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空白の時間を取り戻した公共施設

車でまた浅間山を長めながら丘をのぼっていく。とにかくのぼっていく。キャンプするにはいいけど、よっぽどの目的がないかぎり、ここまで車でさえのぼることはない場所まできた。昭和にできた古びた公共施設が見えてくる。周りは白塗りで、どこにも所属しない、そして主張がない佇まいをしている。でも、円柱のような施設の窓からみえる中は暗く、怪しい雰囲気を出していた。

施設の正面にくると、大きな暖簾に”問”と描かれている。それをくぐれば中世ヨーロッパにありそうな本棚とカウンターが迎えてくれた。おいてある本は、ジョン・ケージ、グレン・グールド、イサムノグチからエル・ブジなど時代を切り開いてきたROCKな本が並ぶ。こんな本、みたことない!と思うものばかりだ。

飲み物を買わないと中に入れない仕組みになっている。窓口で飲み物を買って中にはいると、大きな濃いグレーに塗り上げた壁にオレンジ色の照明が大きなドーム型の空間を照らしていた。厨房のカウンターにはサイフォン式コーヒーの器材があり、その周りには大きな観葉植物が所狭しと飾ってある。施設の真ん中には様々な棚や机の上に本が陳列されている。BACHの幅さんのように本を並べて文脈をつくる文脈本棚だ。”問”というお店の名前よろしく、世の中に様式を、意義を、時代を問い直してきたさまざまな本がおいてある。

まさか外観からこんな空間があるとは予想できなかった。窓からは美しい山脈を眺めることができて、空気の流れもいい。でも、このように内装をするまでは、寂れて使われなくなった白いだだっ広い空間が広がっていただけなのだろう。

公共施設の指定管理で運営を’わざわざ’がうけおっている。入館料のような飲食の購買の仕組み、大胆な施設への手の入れ方。指定管理で廃校の管理をする身として、ここまで壮大な施設を行政と取り組んでいることに驚きを隠せなかった。こんなにやっていいんだって。

まだお店がはじまってすぐだったけど、完成度の高さに驚いた。時間を取り戻したようなお店。芯が定まりすぎているのが気になったけど、これからの展開が楽しみでした。

問:https://toutokai.com/

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