#12 君が僕の名前を呼ぶから

僕の記憶は全て嘘だった。
なにもかもが偽憶だった。
でも、全てが愛に溢れていた。
愛にも哀にも溢れていた。

彼女がユキが遺したものは
あまりにも大き過ぎた。

永くて甘い夢をずっと見ていた。

何で死んだんだ。
死ぬ必要なんてなかった。
どこにもなかった。

でも彼女なりにきっと後悔とか
たくさんしたんだろう。

僕はこの記憶にずっと埋め尽くされて
いたかった。

目を覚ますと思ってた。ギリギリまで傍にいた。
できることが何一つ、思いつかなかった。
現代医学の睡眠薬は死ねないように作られてると聞いていた。
死んじゃったよ。どーしてくれるんだよ。
睡眠薬中毒だから点滴で流せばなんとかなるなんて。
嘘じゃねーか。
もっと他に何か出来なかったのかよ。それしか手はなかったのかよ。
なんであんな急に心肺停止になるんだよ。
毒も薬も結局はイコールかよ。

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