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鉄印帳の旅27/40(南阿蘇鉄道)&特急あそぼーい


熊本駅から特急あそぼーいに乗車!

南阿蘇鉄道は豊肥本線の立野駅から出発する。
熊本駅から立野駅までは特急「あそぼーい」に乗車した。
熊本9:11発→立野9:56着。
特急「あそぼーい」は熊本から大分・別府を豊肥本線経由で運行されている。土曜休日を中心に特定日のみ1往復運転されている。
JR九州の「D&S列車」の1つに数えられている。

『特急「あそぼーい!」』のテーマは「親子で楽しむ鉄道の旅」。

車体には、JR九州のキャラクター「くろちゃん」をちりばめ、大人にもお子さまにもわくわくしていただける、かわいらしいデザインになっています。「くろちゃん」は車内と、車体を合わせて、なんと101匹もいます!あくびをしたり、お散歩をしたり、笑ったり… 表情がコロコロ変わり、とっても愛らしい「くろちゃん」中から、お気に入りの一匹を旅の中で探してみてください。

「あそぼーい!」の3号車は、ファミリー車両。

お子さまにも車窓を思いっきり楽しんでいただけるよう、車両の床を25cm嵩上げしています。さらに、3号車の座席は、「白いくろちゃんシート」になっています。常にお子さまが窓際に座ることができるように、と考えられた、オリジナルの座席です。お子さま専用のフリースペース「くろクラブ」では、木のおもちゃや、お子さま向けの本を準備しています。 なんといっても最大の特徴は、列車最前・最後尾にある「パノラマシート」!阿蘇の雄大な自然の迫力ある風景を余す事なく満喫でき、お子さまはもちろん、大人も楽しむことのできるデザインの列車です。

https://www.jrkyushu.co.jp/trains/asoboy/

特急あそぼーいの詳細はこちらから。

車内の様子を可能な範囲で撮影した。
マスコット「あそくろえもん くろちゃん」が至る所に描かれており、4両編成ある車内で異なるくろちゃんを楽しむことができる。

南阿蘇鉄道の歴史

豊肥本線の前身である宮地線の支線として開業した。改正鉄道敷設法で「熊本県高森ヨリ宮崎県三田井ヲ経テ延岡ニ至ル鉄道」として定められ、高森駅から三田井(高千穂)を経て延岡までの延伸が計画されていたが、宮崎県側の高千穂から延岡間が高千穂線(後の高千穂鉄道高千穂線)として開業したのにとどまり、高森〜高千穂間の建設はトンネル掘削中の異常出水事故により中断、1980年に凍結された。
翌1981年(昭和56年)に第1次特定地方交通線として廃止が承認され、
1984年(昭和59年)2月には全線の貨物営業を廃止、同年11月に第三セクター鉄道への転換を決定した。
1985年、第三セクター「南阿蘇鉄道」(愛称「南鉄」)が誕生した。地元の公共交通機関として通学や通院のお客さまに利用され、また風光明媚な路線であったことから、開業当初より観光列車としてトロッコ列車「ゆうすげ号」を導入するなど観光面に力を入れ、多くの観光客を運び、楽しませてきた。近年は、四季を問わず外国からのお客さまも増え、阿蘇観光には欠かせないローカル色豊かな鉄道として愛されている。
2016年4月におきた熊本震災で約250mに渡り土砂の流入やトンネル、鉄橋に甚大な被害を受け、甚大な被害を受け一時は全線運休となったが、同年7月31日より高森駅~中松駅間(7.1㎞)において部分運転再開、そして2023年7月15日に全線での運転再開に至った。

熊本地震の断層直下の南阿蘇

南阿蘇鉄道の始発駅は高森駅となるが、熊本市内方面からはJR豊肥本線と接続する立野駅が始発駅ともいえる。近くを流れる熊本の一級河川・白川の洪水・氾濫を防ぐ治水専用ダム「立野ダム」が今年7月に完成しているが、立野駅からほど近いダムを望める展望台に立つと、ダムの説明とともに立野駅が位置する阿蘇郡南阿蘇村が、阿蘇カルデラの外延部に位置しており、すでに阿蘇山系にいること、そしてこの場所が2016年の熊本地震を引き越した断層直下にいることを知る。
熊本地震では立野周辺においても甚大な被害が発生しており、南阿蘇鉄道に限ってみても、断層が動いたことで第一白川橋梁の橋台が最大40センチ動き線路に歪みをもたらし、犀角山トンネル内の線路も歪む被害をもたらした。

乗り場。切符売り場はなく、車内精算方式である。
アニメワンピースとのコラボ列車は観光客の人気列車
時刻表。1日2本は豊肥本線肥後大津駅へ乗り入れる。休日は臨時列車も運行される。
全線運転再開の幟
立野駅はリニューアルされており、木のぬくもりが感じられる
立野橋梁と立野ダム
運よく高森始発の「ゆうすげ号」に出会えた。
阿蘇カルデラと立野
立野ダムの全景

トロッコ列車ゆうすげ号で往く

立野駅から乗車する。
全線復旧前からの人気観光列車「トロッコ」に乗車する。南阿蘇鉄道の「トロッコ列車ゆうすげ号」は立野ー高森間を土・休日を中心に1日2往復している。乗車日10日前から事前予約も可能であるが、空席がある場合に限り当日購入も可能である。

ゆうすげ号が留置線から入線
トロッコ列車の乗降口
窓は上下できる

トロッコ列車は高森駅~立野駅を走る観光列車です。天気の良い日では、開放感たっぷりの車内で、雄大な阿蘇の山々を眺めながら、水源などをゆっくり走り、沿線のガイドを行いながら走る人気の列車です。皆様のご利用を心よりお待ちしております。今年(2023年)も3月18日~11月30日の土・日・休日を中心に運行しています。

立野駅11:35発のトロッコ列車ゆうすげ3号に乗車。乗車日は平日であったが、平日にも関わらず多くの観光客でにぎわっていた。定刻にトロッコ列車が発車する。「トロッコ列車ゆうすげ」は低速で進んでいく。南阿蘇鉄道の前身国鉄高森線時代は貨物列車が運行されており、貨車として利用していたのが今まさに乗車しているトロッコ列車である。旅客スペースは原則吹き抜けとなっており、万が一に備えて窓も設置されているが、旅客列車として設計されているわけではないので、小刻みに時に激しい揺れを感じる。これも観光列車、テーマパークのアトラクションに乗っている気分である。スリリングではあるが、これがこのあと約1時間弱にわたって続くのである。
トロッコは最初の絶景ポイント「立野橋梁」を渡る。超低速な列車はさらに速度を落とし、ほぼ停車しているかと勘違いするほどのスピードで渡る。
立野橋梁を渡り終えると右手には7月に完成した立野ダムが右手に見える。堰部分は完成しているものの、関連が継続されており、その間を列車が走行している。熊本地震が発生するまではこの先に犀角山トンネルがあったが、断層による線路のズレと立野ダムの工事に伴い、トンネル部分は切り崩したうえでダム工事ヤードとなり、南阿蘇鉄道についても切り崩された山の間を縫っている。

第一白川橋梁上に停車中。眼下を流れる白川。
奥から順に南阿蘇大橋、新阿蘇大橋、阿蘇長陽大橋が見える。
白川。橋梁直下60メートルもある。

そして列車は最大の絶景ポイント第一白川橋梁に差し掛かる。
橋梁の先には最長トンネル「戸下トンネル」が待ち受ける。長い直線のトンネル内ではトロッコ列車の車内の明かりが点いたり消えたりした。
トロッコ列車を含め、南阿蘇鉄道は乗務員が沿線案内と観光案内を行っている。トロッコ列車には専属の車掌が乗務しており、ドア開閉と車内放送を担っている。車内の明かりに話を戻すと、トンネル内での現象は故障かと思いきやそうではなく、一種の演出だという。まさにアトラクションそのものである。

画像がブレているが、揺れが大きいためピントを合わせることができなかった。


戸下トンネルを抜けると、景色が一気に変化した。
遥か下を流れていた白川と蛇行しながら進んでいく。
最初の停車駅・長陽に停車する。車掌は各駅ごとに駅の歴史や見どころを紹介してくれる。長陽から先は南郷谷付近を走行していく。加勢、阿蘇下田城、南阿蘇水の生まれる里白水高原、中松、阿蘇白川、南阿蘇白川水源、見晴台と順に停車し、終点の高森には12:29に到着した。
阿蘇下田城駅は熊本地震被災前まで駅舎内に温泉施設が併設されていたが、被災後は温泉施設としての営業は取りやめている。

長陽駅。
城を模した駅舎(阿蘇下田城駅)
南郷谷を走る
久木野高原
日本一長い駅名だった当時は駅名標が金色だった
かつては日本一長い駅名
中松駅

終着・高森の一つ手前の駅見晴台は、キリン午後の紅茶のCMロケ地として知られた場所であり、女優・上白石萌歌さんが出演していたことでも有名である。撮影されたのは2016年であり、以降3度にわたりこの地で撮影が行われている(白川水源でも撮影されている)。撮影に使用された駅ホームには今も撮影時の「場ミリ」が残されているほか、駅舎内には午後の紅茶専用の自動販売機が併設されている。同駅ではコーヒーは購入できないので要注意である。

午後の紅茶のCM撮影に使われた駅としても有名。
売店
奥が列車乗り場
駅前のバス乗り場も移設されている
駅構内
高森駅舎はリニューアルされている
右手には阿蘇五岳
立野方を見る
奥に車庫

普通じゃない普通列車に乗って

復路は途中下車しながら普通列車で高森から立野へ戻る。
高森駅12:55発の普通列車に乗る。平日とはいえ、地元民以上に多くの観光客で車内は賑わっていた。多くの乗客を捌くため2両編成で運行されていた。二つ目の南阿蘇白川水源駅で下車する。この後白川水源を訪問し、阿蘇白川駅まで徒歩で移動した。

2023年にデビューした新型車両
2両編成の列車が立野駅へと走り去った。
白川水源の最寄り駅

阿蘇白川駅14:37発で立野駅へと向かう。
普通じゃない普通列車旅の始まりである。
乗車するのは「サニー号トレイン」。人気漫画「ONEPIECE」で麦わらの一味とともに大冒険をひろげる海賊船サウザンド・サニー号をモチーフに列車である。車内も随所にこだわりが見られる。さらに、ONEPIECE熊本復興プロジェクトの一環でONEPIECE像が複数の駅(高森、阿蘇下田城駅など)で建立されている。
阿蘇の山々の噴火によって形成された伏流水が各地で湧き出ているのも特徴である。南阿蘇鉄道沿線だけでも4つの水源が存在する。先ほど下車した白川水源のほか、高森駅から徒歩10分のところに「高森湧水トンネル公園」、中松駅から徒歩6分のところに「池の川水源」がある。また、車内から確認できる寺坂水源がある。寺坂水源付近では普通列車であっても速度を落とし、運転手からのガイドもある。南阿蘇鉄道では観光情報が運転手・車窓からアナウンスされるのも特徴である。第一白川橋梁では速度を落として運転され、通常ダイヤでなされる運行サービスである点が面白い。

カフェ併設の駅舎。
各駅で「おかえり南阿蘇鉄道!」の横断幕を見ることができた。
全てが絵になる
This is Minami-Aso
サニートレイン号に連結されている。
立野駅を発車

鉄印は3種類

高森駅で入手できる。
通常版に加え、全線復旧を記念した限定鉄印、こちらも期間限定の桃鉄コラボ鉄印の3種類を入手した。

通常版
限定版
桃鉄コラボ、加藤清正公。

JR立野駅スイッチバック

立野駅のもう一つの見どころはスイッチバックである。この駅から大分方面へ向かう列車は列車の進行方向を変えて進んでいく。阿蘇カルデラ(阿蘇火山の爆発で誕生した釜状の凹部)の外輪山の一角にあたり、実は外輪山が白川の浸食で唯一途切れるのがこの立野駅周辺とされ、立野駅と赤水駅の標高差188mを克服するためスイッチバック方式が取り入れられている。立野から赤水までは約8キロあるが、3段式スイッチバック方式で188メートルの標高差を登っていく。立野駅で進行方向を変えた列車は熊本方面へと上ったスイッチバックの頂点(転向線)で停車する。もう一度進行方向を変えて阿蘇・大分方面へと向かっていく。

スイッチバックする特急あそぼーい
スイッチバックの頂点へ登っていく。


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