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2022年8月に読んだ本

今月読んだ本の、まとめ!

① 武田龍夫「物語 北欧の歴史」

デンマーク、スウェーデン、ノルウェー、フィンランド、アイスランドの北欧5国の歴史が概観される本。1国あたりの記述量はどうしても少なくなってしまうけれど、近隣国の関係性や、同時代での各国の違いが併記されていて面白い本でした。

この本を読んで、北欧を舞台にした小説を読んでみたいと思い書店を物色したところ何やらミステリが多い様子。どうやら「北欧ミステリ」はひとつのジャンルになっているようでした。

そんなわけで、今月はいろいろな北欧ミステリに手を出すことに。

② オリヴィエ・トリュック「影のない四十日間」

北極圏でトナカイ警察として働く主人公が、先住民族のとある文化遺産の盗難事件と殺人事件の謎を追う物語。

作者はフランスの新聞社の北欧特派員(スウェーデン在住)で、北欧での取材経験に基づく詳細な描写が魅力... ではあるのだけれど、実は本書で書かれるような3ヵ国体制のトナカイ警察はフィクションとのこと(実際はノルウェーのみ)。

③ アーナルデュル・インドリダソン「湿地」

本書はアイスランドの作家による警察小説で、ハードボイルド風の淡々とした筆致で語られる陰鬱さの漂う物語。物取りの末の突発的な殺人と思われた事件を捜査するうちに、暗い過去が暴かれていく。

④ マイ・シューヴァル、ペール・ヴァールー「笑う警官」

本書も推理重視のミステリというよりは、警察の地道な捜査によって真相が明らかになる警察小説タイプの北欧ミステリ。普段は文句を言い合いながらも、捜査の技能については互いにリスペクトのある捜査チームの描写が気持ち良い。

⑤ ヘニング・マンケル「殺人者の顔」

スウェーデンの移民問題を背景にした警察小説。仕事以外ではダメなタイプの主人公はよく見るけれど、ヴァランダー刑事のダメな感じは初めてかも。殺人事件の調査の最中に、私生活でも仕事でも大変な目にあっていきます。主人公が警察官でありながら、「正義感」と「遵法意識」が分離しているキャラなのも興味深いところ。

⑥ ピーター・アントニイ「衣裳戸棚の女」

リアリティ重視の北欧警察小説が続いたので、推理重視のミステリを読んでみたいと手にとった本。治外法権扱いの「名探偵」が活躍する、古き良き英国本格ミステリでした。

⑦ H・P・ラヴクラフト「アウトサイダー」

新潮社のクトゥルー神話傑作選、の3冊目。

いわゆるクトゥルーもの、というよりは「〇〇という名前が最初に登場した作品」といった資料的な作品の収録が多い感じです。 ホラーとしてはややベタな感じもするけれど、演出が秀逸な「家の中の絵」がお気に入り。

⑧ 萩尾望都「美しの神の伝え」

漫画家として有名な方、という認識だったので小説の短編集が出ていたのが気になって手に取った本。SFにホラー、怪奇小説やコメディと、様々なジャンルの短編小説(+漫画)を収録。

どこか人工的な設定の楽園で育てられる子供たちを主人公にした表題作「美しの神の伝え」、風刺に切れ味のあるショートショート「CMをどうぞ」、独自の文化を持つ惑星で発生した殺人事件の謎を追う「ヘルマロッド殺し」、行方不明の薬師如来を探し回る十二神将達のドタバタコメディ「守人たち」と... どれも違った方向性で面白い短編集でした。

以上、今月の読書でした!

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