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「働く」の時間論③ ビジョンは哲学由来の考え方

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組織やチームで事業をしていると、どんな社会を実現したいのか、ビジョンを描くことが求められる。ではビジョンを実現するために「働く」時間はどのようにとらえればいいのだろうか。

ここで立ち止まって「ビジョン」についてもう少し考えてみたい。
ビジョンとは前回書いたように目標を達成したときに見える景色のことである。なので未来という時間軸に置かれた理想の像ということになる。

現在にはない理想の姿、もっと広くいうと「世界」が存在するという考え方、これはプラトンから始まる西洋哲学が由来ではないか、と考えている。(ここから先の哲学のとらえ方は木田元の『反哲学入門』という本をベースに考えています。自分では稚拙な説明しかできないのでご興味のある方はぜひ読んでください。とてもわかりやすくて面白いです。)

「哲学」という言葉は、今では人生訓のようなものにまで使われているが、もともとはギリシャ時代からの西洋の独自の思考方法を指す言葉である。では何が独自だったかというと、「現在、この世界ではないところに完璧な世界が存在する」という思考をしていたことである。

プラトンはこの世界ーーいま目の前に見えるもの、机、パソコン、家、それからその外に広がる地面、花、空などーーとは別にイデアという世界を考えた。イデアは永遠に変化せずに存在するもので、この世界に関与することで様々な概念を与える。例えば薔薇を見たときに美しいと人が感じるのは「美のイデア」が関与していたからである。プラトンがなぜこのようなことを考えたかというと、国家に理想を描くために必要な概念だったからである。

時代が下り、西洋はキリスト教を中心とした社会になった。そのときプラトンのイデアに代わり考えられたのが「神」だった。さらにその神の位置についたのが人間の「理性」だった。

何が言いたいかというと、哲学、西洋の思考様式では、理想的な世界がどこかに存在し、現実の目の前に広がっている世界は不完全で未熟であると考えられてきた。

ビジョンとは現実を超越して理想の世界を描くことで生まれる。これは哲学をビジネスに応用した考え方なのではないか。



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