漫画と落語:田河水泡『のらくろ』 2
昭和恐慌と『のらくろ』の時代
田河水泡の漫画『のらくろ』シリーズは、猛犬連隊に入営した野良犬の黒吉、通称「のらくろ」が不慣れな軍隊生活でドジを踏み続けるナンセンスギャグ漫画である。「のらくろ」のしくじりが偶然にも功を奏して手柄を立てることになり、勲章をもらって出世していく……といった内容だ。いわば「のらくろ」は落語における与太郎のような存在といえる。
のちに田河は「子供に人気の『犬』と『戦争ごっこ』を組み合わせれば人気が出るだろうと着想した」と、述懐している。
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