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2023年2月に読んだ本

今月読んだ本の、まとめ!

① N・K・ジェミシン「輝石の空」

岩石や鉱物をモチーフにした独自設定ファンタジー三部作の完結編! 第一作「第五の季節」の時点で、練り込まれた世界観や独特の重層化された語り口によってボリューム感のある物語だったけれど、さらに空間的、時間的に様々な勢力の思惑が交錯する物語に。

これまでの物語でも描かれていた「危機に立ち向かう力を持った能力者達は、その能力故に恐れられ管理されなければならない」という作中世界の思想が挿話から垣間見えていて、「じゃあどうするのか?」という能力者の葛藤がひとつのテーマになっている感じ。

② A・A・ミルン「赤い館の秘密」

「くまのプーさん」の作者による長編ミステリ。ミステリ好きの作者が「こんなミステリが好きだ」と思うミステリを実際に書いてしまった本。 約100年前に書かれた本(原書出版が1922年!)ということもあり、良い意味でシンプルな作品になっているのが本書の魅力。

ミステリのトリックには「クリスティの例のやつ」みたいな、後の作家に言及されたりアレンジされたりするものがあるけれど、本作のトリックもそういう「原型」っぽい感じがします。

③ ジェフリー・アーチャー「百万ドルをとり返せ!」

大富豪が(少なくとも表向きは)合法的に稼いだ百万ドルを、中産階級&貴族の四人組が非合法な手段を駆使して奪取するという衝撃的なプロットの物語。

詐欺を題材にしたコンゲーム小説の名作とのことで、悪役より主人公側(特に医者)が怖いのが面白いところ。主人公サイドは自分たちを「被害者」だと思っているものの、職業倫理をかなぐり捨てて大金を騙し取ろうとする姿には背筋が冷える思いがします。

④ 連城三紀彦「戻り川心中」

明治〜昭和を舞台にしたミステリ短編集。物理的なトリックというよりは、心理的な謎を中心に展開される物語になってます。

ミステリというと説明的な文体になりがちだけれど、本作は自然な回想のなかに巧みにミステリ要素が埋め込まれているのが印象的。

⑤ 竹田津実「獣医師、アフリカの水をのむ」

アフリカの魅力に取りつかれ、40年に渡ってアフリカへの旅を繰り返してきた著者による旅行記。現地でトラブルに遭うこともあるけれど、著者がアフリカ旅行を心から楽しんでいることが伝わってくるのが素敵な本でした。


以上、今月の読書でした!


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