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カラスミのクリームパスタの献立レシピ、風味は山うどでほろ苦く

年が明けると山菜が出回りますね。

こごみ、タラの芽、山うど、ふきのとうetc……美味しい山菜を「どうにかこうにかイタリアンにしたい!」と思ってもリクエストの多くはパスタだったりします。

「苦い野菜は生クリームと合わせる」というのがセオリーなので、どいつもこいつも生クリーム風味になっては面白くないと思いました。

芽キャベツのようにかなり塩を振ればオリーブオイルで炒めるだけでも凄く美味しい山菜ですが、今回はカラスミと合わせて作ってみました。


もくじ

1 ボッタルガの種類
1.1 ボラ以外にマグロなども使われる
1.2 サルディーニャはボラ、シチリアではマグロのボッタルガ
1.3 唐千寿って何?!
2 ボッタルガは南部風の食材
2.1 本来はニンニク、唐辛子、オリーブオイルが基本
2.2 山うどの風味はニンニクとバッティングする
2.3 北部リグーリアでもボッタルガを食す
3 作り方
3.1 材料
3.2 作り方
4 カロリー
5 上手に作るコツ
5.1 水気の出る食材を使わないのがセオリー
5.2 山うどよりもマッチしそうな食材
5.3 ウニのパスタは【名没メニュー】


ボッタルガの種類

ボラ以外にマグロなども使われる
日本でもお馴染みの珍味【カラスミ】とはとどのつまり「魚の卵巣で作るもの」なので、ボラ以外にもマグロやサバ、メカジキなどでも作られるそうです。

ボラそのものは日本でも東京の河川に大量に出没したりするくらいで、臭みが強いので地元以外ではあまり食べられないそうです。

【ボラのヘソ】なんかはこれまた珍味で結構旨いんですが、わざわざヘソを採るためだけにブッ殺されたのではボラも浮かばれません。

サルディーニャはボラ、シチリアではマグロのボッタルガ
シチリアは歴史的にあちこちの国に占領されたりと、かなり文化の入り混じった島です。

人種のるつぼと言っても過言ではなく、食文化もアラブやアフリカなど様々な地域の影響が散見されます。

翻って、サルディーニャはかなり保守的な島で、伊勢海老漁や羊飼いで生計を立てていた家がほとんどなんだとか。

伝統を重んじカラスミはボラで作る、これがサルディーニャのスタイルだったわけですね。

唐千寿って何?!
カラスミを探していたら【唐千寿】というものに出会ってしまいました。

唐千寿は鱈や鮫の卵、卵黄などを混ぜて作ったカラスミの模造品で、70gで570円(笑)

本物のカラスミに比べてグググッとお安くなっておりますが、味の方は理想的とも言えるテイストで、まぁ見事なものです。

私はこれを試食した瞬間、本来のカラスミの味を忘れました……「あれ、これ結構旨くない?これで良くない?」と。

まぁ胡散臭い調味料の味がしないでもないのですが、家の冷蔵庫にあった古くなったイタリア産ボラのカラスミパウダーよりはずっとジューシーでねっとりした食感もあり、料理が美味しくなりそうな気がしたので今回は唐千寿を使って作る事にしたんですね、本当に申し訳ない。

ボッタルガは南部風の食材

本来はニンニク、唐辛子、オリーブオイルが基本
イタリアでのカラスミの主な生産地はシチリアやサルディーニャで、イタリア南部の味付けといえばアーリオオーリオ(オリーブオイルにニンニク)、唐辛子ですよね。

カラスミの味付けも例外ではなく、オーソドックスな南部風のレシピにおいては魚卵の独特の苦味を味わうために極力シンプルな味付けにするのがカラスミのパスタの特徴なんですね。

とか言いつつ「魚卵の苦味に旬の山うどの苦味をブレンドしたら爽やかな風味になるかな?」と思ってちょっと実験してみた次第です。

山うどの風味はニンニクとバッティングする
山うどを切った後に何となくニンニクを刻んでいたら、香りがバッティングする事に気付いてそのままニンニクは破棄しました。

せっかくの山葵のような香りとほろ苦さが、ニンニクの風味に負けては勿体ないと思ったからです。

塩辛いボッタルガをトッピングするとなると、南部のパスタらしくスパゲッティを煮焼きにすると超塩辛い仕上がりになっちまうことは容易に想像が付きました。

煮焼きは無理として、この山うどの風味を上手に生かしつつ塩気を緩和するとなると「やはり生クリームを使うのが妥当かな」という判断に至るわけですね。

北部リグーリアでもボッタルガを食す
リグーリアといえば港町ジェノバです。

昔からサルディーニャやシチリアといった島とは交易があり、ボッタルガの流通も盛んだったとか。

リグーリアの名物料理ジェノベーゼなんかはインゲンとジャガイモが主体の山の幸のパスタですから、ボッタルガに合わせて山菜を持ってくるセンスはリグーリア風とも言えるかもしれませんね?

作り方

材料
・山うど 30g
・カラスミ(すりおろす) 20g
・スパゲッティ 60g
・バター 10g
・生クリーム 30ml
・ブランデー 10ml
・レモンの皮 適量

作り方
・深鍋にたっぷりの水を張り、1%の塩を加えて沸騰させる。
・フライパンにバターと生クリーム、ブランデーを入れて煮詰め、山うどを加えてソースを作る。
・ソースが煮詰まってきたらアルデンテに茹で上がったスパゲッティを水気を切って加え、和える。
・火を止めてカラスミ15gを加えてよく和え、皿に盛って残りのカラスミ5gとすりおろしたレモンの皮を散らしたら完成。

カロリー

りょうりんの山うどとカラスミのクリームパスタ一人前は大体 527 キロカロリーくらいです。

上手に作るコツ

水気の出る食材を使わないのがセオリー
この料理を通して気付いた事が1つあります。

【水気の出る食材はパスタには使わない】というのがセオリーという事です。

私も今まで色んなパスタを作ってきましたが、パスタ料理というものは基本的に水気を嫌います。

生クリームなどもシャバシャバの状態から煮詰めてチーズと合わせ、ネットリとパスタに絡めるので水気を切る形になります。

今回はカラスミそのものにかなりコクがあるのでチーズは使わない方向で進めましたが、山うどは結構水が出るので炒めない冷製パスタ向きの食材であり、加熱を施すパスタには向かないなぁというのが感想です。

山うどよりもマッチしそうな食材
日本の山菜なら【ふきのとう】、西洋食材なら芽キャベツなんかが合うんじゃないでしょうか?

あるいはトレビスなら赤紫とオレンジのコントラストが美しい一皿になるかもしれませんね。

ジェノベーゼの食材であるジャガイモやペスト・ジェノベーゼなどもバジルのほろ苦さがボッタルガに合いそうな気がしました。

ふきのとうはタラの芽や山うどに比較して苦過ぎるので私はあまり好きではなかったのですが、唐千寿のコク深い味にはエグイくらいの苦味が合うかもしれません。

ウニのパスタは【名没メニュー】
私も何度か挑戦した事がありますが、ウニのパスタとカラスミのパスタはちょっと似たところがあり、素材の磯臭さをどうにかしようとするとつまらない料理になってしまうんですね。

レモンを絞るのもありがち、火を入れないでパルミジャーノと合わせるのも凡庸、アンチョビと合わせると殺し合う結果に、なかなかマリアージュを見つけるのが大変なんですね。

砂糖を加えたバターソースにたっぷりのタイムを入れるなりして芳醇な香りを作ってやるか、あるいは「磯臭さ」を【磯旨さ】と捉えて全面的に押し出すか。

後者の場合はガルム、コラトゥーラ(魚醤)のような調味料でもっとギンギンにしてやった方が素材が活きるかもしれませんね。

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