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Universal Language~Self Translation~

昨年"Universal Languagae"というトリオ作品をリリースしました。
この作品に関してはこちらのnoteに詳しく書いてありますのでぜひ読んでみてください。

Self Translation

この度その"Universal Language"の兄弟作品とも言える"Self Translation"がリリースされました!前作の"Universal Language"は全曲新曲でしたが、今作は過去にリリースした作品を土台にし、新たにトリオで作り直した4曲を収録しています。共通のタイトルである"Universal Language"にちなみセルフカバーではなく"Self Translation"というタイトルにしました。

1. Get The Picture
2. Someday We'll Fly
3. 守破離(Live in Studio)
4. DGAF(Live in Studio)

こちらから各配信サービスへ飛べます⇩

今作もメンバーは、藤谷一郎(Bass)、天倉正敬(Drums)、そして僕の3人です。"Self Translation"に収録した4曲はこの数年間トリオのライブでは必ずと言って良いほど演奏してきた曲です。なのでトリオのライブに足を運んだくださった方の中には「あ!あの曲だ!」となる方もいるのではないかなと思います。実はこの4曲、2020年の秋には既にレコーディングを行っています。

コロナの影響

Jazztronikのライブというのは色々な形態があります。弦を入れた編成、管楽器を入れた編成、歌がメインの編成など。このトリオではそういった編成ではなかなか出来ない曲に焦点を当てたり、我々自身の技量に焦点を当てたりしながら安全で平和な地下活動を続けてきました。そんなトリオでの活動は2020年初頭までは順調に続いており、その時点でトリオとして完成度はかなり高いものになっていました。その為僕としてはなんとか今のこの良い状態を録音物として残しておきたいと常々思っていました。しかし2020年2月に行った東京・大阪でのトリオライブを最後に、その後計画していたライブ、レコーディングがコロナの影響で全て無くなるという状況に陥っていきます。数年の活動を経てやっと完成形態に近づいてきていたと思っていただけに、今までコツコツと積み上げて来たものが崩れた感じがして非常に悔しい思いをしたのを覚えています。

配信ライブ

いつまで続くかわからない状況の中レコーディングは半ば諦めていたのですが、2020年5月にトリオの配信ライブを開催する機会に恵まれました。今ではだいぶ定着した感のある配信ライブですが僕にとってはこれが初めてでした。お客さんが一人もいない中マスクをした撮影隊に囲まれてライブする事に対して、きっと今だけの貴重な機会だな、なんて軽い気持ちでいましたが、まさかこんなに長引くとは。

実はその頃色々な事が全く見通しが立たず音楽・エンタメ業界はかなり静まり返っていました。行われるはずだった事が中断もしくは白紙の状態になり途方に暮れているミュージシャンもとても多かった気がします。もちろん僕もほぼ全てのライブ、コンサートが無くなりました。そんな事もありこの配信ライブはそんな悶々とした気持ちや鬱憤を晴らすかのようにかなりパワーのあるライブとなりました。そして『やはりこのトリオの今の音は残しておかなくては!』という意識が戻ってきてレコーディングをする事になっていきます。これはその時の配信ライブの動画です。演奏しているのはこの当時の『Get The Picture』です。


いざレコーディング、でも。。

そんなこんなを経て2020年秋に3人でスタジオへ入り将来的には"Self Translation"に収録されていくであろう4曲のレコーディングを行いました。このレコーディングの為にリハーサルを重ね準備万端で挑みました。リハーサルでは大体この動画の様によくわからない曲で盛り上がってしまう事が多いです。でもそこから新しいアレンジが生まれてきたりするので、遊ぶってのは大事なんだなとつくづく思います。

初のコロナ禍でのレコーディングは今までとは異なり若干不便な事もあったのですが、この時のレコーディングは完成度も非常に高く大満足でスタジオから帰ったのを良く覚えています。

しかし、結果としては1年後の2021年の秋にもう一度同じ4曲のレコーディングをし直す事になります。一番の理由は翌年にリリースされる"Universal Language"の存在です。プラス僕のワガママです(苦笑)。

余談ですがわかる人にはわかるこんな夢のような機材の揃ったスタジオでした。

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明確なビジョン

2021年に入り我々3人は"Universal Language"の制作へ向けて準備を進めていきます。そして各々音楽的な部分が色々と変わっていきます。プレイはもちろん、使う機材や録音方法までもガラッと変わっていきます。そこには『日本のみならず海外でも通用する音にしたい』という明確なビジョンがありました。ありがたい事にJazztronikの音楽というのは日本国内と同じくらい海外でも聞かれています。ただしそれは過去のサウンドであって今僕がやりたいと思っているサウンドではないのです。僕は今やりたいサウンドもきちんと全ての人に届くようなものにしたかったのです。そこでの試行錯誤にはかなり時間を割きました。

そして2021年10月に"Universal Language"が配信リリースされます。おかげさまで世界中よりかなりの好評をいただきました。結果としては数え切れないくらいのPlaylistに選ばれることとなりました。最初にも書きましたがこちらのnoteでその"Universal Language"関してはお読みいただけます。ちなみにアナログもリリースしました!

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サウンドの方向性の違い

本来、"Universal Language"に続けてリリースをする予定だったのが2020年秋にレコーディングした4曲を収録した"Self Translation"でした。しかし、ここで問題が発生します。それは歌詞を伴わないインストの音楽にとって一番重要とも言えるサウンドの方向性です。これが"Universal Language"の前後で少し変わってしまっているのです。"Self Translation"に収録するこの4曲はライブでも何度も演奏してかなり慣れている4曲です。なので演奏も自由度が高く2020年のレコーディングの内容自体は非常に良いのです。しかしこの音源を改めて"Universal Language"と聴き比べてみるとなぜかしっくりこなかったのです。"Self Translation"のリリース準備に取り掛かり始めたのが2021年秋に行なったトリオでのリリースツアーをちょうど終えたタイミングでした。日々変化して進化しているトリオを体験していた自分からすると1年前にレコーディングした音源があまり馴染みのないサウンドに感じたのかもしれません。あんなに大満足していたのに人の感覚って本当にわからないものです。『最高な曲が出来た!』と大興奮した曲も翌朝聞いたらなんでもない曲に感じる、そんな事は日常茶飯事です。

結局藤谷さんとマサにこの事を説明し"Universal Language"をレコーディングした時と同じスタジオで同じマイクセッティングでその4曲の再レコーディングを行いました。これはレコーディングの準備をしているところです。

上手くてもダメ

実はこの再レコーディング後にまたまた問題が発生します。新たにレコーディングした4曲を"Universal Language"と聞き比べてみたのですが、『守破離』『DGAF』はなんだか前回レコーディングした2020年の音源の方が良い様な感じがするのです。良い悪いという言葉での表現はちょっと違うのですが。そして何度かチェックしている内にある事に気がつきました。この再レコーディングはトリオツアーを終えた後に行ったと書きましたが、この4曲はトリオツアーでずっと演奏していた為に演奏がかなり良い感じに仕上がっていたのです。その中でも『守破離』『DGAF』は演奏が上手くなりすぎていたのです。そしてライブ本番でのセッションを重ねすぎたせいで1年前とは全く違う感じの演奏に全員がなっていたのです。もちろんライブとしては何の問題の無い、むしろかなり良い仕上がりでした。ただ、このトリオのライブでの『守破離』『DGAF』はかなり荒々しい雰囲気が売りでもあり、その僕がイメージしている雰囲気は今回の2021年のレコーディングより1年前の2020年のレコーディングの音源の方が出ているのです。演奏が上手くなってしまうとダメというパターンもあるのです。キマりすぎててカッコ悪くなってしまうんです。

実はこれは我々には多々起きる困った問題なのですが、自分達の演奏を再現する能力が非常に弱いです(苦笑)。よく言うと毎回新たなアレンジにして楽しんでしまうと言うか、このトリオはそう言う類の人間の集まりでして。藤谷さんはカッコ良いベースのフレーズを忘れる、マサはカッコ良いドラムのパターンを忘れる、僕は曲自体を忘れる、そういう3人なので困っています。そういう事もあるので僕は常々良い状態の時の演奏を録音しておきたいと思っていたのかもしれないです。良い状態というのはベストという意味ではなく良い雰囲気が出ている時の演奏という意味です。

逆に、『Get The Picture』『Someday We'll Fly』に関してはツアーを経てとても演奏が上手になっていました。そのおかげでこの2曲の2021年レコーディングバージョンはとても良い感じに仕上がりました。そんなわけで"Self Translation"の『Get The Picture』『Someday We'll Fly』は2021年にレコーディングしたもの、『守破離』『DGAF』は2020年にレコーディングしたものを採用する事になりました。各時代のこのトリオの演奏が残せる事にもなったので結果としては良かったと思っています。これは11月に行なった渋谷のライブで『Someday We'll Fly』を演奏している動画です。


あとがき

この"Self Translation"の4曲と"Universal Language"の6曲で"Universal Language"という作品は完成です。本当は『Universal Language』という曲がありそこから始まったプロジェクトだったのですが、肝心のその曲は収録されませんでした(笑)。特に理由はないのですがうっかりしていたと言うか、僕がデモを作ってスタッフが聞いてという状態でストップしています。なので藤谷さんもマサもまだ聞いていないです。トリオでの活動は今後も続けていくのでいつか披露する時が来るかと思います。
それまではこの"Universal Language" "Universal Language~Self Translation~"を楽しんでください!

そしてこの"Universal Language"と"Universal Language~Self Translation~"の曲が全て収録されたCDアルバムもリリースしますのでお楽しみに!

(2022 5/8 追記) CDは発売されましたのでこちらもよろしくお願いします!

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