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なぜ、創造性は重要なのか?


「誰もがクリエイティブになれる学校」と銘打つソーシャルクリエイターズ・スクール。すでに0期、1期、2期と回を重ねており、創造性を鍛え、新しい価値を生み出す方法論を学ぶことを、実践しています。

今回のテーマは「創造性はなぜ重要なのか」です。そもそも、なぜ、創造性は重要なのでしょうか?

ソーシャルクリエイターズ・スクールのメイン講師である芝哲也が、音声メディアVoicy「芝哲也のクリエィティブ・ジャーニー」の第3回で語られた内容をNote記事用に編纂してお届けします!

創造性について

「創造性って、アーティストやデザイナーなど特殊な人の特殊な能力でしょう。自分は絵が描けないので、クリエイティビティや創造性とは関係ない」と思っている人がいますが、それは本当でしょうか?

創造性は、芸術やデザインに限らず、あらゆる分野で必要とされる能力です。新しいアイデアを生み出すことができる人は、ビジネスや科学などの分野でも活躍できます。絵を描くことができなくても、自分なりのアイデアを形にすることができるのが創造性です。

創造性は、特殊な人たちだけが持っている能力ではありません。誰もが、自分なりの創造性を持っているものです。
例えば、神戸には、「はっぴーの家ろっけん」という高齢者と子育て世代が一緒に住むシェアハウスがあります。

このシェアハウスで、新型コロナで屋外に出られなかった際に、子供たちが「コロナごっこ」と呼ばれる遊びを開発したそうです。内容は、おじいちゃんやおばあちゃんとZoomでつなぎ、笑わせることができたら、カフェオレがもらえるというもので、謎のルールを創造しています。かなり関西人が有利な最先端ゲームですが、創造性にあふれていると感じませんか? また、ここで分かるのは、絵が描けるとか描けないとかほぼ関係なさということです。

みなさんも子供の頃、不思議なルールの鬼ごっこを作ったり、面白いシチュエーションでママごっこをしたりして、創造力を発揮していませんでいたか? しかし、学校教育が進むにつれ、変なことをしたらいじめられたり、仲間外れにされたりするかもしれないとか、考えるようになりました。

遊び道具がなくても遊んでましたよね

正しい答えを言わなければならないという意識が芽生え、創造性にブレーキがかかってしまい、その才能が封印されてしまうことになったのではないかなと思います。

創造性を定義をしておきます

ここで、そもそも「創造性」という言葉を定義しておきたいと思います。アイデア発想や創造性に関する研究を行っている日本創造学会の理事長をされていた高橋誠さんが編著された「創造力辞典」の中で、次のように記載されています。

創造とは、「人間が問題を異質な情報群を組み合わせ、統合して解決し、社会あるいは個人レベルで新しい価値を生むこと」。創造性とは「創造を生み出す人間の持つ力」です。

この定義は1983年に、創造性とは何かというアンケートを日本創造学会の会員に対して実施して、83人の方々から回答得たものを参考に高橋さんが定義付けたものです。

もう少し補足しますと、定義のうち、

  • 『人間が』の部分には「創造的な人や人の発達」が含まれます

  • 『問題を』の部分には「問題や問題意識のこと」が含まれます

  • 『異質な情報群を組み合わせる』とは、情報処理や創造思考のこと

  • 『統合し解決すること』とは、解決手段や創造技法のことを指します

  • 『社会あるいは個人レベルで新しい価値を生むこと』とは、創造性や天才論のことを指します

  • 『新しい価値を生むこと』とは、価値論について指します

簡単に言うと、「問題を発見し、アイデアを生み出し、解決して新しい価値を生み出すこと」が私たちの目的です。ただ、個人的には「問題解決」に特化する必要はなく「価値創造」でもよいと思っています。

こちら定義によれば、絵が上手いか下手かということは関係ありません。むしろ、創造性というのは、課題解決や新しい価値の創出といった性質を指すことが注目されています。

仲直りのアイデアを考えるのも創造性

例えばですね、僕が奥さんと喧嘩しちゃったとしましょう。

武蔵野大学は三鷹にあるんですが、学校から帰る時に奥さんが好きなカラスパンというパン屋さんに寄って、パンを買って奥さんにあげると仲直りできるかな、みたいなことを考えて実行するのも、創造性を発揮していると言えますね。

つまり、私たちは仕事でも日常生活でも、意識していなくても創造性を使っているものなのです。

創造性の重要性

創造性は、特殊な人の特殊な能力ではなく、誰にでも備わっているものだと伝わったでしょうか。ここから本題の、創造性がなぜ重要なのか、について話していきたいと思います。

最近、AIが注目されています。例えば、DeepLのように高精度な翻訳を行ったり、言葉や写真を入力すると絵を描いたりするAIが登場しています。また、チャットGPTのように質問に答えたり、文章やプログラムを書いてくれるAIも出現しています。さらに、NotionAIのように文章の添削や要約を行うAIも登場しています。

ドローンやルンバなど、様々なロボット技術が開発されてきました。また、運送会社の荷物整理や自動車の生産ラインのロボット化など、人手不足や効率化を目的とした自動化技術も進んでいます。これらの技術が組み合わさることで、今後はより驚くべき進化が期待されます。

野村総合研究所が発表したニュースリリースによると、日本の労働人口の49%が人工知能やロボットに代替可能だとのことです。おそらくこれは、オックスフォード大学のマイケル・A・オズボーン准教授が2013年に発表した「The Future of Employment(雇用の未来)」の論文に基づく内容のようです。

論文では、AIやロボットによって多くの仕事が10年後や20年後には無くなるため、労働者はコンピューターに代替されない創造性、社会的スキル、コミュニケーション能力の高い仕事に割り当てられるとされています。そのため、これらの能力を磨くことが重要であり、競争に勝つために必要だと述べられています。

つまり、ルーチン化された業務がコンピューターやAIによって自動化されることで、人間は企画や創造的な業務、または人間同士の調整が必要な業務に専念することになるということです。

なくならない職業として挙げられているのは、アナウンサーだったり、インテリアデザイナー、映画監督、クラシック演奏者、ゲームクリエイター、ソムリエなどなどあるんですが、今までいい仕事と言われてきたものというよりは、クリエイティブな仕事、つまりちょっとチャレンジングな仕事と認識されているものが残っていきます。

そして、より重要なことは、今の子供たちのうち6割が、まだ存在しない新しい職業に就くと言われていることです。だからこそ、創造性とコミュニケーション能力、そして劇的な社会環境の変化を重要視して新たな価値を生み出していく精神、アントレプレーナーシップが必要と言われています。創造性大事な気がしてきましたね。

AIやロボットは、怖いものというよりは、むしろとても便利なものだと思います。それらの技術や知識をどのように活用して、どんな未来を作っていくかということの方が、大事なのではないでしょうか。

日本の課題を解決する起爆剤に

現代社会は、ブーカ(VUCA)の時代と呼ばれています。Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字をとってブーカと呼ばれ、予測不可能な想定外の事態が起こる時代の流れを指しています。

世界は変化し、不確実で複雑、かつ曖昧です。つまり、よくわからないということです。今まで答えだと思っていたことが通用しなくなってきています。答えを教えてもらったとしても、それが正解とは限りません。誰も知らない問いに取り組まなければならない時代に突入していると言われています。

ニュータウンの限界集落化も問題になっています

しかし、裏を返せば、自分たちで正解を作り出していくことができる時代になったということでもあります。

The best way to predict the future is to invent it.
「未来を予測する最善の方法は、それを発明することだ」

この言葉は、パーソナルコンピューターの先駆者であるアラン・ケイのものです。未来を発明するためには、今後ますます、創造力が重要になってくるでしょう。

POSTSCRIPT

いかがでしたでしょうか。Voicy本編は、あともう少し、続きます。よろしければ、こちらから最後まで聞いてみてください!

芝哲也のクリエイティブ・ジャーニー  003 なぜ創造性が重要なのか?

 Edited by  Eddie. U

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