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3月の曇り空

今日は3月11日。東日本大震災から、13年経つ。

今日は曇りで、空はガスで覆われたように白かった。
仕事帰り、夕景の撮影を試みようと西の空を観察していたが、今日は撮影を諦めた。

帰り道、橋のたもとの小さな川で、おじさん達が釣りをしていた。この季節だとフナだろうか。

夕陽は黄金色に輝いていたが、空はどんよりと雲に覆われていた。

13年前、僕は職業訓練所に通っていて、その日はたまたま休みだった。昼寝から目覚めた後、テレビで震災を知ったのだった。

僕はその後縁あって一度東北に行き、ボランティアに参加した。テレビで見ただけでは、感じ取れない事はたくさんあった。

それからも、長い年月が経った。世の中は大きく変わっても、あまり変わらない冴えない自分がいる。

僕は最近、テレビ、スマホをなるべく見ない、という実験をし始めた。画面の中の物事だけを、真実だと思っていないだろうか?目の前の世界を、ちゃんと感じているだろうか?そんな風に、たまに自分に問いかけている。

たとえば、はんだごてで工作して、はんだごての熱さを感じながら溶けたヤニ入りはんだの匂いを嗅ぐとき。
たとえば、海釣りに行き、第一投を投入した後、生暖かい潮風と潮の匂いを、ふと感じるとき。
家に帰る途中の車中で、遠くの山に夕陽がゆっくりと沈んでいくのを見るとき。

こんな世界を、もっと感じていたい。

けれどもひとたび災害が起きれば、こういう世界はたやすく崩壊してしまうのだろう。

3月。まだまだ夜は寒い。
けれども春は、もうすぐそこだ。

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