決裁者営業で絶対にやるべきこと

優れた小説は最初の書き出しが重要と言われるが、読者の皆様に今回の内容を見てもらえる書き出しとはどんなものかと考えてみた。昨今のYouTubeのサムネイルを観察していると、釣り気味の内容が使用されていることが多い気がするので、それに倣って今回の趣旨を釣り気味で記載するところからスタートさせていただく。

決裁者営業においてヒアリング不要説wwww

さて釣りの臭いがプンプンする表題だが、案の定釣り気味である。今回提唱したい本当の内容は、「売り文句を見つけるためのヒアリングは不要」「顧客と同じ目線で検討をするためのディスカッションが必要」という内容だ。

さて自分自身のバックグラウンドを少し説明させていただきたいが、現在決裁者向けのプロダクトを決裁者向けに提案させていただいており、月間数十名の方とお話しさせていただいている。商談をさせていただいているのが流石決裁者なので、小手先の売り文句は通用しない。売ろうという想いが先行して大滑りしたこともたくさんある。それがなぜなのかという言語化で、先に述べた説の説明が可能となる。


そもそも決裁者とはどんな役割なのか

当たり前の話であるが、決裁者とは企業の成長において大きな課題を解決することに従事している。その課題は時には営業活動であり、採用であり、組織作りであり、新規事業開発だったりする。もちろん営業も採用もその他もそれぞれを実行する必要があるのだが、並行して実行することは難しかったりする。なので未来の目標から逆算して今やるべきことは何で、次にやるべきことは何なのかと、戦略を立てていく。
要は目標達成のための戦略設計とその実行が仕事なのである。

プロダクトは基本的に戦術でしかない

さて、考えてほしいのだが、日本からアメリカに行きたい人がいるとして、その人に飛行機と車を提案するとする。当たり前だが車の提案は的外れも的外れで、もし提案されたとしたら、ついに空飛ぶ車が開発されたのかと注目せざるを得ない。つまり行き先次第で検討する商品は絞られる。(戦略によって取るべき戦術は絞られる。)
私は基本的にプロダクトセリングはクソだと思っている過激派だ。なぜかというとプロダクトセリングは所詮は戦術に過ぎないものを戦略かのように語るきらいがあるからだ。それはつまり、この壺を買えば幸せになれると言っていることと変わりがない。
戦術であるプロダクトが購買される条件とは、今このタイミングでその戦術を使用するのが戦略上適切と判断された場合のみである。そしてその判断を下すのが決裁者である。
決裁者にプロダクトの良さを語るのはいいのだが、そもそもその決裁者の戦略上今そのプロダクトを使う理由が微塵もないのであれば、実際は何も聞いてないのである。そして商談が終わった後には「あいつは話が分からないから次はないな」と思われている。
※相手が経営戦略上、そのプロダクトを使うべきかと判断し、問い合わせで話を聞かせてくれと言ってきた場合には、プロダクトセリングでも通用する。

決裁者営業で絶対にやるべきこと

結論としては、前述のとおりディスカッションである。
まず営業マンの目線でのゴールは受注である。そのために絶対に必要な条件は提案している内容(戦術)が相手の戦略とフィットしていることだ。戦略と戦術のフィットを証明してこその案件化ではあるが、それだけでは数をこなしてたまたまフィットする企業を見つけたというやり方しか通用しない。

ではどうやって案件化率や、受注率を高めるのかであるが、相手の戦略を組み替えるしかないのだ。戦略の組み替え方にも2段階ある。

①顧客の中長期的な戦略の一つに自信に有利な戦略を組み込む
②自身に有利な戦略が最も優先順位高く重要であると顧客に思わせる

①ではいつか受注できるという状況が生まれ、②で今受注できる状況が生まれる。
そしてさらに論ずるべきが、どうやって相手の戦略を組み替えるかであるが、そのためのディスカッションである。
改めて、これは決裁者営業における話ではあるが、決裁者営業の一番のメリットは戦略に口出しをできることである。
とはいえ②のパターンを狙おうとし続けるのはかなり傲慢な行為で、うちのことあまり知らないのに黙っとけ状態になりやすい。一方、見えない未来についてはたくさんに人の意見をフラットに聞き最善の選択をしたいのが決裁者であるので、①については実行しやすい。
そのために必要になるのが、経営パートナーの目線での意見だ。

その際には、一旦自分の売りたいもののことなど忘れたらいい。自分は相手の会社の社員だと思い込み、同じメンバーとして戦略策定を行っていると思い込めばいい。
その時に上司(顧客)にはヒアリングをするだろうか?
否、ディスカッションをしているのではないか?
※もちろん対等にディスカッションをするために、最低限ヒアリングをして情報をそろえることは重要。

パートナー目線でのディスカッションの末、自分に有利な戦略を実行することに決まったとする。これが案件化のメカニズムだ。
そしてここまで来てやっと、自社のサービスについてしっかりと提案をさせてもらうのだ。戦略と戦術が重なっている状態での提案なので、きっと相手もしっかりと耳を傾けてくれるし、真剣に検討してくれる。

まとめ
・プロダクトを売るためのヒアリングはクソ
・決裁者営業のメリットは戦略への口出し
・そのためにディスカッションを用いる
・ディスカッションの際には相手の立場でフラットに考えることが必要

売るための営業ではなく、あくまで顧客の経営課題の解決のために営業をしていくべきというのが私の想いだ。提案をしていて顧客の心が離れている気持ちがする人の役に立てるような内容であれば幸いである。

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