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【大麻グミと消防法】

超久しぶりの投稿で、突然なんですが、世間を騒がしている大麻グミと消防法について書いてみたいと思います。

体調不良者が食べたグミには、大麻に近い合成化合物「HHCH」(ヘキサヒドロカンナビヘキソール)が含まれていましたが、これが法規制の対象外であったため、販売会社社長自身も「違法ではない」と堂々と主張しています。

政府はHHCHの規制を検討しているようですが、今後も規制対象外の薬品を用いた脱法グミが続々誕生するでしょう。

実はこの流れ、労働安全の世界で全く同じことが起こっています。

30年ほど前に、大阪の印刷会社で有機溶剤の規制を避けるため規制対象外であった1,2ジクロロプロパンという物質を用いていたのですが、この物質が実は発がん性物質で多くの若い従業員が立て続けに亡くなったという痛ましい事件がありました。

これを受けて、化学物質の個別規制はイタチごっこで限界があるという結論となり、リスクアセスメントを通じて事業者が自ら対策を講じる必要があるという法改正が近年行われました。

欧米ではこの法令の限界が50年前に指摘されており、すでに化学物質だけではなくあらゆるリスクに対して事業者によるリスクアセスメントと、自主的な管理が求められる法体系となっています。

海外のリスクアセスメントに関する法令については以下の記事に少し書いていますので、良ければ読んでください。

ようやく消防法の話になるのですが、これって用途判定や設備規制でも同じことが言えると思いませんか?

私も現職時代、在宅医療を望む方々が自ら共同生活をする「ホームホスピス」の用途判定に頭を悩ませたことがあります。

ホームホスピスは「住まい」であり「施設」ではない、リスクを考えると6項ロが近いが、それは類推解釈となり違法な過剰指導になるかもしれない。。。と

過去の事例に当てはめて規制をするというのは、本質的なリスクを考えることとは別のことになります。

また、法規制が細かいほど「違法じゃなければ何をしてもよい」という本末転倒な考え方が生まれたり、逆にリスクからかけ離れたりオブジェ化した設備が増えるのです。

これが「日本版火災リスクアセスメント」を構築したいと思うようになった原体験の一つでもあります。

法文ではなくリスクを見る、これが今後火災予防のスペシャリストに求められる力であると思います。

そのリスク判定を体系化したものが火災リスクアセスメントになります。

安衛法や他の法令には徐々にリスクアセスメントの概念が浸透し始めました。

消防法にも必ずリスクアセスメントの考えが強く浸透する時代がやってくると私は確認しています。

その時に備えて、火災リスクアセスメントの先駆者に皆さんでなりませんか!?


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