縁あって長い付き合いとなった沖縄に、コロナ禍を挟んで実に、五年ぶりに旅をした。もうたびたび足を運んでいる沖縄だから、観光目的のような旅にはならず、旅先ではかなりローカルな過ごし方になってしまう。ディープ沖縄の旅は、かえって常に新しいことを教えてくれる。

東京ではいよいよ本格的な猛暑との闘いが始まったばかり。
私は一足先に、この先二度とないこの夏を先に駆け抜けてしまったようで、その盛りになる前に、はやくも少し寂しい季節の終わりに立っているような憂鬱にとらわれている。

こうして、久しぶりにじっくりとした旅に出て家に帰ると、いっそ旅なんかしないほうがいい、と思ってしまうことがある。きわめて逆説的なことだが、それが良い旅であればなおのこと、こんな素敵な時間であったならば旅などしなければよかった、と思うのだ。

良い旅が終われば、
しばらくは日常の中で、
旅の痕跡を探し求めて身悶えすることになるのだから。（了）