見出し画像

【2022】1st Half BEST ALBUM

はい、お盆だよ。遅れてますね。さっさと出します。

2022年、上半期BEST ALBUMです。

考えてたの2か月くらい前だから、もうだいぶ前のことのように思えるな。まあ、相も変わらずいにしえのカウントダウンスタイルなのですが、さっさと結果だけ観たい派の人は以下ツイットをご参照あれ。


10枚選出です。Apple Music+代表曲MVで。


10. 仮谷せいら「ALWAYS FRESH」

tofubeats「水星」のMV出演で話題になった当時19歳の女の子といえば仮谷せいら。10年越しの1stフルアルバム。「星野源やtofubeats以降の、スムースでグッドなヴァイヴレーションを感じる女性シンガー」の系譜ではあるのだが、トラックやアレンジなど、楽曲のクオリティが高くって惹き込まれるし、飽きさせない充実作。「水星」のカヴァーも収録です。



9. Wet Leg「Wet Leg」

2022年上半期、早耳洋楽ロックファンのなかで最も注目されたアルバムがこのWet Legの1stアルバムだろう。UKはワイト島出身の女子2人組がDominoとサインしてリリースするデビュー盤。最小の編成で最良の結果を生む。期待どおりの良きアルバムでした。僕はWhirlwind Heatとかを思い出しました (誰も覚えてないと思うけど)。



8. Horsegirl「Versions of Modern Performance」

Sonic Youthの残像を色濃く感じるシカゴの女子3ピースバンドがMatadorと契約してリリースした1st。SYだけじゃなく、ポストパンクやシューゲイザーの芳香も漂わせながら、90年代から00年代にUSオルタナに傾倒してた40代男子とか(俺だ)を軽々と仕留めるのだ。こんなの好きに決まってるじゃないか。しかもアルビニのElectrical Studioで録音。俺はこっちのウマ娘のほうがいいね。



7.  Congotronics International「Where's the One?」

過去にフジロックにも出演してたCongotronicsが「Congotronics International」名義でリリースしたアルバム。参加してるのはKonono no.1やKasai All Stars、Juana Molina、Deerhoofなど。あんまり上半期ベストに挙がっているのを見かけなかったので、ノーマークの人も多いと思うのだが、ライヴ感あふれる傑作です。2枚組の大作だけど、Disc1だけでもいいかも。天国バーガーがっつきながらヘブンで踊り狂いたい。



6. ナードマグネット「アイム・スティル・ヒア」

大阪のパワーポップ/エモバンド、ナードマグネット。新編成となって初のアルバム。彼らは2016年の超傑作「CRAZY、STUPID、LOVE」があまりにも素晴らしすぎたのだけれど、今回、勝るとも劣らぬ傑作を届けてくれました。過去の人気曲を再録した「いとしのエレノア」や、Weezerの2nd期のB面曲のような輝きを放つ「キャロライン」など聴きどころは満載。日本にはナードマグネットがいる。



5. Liam Gallagher「C'mon You Know」

ex.OasisのフロントマンであるところのLiam Gallagherのソロ3rdアルバム。Foo FightersのDave Grohlとの共作シングル「Everything's Electric」で「あああああOasisとNIRVANAが合体しちゃった!」などと90年代に育った洋楽少年(俺とか)を容赦なくぶち殺すなどの話題を振りまきましたが、肝心のアルバムの仕上がりはどうだったのか?いや、良かったですよ。派手さはないものの、肩肘張らずにリラックスした充実作。いい意味でOasisの影が消えて、Liamの色がはっきり見えたかな。このアルバムをソロ最高傑作に挙げている人も多かった。



4. 宇多田ヒカル「BADモード」

宇多田ヒカル、8枚目のアルバム。「人間活動」を経て、シーンに復帰を果たした2016年の「Fantome」以降だと3枚目。「One Last Kiss」「Time」「PINK BLOOD」など、既発曲をたんまり収録しておいてこの澱むことなき統一感と凄みは正直慄いた。「Fantome」以降、明らかに変化したアプローチがこのアルバムでひとつの到達点を見た感がある。coachellaの出演も話題になったけれど、海外進出のリベンジ、いまならいけると思うんだけどどうなんですかね。不機嫌な嫁さん大喜利のジャケも一部で話題でした。



3. Superchunk「Wild Loneliness」

Superchunkのアルバムをこの位置に持ってくることになったのは全く予想がつかないことだった。ベテランバンドの新作って、一聴して「うんうんいいね。あの頃のあんな感じ」ってちょっとにっこりして、2回目は聴かない。というパターンが大半だからだ。だけど、このアルバムは違った。Tennage FanclubやR.E.M.のメンバーと言ったゲスト陣も話題になったが、それ以上に、この地に足の着いた滋味深さよ。音の旨味よ。わかる人にはわかってもらえると思うのだけど、このアルバムはThe Get Up Kidsの「On A Wire」の如し、なのです。(Chunkの)「Hyper Enough」や(TGUKの)「Holiday」も好きだけど、ずっと聴き続けられるのはこんなアルバム。



2. 中村佳穂「NIA」

中村佳穂は「音楽という事象がかたちをつくって動いているなにか」なのだろうか。2018年の「AINOU」でとんでもないシンガーがいる、と話題になってから4年。まさかの細田守アニメ主演(声優)、まさかの紅白出場などのトピックスも、彼女の才覚と魅力があったからこその話。まだ「AINOU」では前衛アートに目配せしたポップスという印象だったのだけれど「NIA」ではポップスに目配せした前衛アートという様相を呈している。ポップな親しみやすさは減退したかもしれないが、Bjorkのように他を圧倒する凄みが増している。いよいよ先が読めなくなってしまった。ところで、Pitchforkとかの海外メディアが中村佳穂をまったく拾わないのはなんでだろう?




1. 羊文学「our hope」

例年20枚は選出している上半期ベストアルバムが10枚になったのは完全に羊文学のせいであって、3か月くらいずっと他の音楽はあんまり聴いてなかった。いや、聴いたんだけど聴き込みができなかった。気づいたら羊文学の「our hope」を再生していた。他の音楽は、塩塚モエカの歌声に塗り替えられてしまったのだ。ここにも書いたけれど、例えるなら「強烈な恋患い」に近いような感じ (念のため/別にメンバーにどうこうというわけではないです/その音楽に) 。あまりにでかい感情になりすぎてしまったので、別途吐き出していきたいのだけど。上半期ベストトラックにも選んだ「光るとき」を聴いて「あれ??こんなにいいバンドだったか?」と驚き、そこからずるずると惹き込まれて今に至る。「気づけば再生していた」というあたりがキーになってくると思うんだけど、ここらへんをしっかりと分析して、羊文学の魅力を語りたい。と思って早数か月。

もう、いまさら言うまでもないが、今年の年間ベストアルバムの1位が「our hope」以外だったら衝撃だと思う。まずあり得ないけれど。


以上です。リスト。

#2022年上半期BESTALBUM
1.羊文学「our hope」
2.中村佳穂「NIA」
3.Superchunk「Wild Loneliness」
4.宇多田ヒカル「BADモード」
5.Liam Gallagher「C'mon You Know」
6.ナードマグネット「アイム・スティル・ヒア」
7.Congotronics International「Where's The One?」
8.Horsegirl「Versions of Modern Performance」
9.Wet Leg「Wet Leg」
10.仮谷せいら「ALWAYS FRESH」

次点でYumi ZoumaRosaliaHarry StylesJack WhiteuffieThe weekndUA フィロソフィーのダンスMIZtofubeatsみらんあたりのアルバムを挙げておきます。


2021年の年間ベストでは1位のThe Snutsをはじめ、NOT WONKやWeezerなど上位10枚のほとんどがロックアルバムだったのが特徴的だったのだけど、2022年の上半期もそんなムードを引き継いでいる感じ。SuperchunkやHorsegirl、Wet Legなんかのアルバムを聴いているとやっぱりオルタナが好きなんだよなあという気持ちを新たにしたし、そこらへんの系譜を継いでいるナードマグネットのアルバムはもちろん良かったし。でも、羊文学に尽きます。もう、ほんとそれ。


上半期BEST TRACKはこちら。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?