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緊張


皆様は人前でお話しする時にどの様な状態になりますか?

緊張で足が震える、
口が上手く回らなくて吃る、
気持ちが高揚して顔が赤くなる。

色々な症状はありますが
亮太は顔が赤くなるタイプです。

なんで赤くなるのか、
いつから赤くなったのか。

緊張の症状が現れるきっかけ。

そこを覚えている方は
少ないのでは無いのでしょうか。

亮太は鮮明に覚えています。

小学1年の時。 
1年3組。
教室で隣の席は男の子の加藤くん。
直ぐに仲良くなり、
2人でヤンチャで活発な小学生生活を送っていましたが、
3ヶ月程した所で席替えがありました。

小学生の頃には運動会に次ぐ一大イベントです。

担任の小西先生がくじ引きを作ってくれ番号順に席が決まっていきます。

くじ引き一番の子は入り口近くの先頭の席。
そこから後ろに行く度に2.3.4番となっていて亮太は16番で丁度センターライン、

教壇から真っ直ぐの1番後ろの席になりました。

そしてその時に隣の席になった子。
女の子。
クラスで1番人気の近藤さん。

ドキドキしました。

ですがそこは男の子です。
なんだよ、
お前かよ、
へっ、
男が良かったのにな、

なんて強がって椅子を後ろに倒しながら 
鼻くそをほじっていました。

本当は嬉しくってしょうがなかったですが。

そんなある日、
夏休みの思い出を黒板の前に立って
みんなに喋る授業時間がありました。

小学一年生の亮太はまだ
緊張や不安などの感情を感じた事が無く、
黒板の前で何も喋れなくて泣いてしまう同級生がいた時に不思議な気持ちで眺めていました。

2人1組で壇上に立ちます。
席が隣同士の生徒が立つ。

つまりは人気者の近藤さんと亮太は
2人で1年3組全生徒の前に立ちます。

順番が来て二人で壇上に。

近藤さんが何かを喋ろうとしていますがなかなか言葉が出てきません。 

顔は笑顔ですが、

えっと、
あの、
など、お話が始まらず
綺麗なツルツルの白いお肌は
一気に赤く染まり上がりました。

そして残酷な小学生。

「わぁー!真っ赤だ!真っ赤!」

遠慮なく近藤さんに注目が集まります。

りんご!りんご!

一気に大合唱が始まり
さらり真っ赤になる近藤さん。

その真っ赤に染まった近藤さんを横目に
やはり亮太は不思議に思っていました。

なんでこんなに照れて真っ赤になってるんだろ?

純粋にわからなかったのです。

そこで亮太がとった行動が、

一緒に顔を真っ赤にする」事でした。

どうやるかはもちろんわかりませんが、
とにかくお腹の辺りに力を入れて、
恥ずかしい恥ずかしい!

呼吸を速くして鼻から息を吸っては吐いて
動悸がしてきても続けて、
目の前が薄らボヤけて来た時には
みるみる顔が真っ赤になる事に成功していたみたいです。

「あー、亮太も真っ赤だー」

残酷な言葉は亮太に向けられ
視線は全て亮太に向けられました。

わざとやってみたのですが、
いざ動悸が早く顔も熱くて真っ赤で
視線を浴びると言葉が出てきませんでした。

あぁ、こんな感じなのか緊張をするって事は

小学1年生で客観的に自分の変化を感じていたのを鮮明に覚えています。

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