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失われた大陸

おでこにキスをするというのはとても愛情に溢れた素敵な行為だと思うのだが、以前おでこにキスをされた時に、肌に感じた唇の感触が自分で想定していたよりも遥かに上の方だったので、「え、そこはかつて陸地だったはずでは!?(そこはかつて髪の毛が生えていたはずでは?の意)」と、愛情だとか素敵だとかそんな感情をすっ飛ばしてただただ驚愕してしまったことがある。

かつて栄華を誇った美しい大陸。緑が溢れ、木々には様々な動物や鳥たちが暮らしていた。しかし文明が発達するにつれ、徐々に森は失われてゆく。開発によって土地は拓かれ、土は痩せ、木々は失われていった。海面は上昇して土地を侵食していき、かつては森だった海岸線はどんどん海に沈んでいった。大陸はいつしか荒れ果てた荒野となり、今はもう残された僅かな緑を痩せこけたガゼルが食む光景が広がるのみとなったのだった…。

失われた緑は、美しい女神の口づけでも戻ることはなかった。環境の悪化は留まることはなく、緑はこれからも減少し続けてゆくだろう。それでも私はこの大陸に誇りを持って生きている。それでも時々、かつての繁栄を思い出しては、生え際をポリポリと掻くのでありました。

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