【小説】青崎有吾『アンデッドガール・マーダーファルス4』
【感想】
昨年、『早朝始発の殺風景』がドラマ化して、脂が乗ってるなぁ…なんて思ってたら、なんとなんと『アンデットガール・マーダーファルス』がアニメ化決定。
さらには『ノッキンオン・ロックドドア』が連続ドラマ化するとの情報が。
いや、そんなことある?
超売れっ子作家大先生じゃないですか!
そんなアニメ化に合わせるように発売されたのがこの第4巻。
あれか、《裏染天馬シリーズ》も映像化決定すれば次作がでるんか。
頼むぞメディアの諸君。
閑話休題。
シリーズ第3巻は”人狼”という怪物たちの棲む村と人間が暮らす村で起こる連続殺人事件を扱った大傑作だった。
個人的にはその年の本ミスで、もっと評価されてもいいはずなのにと下唇を噛んだ。
対して、本作はナンバリングがされてはいるものの、エピソード0、外伝的な位置付けとなる。
それぞれの過去の話や、邂逅して直ぐの事件が明かされる。
シリーズを追ってきた読者には堪らない一冊となるだろう。
が、本格ミステリを期待して読むと割と肩を透かしてしまうかもしれない。
登場人物の過去を掘り下げ、肉付けしていく物語が大半を占めるため、推理よりはバトルに重点が置かれている。
とはいえ、末尾を飾る『人魚裁判』はお得意の端正なロジックが味わえる良作なので、十分満足感は得られると思う。
各話の短評を以下に。
『知られぬ日本の面影』
鴉夜&静句と津軽が行動を共にするようになって最初の事件。
とある女性の元に夜な夜な怨霊が出るのでなんとかして欲しいと依頼を受け、鴉夜御一行が解決もとい、駆除しにいくお話。
割とミステリしてる。
ホラー的な展開から、人間臭い真相への落差が愉しい。
『回る夜の彼方へ流す小笹舟』
鴉夜が如何にして不死となったかが語られる。
ロリババアではなくて、ガチのロリっ子鴉夜ちゃんが拝める。
ん、全然ミステリじゃないって?
ふんっ、ロリっ子鴉夜ちゃんが探偵なんて物騒な役回りするわけ無いじゃないか!
『鬼人芸』
こっちでは津軽が如何にして半人半鬼の身となったのかが明かされる。
ここら辺の話は、以前も触れられていたけど、そこを掘り下げていく感じ。
うーん、アニメ向きのストーリーだねぇ。
アニメ後半辺りでこのエピソード差し込んだりするのではなかろうか。
『言の葉一匙、雪に添え』
静句が鴉夜に仕えることになるまでのお話。
ロリっ子鴉夜ちゃんもいいけど、好色鴉夜様も堪らないですわね。
終盤、宿敵が登場したときの絶望感が凄まじい。
映画『STAR WARS ローグ・ワン』でダース・ベイダーが登場した時並みの絶望感。
『人形裁判』
待ってました!
青崎有吾の法廷本格ミステリです!
容疑を掛けられら人魚ちゃんを、ヨーロッパに着いたばかりの鴉夜様御一行が救うお話。
容疑を晴らすべく披露されるロジックは、決してこじ付けめいた物では無く、スッと胸に入ってくる綺麗なもの。
そして何より凄いのが、新聞で事件のあらましを読んだだけの探偵が、なぜ無実を確信できたのかという謎に対する回答。
その真相は単純にして盲点。
いやぁ、これが読みたくて青崎有吾読んでんのよ。
傑作短編といっても過言ではないでしょう。
5巻が待ち遠しいなぁ。
とはいえ裏染シリーズを先に出して欲しいが。
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