聞いたことあるかしら、すごい話なのよ。ワインとチーズの前にベティ・デイビスの話をしましょう。
ベティ・デイビスはオールドハリウッドの女優で、バーバラ・オルダーズにインタビューを受けたの。バーバラ・ウォルターはバーバラ・ウォルターらしい話し方でこう言ったの。

「ベティ・デイビスを5つの言葉で説明するなら?」
ベティは即座に答えた、「I-AM-JUST-TOO-MUCH」(私は限度を知らない。)
ここでさっきの話に繋がったわね。ベティ・デイビスに敬意を表しましょ。
帰る前にもう一つエピソードを。今度は、ゴア・ヴィダルの話をしましょう。
ゴア・ヴィダルはある雑誌にインタビューされたんだけど、インタビュアーは、「いつバージンを卒業したの?」と聞いたの。

これから人前に立つような仕事をする予定のある人はいる?みんなこういう質問をしてくるからね。本当のことよ。
インタビュアーは言った「いつバージンを卒業した?相手は男?女?」
ゴア・ヴィダルは答えた。「そんなことを相手に聞くには、わたしは礼儀正しすぎて」

深い話じゃない? まあ昔の話だけど。
あなたに起きたことは他の人には関係ないことでしょ。それはあなたと両親の間に起こったことであるし、あなたの宗教がなんであるかにもよることだし。
あなたがされたことは、あなたの神様との間の話、あるいはあなたと魂との間の話で、他の誰にも関係のないことです。
でも、それに対して、あなたがすることは、世界に関係があるのです。
そういうことがまさにチャンスとなります。
あなたの宗教がなにかはわからないけど、何かのきっかけを探していたなら…そうでしょ?
これがそうなんです。いまこそがその時です。いまこそあなたの運命の時なのです。
最後まで聞いていただき、ありがとうございました。

リファレンス
「死ぬ瞬間の五つの後悔」
Bronnie Ware” The Top Five Regrets of the Dying: A Life Transformed by the Dearly Departing” (2011)

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