【編集後記】旅から1年と4ヶ月を経て

転職を機に思い立って、小笠原へ旅に出てから1年と4ヶ月が経過しました。立派に新しい会社で働いているわけです。働きながら半ば世捨て人のような、大学生のような、モラトリアム期間について平日の夜だったり土日を犠牲にしながら21件のnoteに書いてみました。

旅を終えて感じたのは、旅人って朝から夜まで動き続けているのに、メモを取ったり写真を撮ったり、それを対外的に発信するのってすごすぎないか?ということでした。正直12日間が終わってからというもの、あまりにも壮大すぎて、自分が感じたものを同じ熱量で何かしらの形に落とすということがあまりにも遠く感じてしまいました。

それでも自分なんかよりも旅をたくさんして、写真でも動画でも文章でも絵画でも音楽でも・・・なんでもいいから誰かに感動を伝えて、みたいなことは平気であるわけで。本当に尊敬したわけです。そういうひとを。

今回の旅に関していうと、仁科勝介というカブで日本の市町村一周をしている友人の存在は大きかったです。そもそも小笠原に行きたい!と思うようになったきっかけの1枚も彼が撮った写真だったから。

だけどもう1つあるならば岡田悠さんです。

「0メートルの旅」という本を手に取って読んで衝撃が走りました。え・・・サラリーマンをしながらこんな面白い人がいるのか?と。働きながらオモコロのライターなんてしていいの?奥さんとの新婚旅行で南極行っていいの?海外を巡りに巡っていいの?スシローのネタを安く食べられるアプリから発行されるクーポンの予測しながら過ごしていいの?

正直、大きく価値観を揺さぶられました。写真家かサラリーマンかなんてわかりやすい答えに辿り着かなくたって、両立しているひとがいる。面白いことを信じて、社会に迎合せずに過ごしているひとがいること。それだけで随分と助かったものです。現に土日だけは朝から晩まで楽しみ尽くすようになりました。

あとは坂口恭平さんとの出会いもありました。音楽も、絵画も、文章も、なーんでもとりあえず「好きだから」続けているかっこいい人がいると知りました。なんでだったかなあ。ライブで初めて見かけて、Twitterを見たら本当に自分の電話番号を公開して自殺する前に電話してよって言ってたんですよね。なんて生き様だと衝撃が走りました。こうやって人のためになれて、自分は好きなことして生きれている人っているんだって。

社会人になるまで、ネクタイ締めてスーツを身にまとって働くことはかっこいいと思ってました。ちゃんと社会に属して、ちゃんと働くことって輝いて見えていたから。だけど実際に社会に出て感じたのは、「大人ってほんといろんな種類がいる!」ってこと。心のそこから尊敬できるひともいれば、中途半端に生きているひとも腐るほどいる。年功序列を使いこなして年下相手に威張っているひともいる。だからこそひとって面白いのだけどね。

だけどそんなときに僕は見つけた。坂口恭平さんが言ってた言葉。

幸せじゃない大人真似してどうするん、真似するなら幸せな大人を参考にしないと

妙にこの言葉が、社会人生活を3年以上過ごしてきた自分の胸に突き刺さる。相談って近くの人にしがちじゃないですか。だけどそれって間違っていて、自分が信じられる世界で、自分が信じられる幸せの基準で生きているひとの真似をせっかくならしたいじゃない。

そうやって毎日楽しそうな坂口恭平さんしかり、岡田悠さんしかり、友人の仁科勝介しかり・・・こういう人たちのことを真似したいなあって純粋に思ったわけです。儲かるとかじゃなくてって、自分の立場で最大限おもしろいこと。そしてそれは形にしておくこと。そういう思いがこのnote 21話を書く原動力になったような気がしています。

小笠原に行く前に、「小笠原 ひとり旅」などのキーワードで調べて、存在する情報は片っ端から触れた。意外と情報が少なくて、島のリアルな空気感を伝えるものはなかった。全然まとまりなんてないけれど、島のガイドブックにはならないかもしれないけれど、リアルな空気感だけは自信がある。あくせくまわらなくたって楽しめること、年齢を重ねるよりも前に訪れたらイルカとも泳げたり、どんどんと山を登ったりできること。

そういうひとり旅予備軍の方々、今後もひとり旅や旅に縁のなかったひとにこそ読んでもらえると嬉しいなあと思う。だって自分がそうだったもの。ドラマチックでなくたっていい、それよりも自分自身が何を感じたのか、何を見たのかを大切に小さく小さく積み重ねてみると新しい世界が見えてくること。

自分を開放すること。意外と周りは見てくれていること。そういったこと全部ひっくるめて、誰かの行動のひと押しになったら嬉しいなって、心から思います。ありがとうございました。

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