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わたしの秘密

農家なので、
とても忙しいでしょう、と言われます。
確かにそういう日はあります。

でも、
わたしは、晴れた日は30〜40分くらい
できるだけ歩いています。
これが、わたしの秘密です。

大したことない秘密でごめんなさい。
でも、あんまり人に大きな声で言えないのです。

なぜなら
「そんなゆとりがあるなら
あなたあれをちゃんとすればいいじゃない?」と言われかねないことが、
いくつか脳裏をよぎります。

いろんなことにお返事してなかったり
ご案内のお知らせをしていなかったり。

まあ家周りは草まみれ
片付けはいつだって終わっていませんし
仕事だって途中のことがたくさんあるのです。
受講しきれなかったオンライン講座の動画もたまっています。


そのなかで
「ただ歩く」のは
わたしにとって
ちょっとした罪悪感も伴うことなのです。

もちろん、身体のため、
というのはあるので、
道で会うご近所さんには
「ふとっちゃったから」
とか、「検診で指摘されちゃって」などと、わざわざ言い訳します。

もともとは夫とピクミンブルームというゲームをやっていて、
それで盛り上がってよく歩くようになったというのもあります。


ダイエットしていて、一日一万歩を目指しているのも事実です。

(このところ一万歩は
なかなか到達しません。)


でも、ほんとうは
わたしは歩いているとき、
至福なのです。
たのしいのです。
それを味わいたいのです。

特に冬ごろから定期的に歩いているので、少しづつ植物が変化していくのを
楽しみにしています。

卯の花
かがやくようでした。
たくさんの虫たちが羽音を聞かせてくれました
実に変化したところ


実がふくらんでいます
歩きはじめの光景


阿蘇外輪山一望できる田畑の間の道や、
阿蘇の山側からの、いわゆる水無し川が村道になった
緑のトンネルのような道を歩きます。

宮沢賢治の『虔十公園林』の虔十のようにときどき笑いが込み上げてきます。

風がどうと吹いてぶなの葉がチラチラ光るときなどは虔十はもううれしくてうれしくてひとりでに笑へて仕方ないのを、無理やり大きく口をあき、はあはあ息だけついてごまかしながらいつまでもいつまでもそのぶなの木を見上げて立ってゐるのでした。
 時にはその大きくあいた口の横わきをさも痒かゆいやうなふりをして指でこすりながらはあはあ息だけで笑ひました。

青空文庫『虔十公園林』


あまり人に会わないのがラッキーです。

時々立ち止まって、
ハッとした風景や植物をスマホで写真を撮ります。時にはカメラも持ち出します。

それは時々はSNSに載せたりしますが
ほとんどはお蔵入りです。

そうそう、
5月から、「あすけん」という
アプリで、
レコーディングダイエットを始めたのです。
食べたもの全てをせっせと記録して、カロリーを把握しています。
現代人らしい!


そして、
ついこの間までは
宝石のように
木苺が実っていて、
何粒か食べるのが楽しみでした。
少し酸っぱいのです!

茂みの中で輝いている
暑い日には
たった数粒が
しみじみと体を癒してくれる感じがしました

木苺は、
アプリに記録しない、

わたしの秘密の、
楽しみでした。


りょうこ

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