ロボット

 お久しぶりです。梅村です。

 たくさんの出来事が起きるたびに、これは書けるなと考えたりしながらも、パソコンを開く事もせず、毎日を送ってきました。だらしない人間です。
 「書かないの?」と言われてしまうと、何かに理由をつけて、今は小休憩ですと言って回って、逃げておりました。しかしこの文章群を忘れられてしまわないように、真っ暗な場所で書いております。

 この文章を書く理由も逃げるためである。なにか日常で上手くいかない時、書き物への欲求が湧く。これを書いている最中はなにも考えず、なおかつ、有意義な時間の使い方をしていると実感するからである。この文章を読んで救われてほしいなどというヒーロー的発想でも何でもなく、自分が心地よいからである。しかしこれを書いている事実は何かから逃げている証拠である。その逃避の連鎖で生まれている。

 日記にする気はない。日常のことを書くが、日常ではない。日記だったらもっとひどい。
 今日は昼くらいに起きて、YouTubeを見て、バイトの一時間前になったからバイト着に着替え、部屋は汚いがそのままで、バイクに乗った。最近はバイト先にギリギリに到着することが多い。8時間働いて、夜中に帰る。帰ってもなかなか寝られず、カーテンの間から刺す朝日に嫌悪感を抱きながら寝る。

 たった4行で終わってしまう私の日常。悲しいがこれが現実だ。映画みたいなオシャレで、バイオレンスで、スイートなことは起きない。皆さんの日常は何行で表せますか?辛いことたくさんですか?

 もがいているつもりだが、こんなもんでは足りないのだろう。もっと考えて、考えて、考える。考えることをやめたくない。やめようとしても止まらない。連続的な考察が押し寄せてくる。給仕として働き、ああこの人おれの事、下に見てるなと感じながら、働く。たぶんこの感情を忘れてしまったらロボットになるのだろう。そしてロボットになったら死ぬまでロボット暮らしなのだろう。感情の揺れ動きに敏感でいたい。

 

 AI病院が近くにできた。入り口を過ぎると、待ち時間なしで診察室に案内された。私が行きたいと思った瞬間に予約が完了しているそうだ。なぜかB診察室に入った。
 カーテンのむこうから金属音が聞こえる。ロボット型AIの医師であった。そう皆が想像するようなロボット型である。大丈夫かと心のなかで思っていたら、大丈夫ですよ、と先生は笑いながら呟いた。笑っていると感じただけだ。先生は聴診器を取り出した。ああそこは聴診器なんだと心の中で思っていたら、形だけです、と先生は呟いた。
 「採血しましょう」と誰かに大きな声で言われたので、左腕を出した。するとこれもまたロボット型の看護師が裏から出てきた。少し紅を塗っている。ロボットでも男性女性あるのかと思っていたら、一応安心感が違うと思うので、と年増の声で呟いた。たぶんこれは看護師の声なのだろう。
 アルコール消毒なしで、そのままぶすっと注射器を刺された。私はじっと見ていた。血を採られている。いや血ではない。オイルだ。

 ああそういえば私もロボットだった。


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