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春への期待

朝は晴れたが、その後は雨と雪。寒いのである。真冬に逆戻りしたようだ。

音楽に、南方系の音楽と北方系の音楽があるように、文学にも南方系の文学と北方系の文学がある。
文化は、それが生まれた土地に根差している。

僕は北国に住んでいるが、冬は苦手である。毎年、毎年、体の芯まで染み込んでくる、この寒さ。心まで凍えてしまう。

それでもこの寒さが、僕を毎年、奮い立たせる。春へ春へと、気持ちを昂らせる。前へ前へと、思考を進ませる。

春夏秋は、あっという間に過ぎてしまう。それに対して冬は、恐ろしく長く感じる。他の季節と、そんなに日数は変わらないはずなのだが。

多くの生き物が死に絶える冬と、生き物の生命が爆発する夏。その繰り返しだ。人の心だってその影響を受けないはずはない。
人の心も、季節に合わせて、何度も死んだり、甦ったりするはずだ。

近所では、生命力の強いオオイヌノフグリやヒメオドリコソウが、既に咲き出した。梅の花も静かに白い花を咲かせている。

春への期待。その気持ちが日に日に高まる時季。
明日こそは、暖かくなるはず……




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