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そこはあなたの席ですか?

フランス語の最後の授業の日、授業の終わる直前に私の席が奪われた。とは言っても席は指定席ではなく、どこに座ってもいい。とはいえ朝授業に来て、3時間は同じ席に座り、先着順で席が決まる。私は今朝は遅れずに電車に乗り、大雨の中授業の始まる5分前に着いた。

語学の授業では当たりの席とハズレの席がある。よく当てられる先生から目につく席をあたりとすると、先生から見えない席はハズレの席。たくさん話すほど上達するから座る席は重要だと言える。今朝は当たりの席に座っていた。時々発音練習のために隣のラボ室も使うので隣と行ったり来たりする。荷物を持ったまま。3時間目の始まるタイミングでクラスメートの彼女は遅れてやってきて、ラボ室でそのまま音声練習の授業を受け、授業の終わる10分前になって我々は通常の教室へ移動した。春休みを前にバカンス中は何するの?について話すためだ。広げていた荷物をまとめて教室に戻ると、彼女は私の席に座っていた。なんで私の席に座ってんのよ、と思ったけどあと残り10分。代わろうかという彼女に残り10分だからと言い、そのまま後ろの席に移動した。代わってもらっていればよかった。時間の問題ではなく、残り1分だったとしてもそこは私の席だったのだ。代わったりするべきではなかった。そこは私の席なのだから。

1年半前に那須でリトリートがあったとき、行きの新幹線の座席に誰か知らない人が座っていた。そこは指定席で私の席だから移動してもらった。平日の昼間だから空いている席はたくさんあったけど、指定席は私が予約したものだし、これは言ったほうがいいと思ったので、切符を見せてここは私の席ですと言った。偶然にも同室になったルームメイトも同じ体験をしていた。席を譲ってしまいがちな2人。この時はクリアできた小さな課題のようなもの、後に訪れる現実の課題の前触れのようなものをなぜか今朝思い出した。授業中の一コマという場面話だったから、ラッキーだったかもしれない。これが飛行機のシートだったら10時間以上だし、夫を譲る場面だったりしたら一生かもしれない。少なくとも10分という短い限られた時間だったのが幸いだった。この時制の違う文章をフランス語で書けるようになりたいし、書くのが楽しみでもある。

語学学校の教室の席は指定席ではないけど、朝からそこに座っていた席はその日の授業中は私の席だ。なんか横取りされたようでめちゃくちゃ気分が悪かった。なんでだろう。自分の権利を明け渡してしまったような気分になったからである。あなたの権利はあなたのもの必要だからそこにある。あなたが明け渡してしまわなければあなたの手元に残る。次は絶対に譲らない。Noと言おう。

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