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インタビュの結果〜ちはる塾おとな学部おとなの研究コースをふりかえる④

ちはる塾研究部」に所属して研究を続けています。目標は学会発表や論文投稿です。07月13日、早稲田大学で第5回おとなの研究会が開催されました。今回は参加できませんでした。しかし、ひとつの区切りとしてこの時期にあわせて自分の研究のふりかえりをしています。今日はその4回目、最終回です。

利用者の皆さんがどのような支援を望んでいるかということを明らかにするためにインタビュを実施しました。対象者は、言語によるコミュニケーションが比較的可能な方で、それぞれ別々のグループホームで暮らす男女3名に協力をお願いしました。方法は半構造化面接としました。その結果からわかったことをまとめます。

インタビュの目的
グループホームの運営をしていると、グループホームの利用希望に関する問い合わせがたくさんあります。自分の子どもは施設ではなくグループホームでなければ無理、と希望してくるご家族もいます。希望理由の多くは、グループホームは家族的であること、施設に比べて規制が少なく自由であるというのです。しかし、グループホーム利用者からは不満を訴える相談も多くあります。そこで今回のインタビュでは、グループホームに入居している利用者の視点から、グループホームの生活は、規制のない自由な居住空間であり、個人が尊重された支援であるかどうかをあきらかにして、これからの課題を考えることとしました。

インタビュからわかったこと
インタビュの結果、グループホーム利用者の時間や場所に関する望みには、支援者のかかわり方が影響していることがわかりました。たとえば食事とか入浴などがそれにあたります。また、利用者が家事を手伝いたい等の貢献的な行動に対しては、支援者の反応は否定的でした。さらにプライバシーについては十分ではありませんでした。制度にのっとり個室が完備されていてもプライバシーは守られていませんでした。自分が一人でいたいとき、のんびり休みたいときでも他利用者が介入してくることがあるとのこと。さらにグループホーム利用者は、支援者や他利用者に気を使い、自分の要望に対しては仕方がないとあきらめていることがあるとのことでした。

まとめ
グループホームの支援内容が多岐にわたること、さらに支援者は1人ないし、部分的に2人で対応することから、目に見えてしなければならない支援に忙殺されています。また、常に余裕のない状態にあるため、利用者からの貢献的な行動にもこたえることができず、かえって疎ましく思えてしまうのではないかと思います。
事業所は決まりとして利用者会議の設置、第三者委員の訪問、意思確認のための面談等が頻繁に行っています。しかし事業所側から見た利用者の声を聴いたり、意思を尊重する仕組みと、利用者が聴いて欲しい声やかなえて欲しい望みには開きがありました。利用者が求めていることは特別なことではなく、日常的に起きるあたりまえのことに目を向けて欲しいということでした。その現場にある対人関係により目を向けることで利用者の満足度が高まるということがわかりました。 

本当の目的
今回のインタビュでは、現在のグループホームが苦手とすることを明らかにしました。理由は、苦手な側面を意識することでグループホームがより良い場所になると考えたからです。さらに今後、国の政策がどこに向けば良いかということを明らかにするためです。支援者たちは限られた中で、利用者一人ひとりの幸福な生活を望んで支援をしています。マニュアルのない仕事です。一人ひとりの生活に応じたオーダーメイドの支援をします。だからこそ、支援者がもう少し余裕をもって支援ができると利用者の満足度は高まります。そのためには国の政策が充実してくれることを望みます

冬の学会に向けてもう少しデータを集めます。


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