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情婦

映画「情婦」
1957年のアメリカ映画です。

監督はビリー・ワイルダーです。

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ワイルダーといえば映画「お熱いのがお好き」や

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「アパートの鍵貸します」

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といった喜劇のイメージがありますが、


保険金殺人を描いた「深夜の告白」や、

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アルコール依存症の恐怖を描いた「失われた週末」など、

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サスペンス映画の名手でもあるんですね。


この映画「情婦」の原作はアガサ・クリスティです。

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そうです、この作品、ミステリー映画です。


1950年代のイギリスが物語の舞台です。

病気もちで退院したばかりだか、腕はたしかな老弁護士がいるんです。その老弁護士のもとに、未亡人殺しの容疑者の男を弁護する依頼がまいこむんです。

そんな老弁護士のまえに、容疑者の妻クリスチーネが現れるんですね。でもこの女、正式な夫婦ではないらしい。しかも、なぜか夫を否定することばかりを言うんですね。どうもこの女の言うことはあてにならない。老弁護士はクリスチーネぬきで裁判に挑む覚悟を決めるんでね。

ここから法廷劇が繰り広げられていきます。

裁判が進むなか、突然クリスチーネが検察側の証人として出廷してくるんですね。

女は言うんです。「夫から嘘のアリバイを証言するよう頼まれた」と法廷で語るんです。

男の有罪が決定的なものになっていきます。
 
そんな状況のなかで、老弁護士のもとに、ある女から一本の電話がかかってくるんです。

電話の女はクリスチーネの秘密を知っているというんですね。会ってみると、女は一通の手紙を渡すんですね。その手紙はクリスチーネが書いた手紙だったんです。

そこには、夫に罪をかぶせ、自分は恋人と一緒になるという内容が書かれていたんですね。

土壇場の大逆転で男は無罪になるんですが、ここで物語終わりません。ここからラスト7分、思いもしない展開が幕をあけ、さらに思いもしない展開をみせます。


騙されますよ。このラスト7分が、この映画を名作にしてます。

「結末は誰にもしゃべらないように」いうクレジットが流れる最初の映画でもあります。


このミステリー劇をテンポのいい、ユーモアある作品に味付けしているのが、老弁護士を演じるチャールズ・ロートンの役者としての力ですね。

チャールズ・ロートン、イギリスの舞台俳優ですね。監督もやる才人ですね。ロートン以外には考えられない配役です。


また、奥さんのエルザ・ランチェスターが、ロートン演じる弁護士の付き添い看護婦を演じてます。冒頭のふたりの息のあった芝居のキャッチボールは、見ているこちらが楽しくなります。

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ふたりのやり取りのコメディと、法廷のサスペンスの対比がうまく作品に溶け込んでます。


そして、物語の鍵をにぎる女クリスチーネを、ドイツ生まれのハリウッドの伝説の女優マレーネ・ディートリヒが演じてます。

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100万ドルの脚線美に退廃的な容姿をまとった女優ですね。この作品でも暗闇のなかに咲く黒い薔薇のような女を、自信にみちた姿で演じてます。

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アガサ・クリスティ自身も、自作の映画化で最も気に入っている作品だと語ってます。

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