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2020.4.15 幼いあの日のあこがれを。

妻なんです。

高校生の頃、好きなひとの画像を携帯電話の待ち受けにしていた。好きなひとというのは画面の向こうにいる方で、歌手だったり女優さんだったりした。具体的に言えばaikoだったり蒼井優だったりした。携帯を開くたびになんか嬉しくなった。その頃はスマホではなくて携帯だったから、いちいち物理的に開いていた。それが特別感を出していたような気もする。開くたび好きなひと。なんてシンプルな魔法だろう。ささやかな魔法。これを魔法だと感じてしまうくらい、日々は閉塞感に覆われているのかい。そんなふうに問いかけたのは今日の午前中で、目の前では息子と娘がRPGの最初の街から飛び出した勇者たちみたいに草むらを歩き回っていた。草むらさえあれば子どもたちには十分で、自分はだいぶ高度にこねくり回すのが好きになってしまったなと思った。遊ぶときとか。しかもその高度さはあくまで「生まれて数年経ったくらいの子どもと比べたら」くらいのものであっていうほど高度でもない。余暇で真剣になれなくなったらそのときは携帯の画面をかえたくらいの魔法では回復できなくなっている。ちょっとした死を越えて結構死んでいる。酒にしろ詩にしろ、力を入れすぎたくはないけれどもっと楽しくなりたいなと思った。最初の街を飛び出したときの感動は忘れないけれど、10個目の街にいたら少し違うものを見たいと感じてしまうのがわたしの性であり、それは抑えようとして抑えられるものではない。と。また力みそうになっている。スマホの画面を見る。割と最近買ったこれは顔認証がついている。もはや開く必要もなければキーを打つ必要もない。それを向けると少しだけ魔法がかかる。あの頃開いたときの魔法と違う、やさしい魔法が。そこに映るのもやはり好きなひとなんですけれども、それが誰か知りたいひとは文頭に戻ると謎がとけますよ。おやすみなさい。

酒と2人のこども達に関心があります。酒文化に貢献するため、もしくはよりよい子育てのために使わせて頂きます。