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〈自分教〉Ⅰ

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「オレが、わたしが、自分の人生の主役である、と考える〈自分教〉」について
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〈自分教〉わたしの宗旨は「自分教」1  

自信 わたしは信じているのだ 自分という者を わたしが頼りにするもの それはこの私自身だ わたしは生来の無宗教 だが宗旨はある それは「自分教」 わたしは自分というものをしっかり持っている  頭も目も耳も口も手も足もおおいに頼れる  自分で立ち、自分で歩く  つかむのも放すのも自分 自分で見、自分で聞き  自分で話す 自分で行う 自分で感じ、自分で思い、自分で考え、自分で決めながら これまで何も信じずに生きてきた  だれにも心を許さずに来た 決して ―他人はアテにな

〈自分教〉わたしの宗旨は「自分教」2

過信 生きることの全部 それを支配しているのはわたし ひとが幸福と憧(あこが)れるものはもちろん  不幸と忌(い)み嫌うものさえも  どれもこれもがわたしの領分だ 神さま?  仏さま? それって何?  「自分」という芯の無い、弱虫いくじなしの慰めもの でしょ! 能天気の楽天家―わたしをそう嗤(わら)うひともいる 無邪気な苦労知らず―そうけなすひともいる 人間ぎらいの頑固者―そう後ろ指をさすひともいる 畏(おそ)れるべきものを知らぬうぬぼれ屋―それがいちばんの悪口陰口

〈自分教〉わたしの宗旨は「自分教」3 

化けの皮 よその犬に噛まれたとき わたしは死の恐怖におそわれた でも 傷を負いながら母にさえ助けてといわなかった 一日三百円で過ごしていたとき わたしに明るい未来はあるのかと嘆いた でも 三度三度食べたモヤシや豆腐にも愚痴はこぼさなかった 会議で上司にののしられたとき 会社をやめようかと落ち込んだ でも 同僚たちが心配してくれる顔へ笑ってごまかした 腰が折れる事故に遭ったとき ああこれで死ぬのかと観念した でも 神さま! と心のなかで声をあげはしなかった 苦しいのに「く

〈自分教〉わたしの宗旨は「自分教」4

自分教とラッキョウと鉄橋と 1 らっきょう じぶんきょう― らっきょう― 両方とも外見は一人前のようだが かんじんかなめの芯が無い それでも らっきょうには素直さがある 甘酢や塩水に漬けられることをいやがらない 自我の一枚いち枚に愛の旨味をしみこませ あたらしい自分に生まれ変わることを拒まない そこへいくとどうだ 自分教の奴は!  だれにも己を譲らない 新たな自分に再生することなどもってのほか まして神などに洗脳されてたまるものか そういう身構えだ わたしが主(