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アルベロベッロのトゥルッリデア

イタリアの南の方にアルベロベッロという小さな街がある。三角屋根の乗った白い壁の建物。本当は三角屋根ではなく円錐状に石が積まれた屋根で出来ている。2000年の夏にイタリアへ行き、この街で2泊した。最初は1泊だけ滞在する予定だったのだけどあまりにも心地よい街でなんだか快適だった。世界遺産に登録されているんだったと思うけど、電車でのアクセスが不便でどうやって行ったかな〜。ベネベントが途中にあったのは覚えている。とにかく南イタリアだ。長靴の踵の近くにバーリという軍港があり、そこからまあまあ近いはず。泊まったホテルに日本人の画家が何ヶ月も逗留していて、地元のお店にリストランテじゃなくてなんだっけ、忘れた。とにかく夕食をご馳走してもらった。そこで食べた野菜の味はすごかった。太陽が降り注ぐ南イタリアで育った野菜にイタリア料理の素朴な味付けは力強く、もうなんとも言えない味だった。美味しい店につれて行ってもらうとこういう観光客向けではない料理が食べられる。欧米人が夏の休暇を探していて結構高齢の女性たちがショートパンツとかミニスカートで闊歩していた。日本ではありえない服装。

せっかく旅行するのだから3ヶ月くらい日本でイタリア語を学んでから行った。3週間旅するうちに挨拶して簡単な買い物するくらいはできるようになった。要はリスニングだから。相手の言ってることがわかればコミュニケーションは6〜8割とれている。そもそも観光大国イタリアはどこへ行っても英語が通じるし、コミュニケーションに問題はなかった。ところがこのトゥルッリデアというホテルにチェックインした時のこと、オーナーの父親が時々店番をしていた。農業を営む結構恒例の男性。60代くらいかな。部屋の排水溝の流れが悪く部屋を変えてもらいたい。英語で説明するけど全く通じない。いやもっと簡単な会話から始まったかな?ボナセラくらいは通じるだろうと思ったけど、方言があるせいなのかなんなのかコミュニケーションが全く通じなかった。あまりそんな体験をすることはないから面白かったのだけど、日本で旅行したって田舎のおじいちゃんと言葉が通じにくいのは考えてみたらそうだ。なんとか会話しようとしたけど、全く。スペイン人の女性とは話できたのに〜。タクシーシェアして割り勘にできたのに〜。男性と女性の違いもあるかもね。女性の方がボディランゲージ得意だし。

このホテルにいつか結婚したら泊まりに来ようと長年楽しみにしていた。2006年に結婚し、イタリアへは行かなかったけどそのうち行く機会があるとなんとなく思っていた。だけど夫は興味がないらしく去年行かない?と言ったら行かないと答えた。あっそう。愕然とした。これ別れるやつじゃん。昨年聞いて行かないと言っていたけど、今後行くことになるとは思えない。どうなるんだろう。知らん。今年は夏に休暇が1ヶ月もあったのに科研費の締め切りを直前に思い出したと言って、仙台での学会前に1泊だけ温泉に行った。バカンスってフランス人だったら2週間はとるよね〜。1泊は日本人でもありえないだろ〜。めちゃくちゃ不満。結局どこへでも1人で行くことになる。人の都合で行き先も旅行自体も勝手に変えられるのが大嫌い。どこかのタイミングでイタリアへ1人で旅行しよう。フォロ・ロマーノだって取ってあったのに。こうして心は離れていく。わずか1度のズレはそのまま進むとすごい離れていき交わることはない。ん?地球は丸いからどこかで出会うかもな。

写真はアテネフランセの三角窓
トゥルッリデアとは関係ないけど三角と言って思い浮かべるのはこの形。三角屋根の建物って見た目は合ってるけど違うよね。英語ではなんて言うんだろう?

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