高山 亮真

1996年生まれ|会社員 日常から離れた場所の日常を、いつでも味わえる環境音や写真、文…

高山 亮真

1996年生まれ|会社員 日常から離れた場所の日常を、いつでも味わえる環境音や写真、文章で残したい。 ▽Instagram https://www.instagram.com/ryo.tkyma/

マガジン

  • 線でつらねる写真

    写真をSNSですこしずつ出して消費していくより、線でつらねて意味のある形で残しておきたくてはじめました。

  • 旅に出る意味がわからなかった 小笠原諸島での12日間

    東京の離島である小笠原諸島へ行った旅の12日間を、文章・写真・環境音とともにまとめています。

  • お茶、はじめよ。

    表千家の茶道を全くの初心者から始めてみました。ほんとうに、友達がプライベートで点ててくれたお抹茶を片手で数える程度です。 格式高いよね、って言われるお茶の世界に楽観的に足を踏み入れたのですが、わりと楽しくやっています。

最近の記事

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【最終回】血の通った「ありがとう」と「いってらっしゃい」 小笠原ひとり旅 11日目 #20 

島で過ごす、最後の時間。 たとえいやなことがあっても、海に足をつけてみれば、さらさらと洗い流してくれているようで安心する。小笠原の海はくさくないから、朝から入ってもいやな気持ちにならない。 ビジターセンターで最後に島の歴史や動植物のおさらいをする。その土地に関する情報が体系的にまとまっている場所があるのはとてもありがたい。 本来最初にいくような場所だけど、実際に目で見たり、ガイドさんに教えてもらった内容を見直すにはぴったりだ。最初もいいけれど、最後にいくのもおすすめしたい

    • 夜明け前のラーメンと朝日。

      「午前3時から9時まで空いているラーメン屋、いかね?」 いつもどおり前置きのないLINEが、お店のインスタアカウントURLとともに乱暴に届いた。 すぐに明日の東京の天気を調べて晴れだったから「いこう」と粗雑に返した。 そんなわけでいま、夜明け前からラーメン屋のためだけに朝5時前に起きて、まだまだ夜の街のなかをとおりすぎ、世田谷へ出向いている。バカだなあ。 乗ったことのないローカル線がなかなかこない。妙に郊外に小旅行をしているようで、朝の味わいが深まっていく。 駅で手

      • 新幹線は田舎と都会の境目をゆるやかにする

        羽田空港のショッキングな映像がインターネットやテレビで流れていた1月2日。 1月の4日と5日を休んでしまえば、じつに11連休も夢でない年始だったにもかかわらず、そんなに休んでられないぞと体にムチを打って大分から東京へ帰る決断をした。やれやれ大人になったもんだ。 島根の友人からLINEがくる。1月3日の始発の飛行機に乗る予定だったが、どうやら飛ばなくなったらしい。それは大変ですね、僕は新幹線でゆっくりと帰りますよ、と返す。 そう、帰り道はなんとなく新幹線でゆっくり帰ろうと

        • 木を木として見なくなってからがおもしろい

          昨年12月の中旬に、いろんな事情が重なって、僕はひとり、神奈川の山を登っていた。新宿からバス一本で山登りにいけてしまう東京はほんとうに恵まれているなあ。 クリスマスの1週間前にも関わらず、平日の重労働をくぐり抜け、朝6時に起きてバスに乗り、土曜日の朝10時から山を登っていた自分をもっと褒めてあげたい。 せかせかと生き急いでいる人を見ると息が苦しくなるように、ゆっくりと太陽にむかって生きている木を見ると心が休まる。 それがとても心地がよい。登山って体力的にはつかれるのに、

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        【最終回】血の通った「ありがとう」と「いってらっしゃい」 小笠原ひとり旅 11日目 #20 

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          10年会ってない間、いちばん幸せだったことってなに?

          今日、高校時代の陸上部の先輩2人と、卒業ぶりにあった。10年ぶりくらいかな。 卒業後も何度も部活に顔を出してくれて、それはそれは大好きな先輩だった。後輩として一緒に走っている時はずっと笑っていた記憶なんだもの。 いま覚えば、走ってばかりの陸上部の練習に行きたかったあの感情は、後輩を楽しませよう、笑わせようとしてくれた先輩たちのおかげなんだなあ。 あまりにも久しぶりに会ったときって、なにから話せばいいんだか分からない。だけど当時を懐かしむだけでなくって、会ってない間に何を

          10年会ってない間、いちばん幸せだったことってなに?

          「よろこばせたい」気持ちを大切にする

          明けましておめでとうございます。 朝から駅伝をなんとなく流して、とにかくおせちとお雑煮、持ち寄ったお土産を絶え間なく食べ続けて親族とおしゃべりしてたら1日も終わり。 親族との過ごし方、27年も生きてるのによくわかってないんですよね。食べるばかりでどう考えても太るの不可避だろうなあ…。 などと、わたしの2024年年越し年明けは、いつものようにのんびりと大分の実家で過ごしています。 さて、帰省は基本的に好きなんですが、ひとつ不満があるんですよね。 それはワインや日本酒を

          「よろこばせたい」気持ちを大切にする

          【編集後記】旅から1年と4ヶ月を経て

          転職を機に思い立って、小笠原へ旅に出てから1年と4ヶ月が経過しました。立派に新しい会社で働いているわけです。働きながら半ば世捨て人のような、大学生のような、モラトリアム期間について平日の夜だったり土日を犠牲にしながら21件のnoteに書いてみました。 旅を終えて感じたのは、旅人って朝から夜まで動き続けているのに、メモを取ったり写真を撮ったり、それを対外的に発信するのってすごすぎないか?ということでした。正直12日間が終わってからというもの、あまりにも壮大すぎて、自分が感じた

          【編集後記】旅から1年と4ヶ月を経て

          好奇心のむき出し 小笠原ひとり旅 12日目 #21 

          東京に帰ってくると、まず驚いたのが海の色だった。 遠くで見ると空の反射でかろうじて青く見えるが、港へ近ければ近いほど茶色い海が広がっている。心なしか匂いも強くて我慢できずにデッキを離れる。 下船が始まり、港でまたどこかで!という挨拶がそこらじゅうで聞こえる。 りょうさんが泊まっていた民宿のグループに交えてもらい、駅まで歩く。 「みんな、俯いて歩いてますね」と言われてハッとする。スマホをしきりに触って、街に差し込む夕日を見る人なんていない。 5人グループの小学生が、Ti

          好奇心のむき出し 小笠原ひとり旅 12日目 #21 

          ハレと初心 小笠原ひとり旅 10日目 #19

          今日で宿に泊まるのは最後。自然や海は充分に満喫したので、USK COFFEEさんで行われている月に一度のファーマーズマーケットへ行くことにした。 これもローカル雑誌「ORB」と一緒で、出発前になにかのサイトで見つけていて、月に一度開催だからタイミング合わないんじゃないかなとどこか他人事だった。だけど昨日ホテルで予定を立ててたらちょうど明日やるよっていうんだから驚いた。 父島自体、街に活気はあれど、ここまでのお祭りの雰囲気は出ていなかった。観光客と島民が半々くらいで来ている

          ハレと初心 小笠原ひとり旅 10日目 #19

          太陽の朝は早い 小笠原ひとり旅 10日目 #18

          黒電話の音がけたたましく鳴り、飛び起きる。スマホを見ると時刻は4時。 そうだ、やっと原付を借りたんだ。朝日スポットの旭平になんとしても行くぞ、という強い意志でベッドを飛び起き、まだ暗い街に街頭が輝くなか原付を飛ばす。 原付で20分ほど走り到着する。空が明るくなっている。急いで原付から降りて旭平を駆け寄ると、島民のカップルだろうか、私より早く日の出を待っていた。 女性は朝日に夢中で、男性は草を抜いたり、蚊と戦っていて全く見ていなかった。そんな中朝から運転してくれたの優しい

          太陽の朝は早い 小笠原ひとり旅 10日目 #18

          言葉は必要なときに向こうからやってくる 小笠原ひとり旅9日目 #17

          今日はなーんにも入れない。なんにもしないと決めていた。 コペペ海岸でただ横になりたい。 いろんなお店でかき集めた、小笠原の文化を伝えるローカル雑誌「ORB」をじっくり読むのだ。 家の近くを散歩するみたいに父島を散歩する。 父島らしいものはたくさん見てきたから、特別でないものを見たい。 今日はゆっくりコペペ海岸までいこうと思っていたら、地図にない道があったので予想以上に歩きまわってしまった。 スイッチが入ってしまって、まだ島のカフェに行ってないなあと思い立ち、遠回りを

          言葉は必要なときに向こうからやってくる 小笠原ひとり旅9日目 #17

          イルカの顔つきとはじめての友人 小笠原ひとり旅8日目 #16

          水泳は苦手だった。 小学生の頃、野球をしていたから体力には自信があって、体はまったく浮いていないくせに腕の力だけで50メートルを溺れながら泳いでいた。 そんなわたしが今日、ドルフィンスイムに挑戦する。小笠原に到着して最初はこんな広大な海で泳ぐなんて!と、カヤックや登山などの安全なアクティビティばかり目に入っていたことを思い出す。 この数日間でずいぶんと海への印象が変わった。不思議と小笠原の海には得体の知れない恐怖心はなくなっていて、魚たちが暮らすうつくしい街へ、すこしお

          イルカの顔つきとはじめての友人 小笠原ひとり旅8日目 #16

          スレてない魚 小笠原ひとり旅7日目 #15

          今日で母島とはお別れだ。たった3日しかいなかったけれど、すでに1週間以上滞在しているんじゃないかと錯覚するくらい充実してた。 時間の流れって、目を輝かせる時間だけ止まっているんじゃないか。 ひとは死を感じるときにスローモーションに感じるというけれど、心を奪われているときもスローモーションになるもの。 父島への出港は午後2時だから、午前中は泳ごうと決めていた。昨日会った島っ娘のお姉さんにおすすめしてもらった御幸之浜に行くんだ。 「御幸之浜への道はモモタマナの並木通りがつ

          スレてない魚 小笠原ひとり旅7日目 #15

          「人って一年くらいで変わっちゃうんだなって」 小笠原ひとり旅6日目 #14

          新夕日ヶ丘からダッシュで走りぬけ、宿に帰ろうと歩いていると、港のコンテナの裏で10人くらいがあつまり、持ち寄りパーティをしているのを発見した。 何度も景気良く「かんぱーいっ!」をして、陽気な音楽を流しながら、わははと笑い声が港に響いている。母島では居酒屋でなくて港で飲んだりするよと、話には聞いていたけど、実際に見てみると混じってみたい、楽しそうな集まりだ。 ここで、真の旅人であればあの楽しそうな集まりへ混じりにもいくのかもしれないが、わたしにはそこまでの勇気も出ずに、遠く

          「人って一年くらいで変わっちゃうんだなって」 小笠原ひとり旅6日目 #14

          じぶんだけの御守り 小笠原ひとり旅6日目 #13

          母島での初めての朝。 釣りをしているおじさんと、サクッと車で話しかけにくるおじさんの距離感がちょうどいい。 今日は「シン・パーソナルツアー PoCo」さんにガイドをお願いした。昨日の朝にあわてて電話をしたら唯一対応してくれたところだ。 「私、五反田大好きなんですよね!」と、島暮らしの方への期待とすこし違う話をしてくれるシティーガールたえちゃんがガイド担当してくれる。お会いした瞬間からパワフルで一緒に過ごせるのがかなり楽しみ。何回かガイドさんにお願いして気づいたけど、こち

          じぶんだけの御守り 小笠原ひとり旅6日目 #13

          廃港でお昼寝。 小笠原ひとり旅5日目 #12

          「いや〜、ごめんね。もううちの原付は全部予約でいっぱいだよ」 カツ丼でお腹を満たしたわたしは、原付にでも乗って母島をゆっくりと巡ってみようと画策していたのだが、早速壁にぶちあたる。 「そうだなあ、ここらへんで他に原付置いてるっていったらダイブリゾートさんくらいじゃないかな?」 と教えてもらい、うだるような暑さのなか港沿いをマイペースにあるく。 |本日休業。 ダイブリゾートさんの前に貼られていたのは、悲しくならんだ4文字だった。店先にはたくさんの原付が並べられている。

          廃港でお昼寝。 小笠原ひとり旅5日目 #12